株式会社ぐるなび: No Search で未来の食体験を提案する新サービス「UMAME!」とは
Google Cloud Japan Team
「食でつなぐ。人を満たす。」を掲げ、食体験を通じて人と人をつなぎ、食の未来を創造してきた株式会社ぐるなび。そのぐるなびが、新サービス「UMAME!(うまみー!)」をリリースしました。 「No Searchで、うまいを私に!」というメッセージが込められたこのサービスは、ユーザーに寄り添った究極のマッチングを実現するという、新時代の飲食店検索サービスです。 今回は、UMAME! の開発に携わったキーパーソンである、CTO 岩本俊明氏、Tech Lead を務める小向 有氏、データサイエンスグループ グループ長の新井 駿氏に UMAME! 開発の舞台裏について話を伺いました。
利用しているサービス:Vertex AI、Vertex AI Search、BigQuery、Firestore など
利用しているソリューション:Generative AI
従来の検索の限界を、生成 AI が打ち破る
これまで、飲食店を探す際には、エリア、ジャンル、予算など、様々な条件をユーザーが指定して絞り込んでいくのが一般的でした。しかし、この方法では、本当に自分に合ったお店に出会えているのか、という疑問が常に付きまといます。条件を細かく設定するほど、実は出会えたかもしれないまだ見ぬ名店との出会いを、自ら閉ざしてしまっている可能性もあるのです。
「UMAME! は、この従来の検索体験を変える可能性を秘めています。ユーザーは、日常的な会話形式で、AI に自分が求めるお店を伝えるだけで良いのです。富士山が見えるカフェでゆっくりしたい、明日のデートにぴったりなお店を探してほしいなど、従来では難しかった抽象的なリクエストにも対応します。」と岩本氏は語ります。
このサービスが生まれた背景には、プロジェクトリーダーである岩本氏が約 2 年前に抱いたある「ひらめき」がありました。
「生成 AI が世の中に登場し、技術系の人たちだけでなく、誰もが手軽にその恩恵を受けられる時代が到来したと実感した時、この技術を身近なユースケースで活用できないかと考えました。特に、従来の飲食店検索は、ユーザーの検索リテラシーに依存する部分が大きく、本当にマッチするお店を見つけることが難しいという課題がありました。UMAME! は、生成 AI を活用することで、この課題を解決しようという試みです。ユーザーは、まるで友人に相談するように、自然な言葉でお店探しができるようになります。」
開発チームの飽くなき挑戦
「UMAME!」の開発は、まさにチャレンジの連続でした。今回の開発チームについて小向氏は次のように語ります。「社内の精鋭メンバーを集めたタスクフォースを立ち上げ、アジャイル開発の手法を取り入れながら、約 1 年という短期間でリリースに漕ぎ着けました。開発チームは、インフラ、フロントエンド、バックエンド、データサイエンティストなど、多様な専門性を持つメンバーで構成。全員が兼務という限られたリソースの中で、プロアクティブに意思決定を行いながら開発を進めました。」
開発においては、過去の課題から学び、ぐるなびとしてベストな構成を追求。さらに、AI ドリブンな開発を実践することで、コードや資料作成の効率化も図り、開発チームは本質的な作業に集中することができたそうです。
Google Cloud が実現する、シームレスなユーザー体験
「UMAME!」の革新的な体験を実現する上で、Google Cloud の存在は欠かせません。新井氏は今回利用している生成 AI 関連技術について次のように語ります。
「Gemini や Vertex AI Search を中心にサービスを設計していますが、その精度の高さ、ハルシネーションの少なさ、そしてコスト パフォーマンスを特に評価し、Google Cloud の生成 AI 技術を選定をしました。また、既存でデータウェアハウスとして利用していた BigQuery との親和性の高さも評価しています。」
また、よりユーザーにパーソナライズされた体験を提供するためのデータ、アプリケーション基盤も UMAME! の重要な構成要素です。新井氏は次のように語ります。
「ユーザーの属性データ、Web 上での行動データを利用し、ユーザーにとってより適切な店舗情報を特定する必要があります。Google Analytics および Google Analytics for Firebase で取得した行動データを BigQuery に連携した上でユーザー属性データと組み合わせ、生成 AI で利用できるよう処理することで、生成 AI が参照する有効なデータストアを効果的に構築することができます。こういった生成 AI のためのデータ整備のしやすさも、Google Cloud の優位性だと考えています。」
最後に、UMAME! の今後の展望について、岩本氏は次のように語ります。 「UMAME! は、現時点で β 版であり、完璧なサービスではありません。しかし、AI を活用した新たなお店探しというコンセプトを実現したという意味で、非常に大きな一歩と言えるでしょう。今後は、ユーザーからのフィードバックを元に、評価ドリブンで精度向上を続けていく予定です。また多言語対応など、さらなる機能拡張も視野に入れています。UMAME! は、単なる飲食店検索サービスに留まらず、ユーザーに新しい食の体験を提供する未来型のサービスです。ぜひ、この革新的なサービスを体験し、あなただけの ”UMAME!” な出会いを見つけてください。」
UMAME!:
UMAME! Web: https://umame.gnavi.co.jp/
App Store https://itunes.apple.com/jp/app/id6737528819?mt=8
株式会社ぐるなび
1996 年に飲食店情報サイト「ぐるなび」を開設。詳細なメニュー情報や今日のおすすめ情報等を事前に確認してから飲食店に行くという外食のスタイルを定着させました。現在ぐるなびは「食でつなぐ。人を満たす。」という存在意義(PURPOSE)のもと、事業を推進しています。今後も「飲食店経営サポート企業」としてさらなるサービスの拡充を図っていきます。
インタビュイー
株式会社ぐるなび
CTO 岩本 俊明
開発部門 Data Science Group グループ長 新井 駿
開発部門 Native App/Search Dev Group Tech Lead 小向 有