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AI & 機械学習

Mr. Cooper が AI を使って住宅ローンプロセスのスピードと精度を向上させた事例

2021年6月18日
Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2021 年 6 月 4 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

編集者注: Mr. Cooper Group は業界をリードする住宅ローン サービス プロバイダで、住宅ローンの貸付や契約を手掛けるだけでなく、デジタル不動産ソリューションも提供しています。同社では、Google Cloud の AI ソリューションと ML ソリューションを使用することで、信頼性の高いクラウド ネイティブ ドキュメント分析処理プラットフォームを構築しました。このプラットフォームは、融資書類を処理して精度と業務効率を新たなレベルへと引き上げることで、規模拡大とコスト管理の両立を実現しています。その方法の詳細をお読みください。


Mr. Cooper は国内最大級の住宅ローン貸付業者で、さまざまな貸付商品や融資商品、サービス、テクノロジーを住宅所有者に提供することに力を入れています。当社の目標は、融資の貸付までにかかる時間を短縮して、効率性とお客様満足度を向上させることです。そのために、ドキュメント上のデータを特定、分類、抽出できる、通常の OCR よりも優れたテクノロジーを必要としています。このようなテクノロジーがあれば、適切なタイミングで適切な人物に適切なドキュメントとドキュメント データを提供し、お客様のデジタル エクスペリエンスを包括的に改善できます。

こうした目標を達成するためには、スループット(1 分あたりのドキュメント処理枚数)、精度(情報の正確な特定と抽出)、コスト削減(ドキュメント 1 枚あたりのコスト)という、少なくとも 3 つの主要指標でイノベーションを起こし、進化していく必要があります。また、自社のお客様と外部のパートナー両方に対処するために、ドキュメントと抽出データのための API ベースの統合とシームレスな検索エクスペリエンスを提供する必要があります。

パイロット検証とテクノロジーの負荷テストを何度か重ねた結果、次のテクノロジー スタックをメインで使用することに決定しました。Document AIVision AICloud AutoML を含む)、Cloud Storage、Vertex AIGoogle Kubernetes Engine(GKE)、Cloud SQLBigQueryLookerApigee(いずれも Google Cloud で利用)。

ここからは、当社が実感した Google Cloud の機械学習サービスのメリットについてご紹介します。これらのメリットのおかげでパフォーマンスが向上し、コストをより適切に管理できるようになっただけでなく、ビジネスに欠くことのできないスマート アナリティクス機能が利用できるようになりました。

  • Document AI: Vision AI と AutoML Natural Language が搭載された Document AI テクノロジー スタックでは高い精度でデータを処理できるため、サプライ チェーンの早い段階でドキュメントを把握して、コストを削減しながら信頼性の高いパイプラインの効率性を向上させることができます。

  • Cloud Storage: 送受信されるドキュメントを安全かつ効率的な方法で一元管理でき、相互接続VPC Service Controls でパイプラインを保護できます。

  • コスト最適化 Kubernetes アプリ: GKE のコスト最適化には非常に驚きました。90% を超える CPU 負荷でノードが実行できるようになっただけでなく、マネージド GKE のおかげで PCI コンプライアンスも遵守できるようになりました。

  • MySQL 用のフルマネージド リレーショナル データベース サービス: Cloud SQL であれば、パフォーマンスや可用性を損なうことなく、容易にデータベースをスケールできます。また、メンテナンス費用も大幅に削減されました。

  • サーバーレスでスケーラビリティの高い、優れた費用対効果のデータ ウェアハウス: BigQuery を新しいアーキテクチャに統合することにより、必要とするアナリティクス機能を、運用上のオーバーヘッドがゼロの状態で利用できます。

  • Vertex AI(旧 AI Platform): 当社で処理する必要がある住宅ローン ドキュメントに特化した、さまざまなモデルを構築できるようになりました。

  • Apigee: この API 管理プラットフォームのおかげで、データを API として消費する共通レイヤだけでなく、モニタリング機能と収益化機能も手に入りました。

  • Looker: Looker に統合したことで、プラットフォーム全体でデータアクセスを一元管理できるようになりました。

コンテナベースのドキュメント パイプラインの構築

自社のモジュール式アーキテクチャはそのまま維持し、Google Cloud AI の軽量なコンテナとマネージド サービスを軸に設計を行うことから着手することで、サーバー インフラストラクチャの維持管理から解放されました。手動のリファクタリングが大量に発生するのを回避し、ワークロードの急激な変化に対処するために、あらゆるものをコードとして構築しました(Infrastructure as Code)。そして、Google Cloud AI チームの協力を得ながらアーキテクチャを検証し、Google のメリットを最大限引き出せるようにしました。

コンテナベースのアーティファクトのリソースをより効率的に使用するデザインをベースにコンテナを使用し、(Terraform を使った)IaaC はすでに当社のテクノロジー スタックに組み込まれていたため、パイプライン全体を短期間で比較的容易に起動できました。

マネージド サービスを使った人工知能の大規模な開発と運用に対する Google の専門知識が、Google をパートナーとして選ぶ上での重要な差別化要因となりました。この強力なパートナーシップと緊密なコラボレーションを通して、適切な戦略の構築、実行ができ、さらには望ましい成果まで上げることができました。

Mr. Cooper のチームでは、住宅ローン固有のドキュメントを非常に高い精度で処理できる最先端の機械学習モデルを開発およびトレーニングしながら、必要に応じて人間が参加することでモデルを再トレーニングできました。

その結果、追加のドキュメントを使ってモデルをトレーニングする、複数のモデルを組み合わせる、非同期処理によってアプリケーションのさまざまなパーツを分離するなどして、モデルの精度を向上させることができました。これらを達成するため、当社では次の Google Cloud AI サービスを主に使用しました。

新たなアーキテクチャには多くのコンポーネントがありましたが、マネージド サービスを選んだので、チームに追加のオーバーヘッドは発生しませんでした。おかげで、スループットの最大化、プラットフォームの精度向上とコスト削減という目標達成に集中できました。

プラットフォーム全体が API ファーストのアプローチをベースにしていました。Apigee を通じてこれらの API を社内外で使用できるようにすることで、コスト削減を実現しながら、住宅所有者のカスタマー エクスペリエンスを向上させました。

Vertex AI と Document AI が Mr. Cooper のユースケースで果たした役割

ドキュメントがプラットフォームに流れてくると、Google の Kubernetes Engine が非同期イベントを使って、ドキュメントの到着からサプライ チェーン全体(状態管理やユーザー入力など)にいたるプロセス全体を管理します。

パイプラインに入ってきたドキュメントはさまざまな分類サイクルと抽出サイクルを通過する必要があります。Google Cloud の Document AI と Vertex AI のおかげで、メタデータを大規模に抽出、分類、格納するカスタム住宅ローンモデルの複数のバージョンを管理できました。

精度をさらに向上させるために、Mr. Cooper のチームでは、ドキュメント形式の変化やさまざまなソースから発生するデータドリフトに合わせて既存の ML モデルの更新と、新しい ML モデルのトレーニングを継続しています。

有効なパートナーシップの構築

振り返ってみれば、今回の取り組みは当社にとって大変有益なものでした。先の見えないこの時期においても、豊富な情報を相互に参照することで収益化の新たな機会がもたらされ、コスト削減を実現できただけでなく、カスタマー エクスペリエンスを向上させることができたのです。

データに関しては、重要なドキュメントで 95% 以上の精度を達成しました。ピーク時のスループットは 1 分あたり 4,000 ページで、平均スループットは 1 分あたり 2,000 ページを達成しています。その結果、ドキュメント処理の効率が 400% 向上し、コストが大幅に削減されました。

当社が Google Cloud を選んだ理由は技術の素晴らしさというだけではなく、スケーリングに不可欠な要素に対するチームの独自の知識でした。Google には、それぞれ 10 億人以上のユーザーがいる 9 つのプロダクトがあり、ピーク パフォーマンスを大規模に実現するための専門知識を提供できるという独自の強みがあります。

Google チームとの協力的なパートナーシップが、この重要な戦略的取り組みを成し遂げるための指針となりました。

-Mr. Cooper エグゼクティブ プリンシパル アーキテクト Sudhir Sundararam

-Google Cloud カスタマー エンジニア Vivek Puri

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