割り当てと上限
このドキュメントでは、Cloud Router に適用される割り当てと上限について説明します。
割り当てを変更するには、追加の割り当てをリクエストするをご覧ください。
割り当ては、Cloud プロジェクトで使用できる特定の共有 Google Cloud リソース(ハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク コンポーネントなど)の量を制限します。
割り当てはシステムの一部で、次の機能があります。
- Google Cloud のプロダクトとサービスの使用量や消費量をモニタリングする。
- 公平性の確保や使用量急増の抑制などのため、これらのリソースの消費量を制限する。
- 規定の制限を自動的に適用する構成を維持する。
- 割り当ての変更を実施またはリクエストする手段を提供する。
割り当てを超過すると、ほとんどの場合、システムは関連する Google リソースへのアクセスをすぐにブロックするため、ユーザーが試行しているタスクは失敗します。ほとんどの場合、割り当ては各 Cloud プロジェクトに適用され、その Cloud プロジェクトを使用するすべてのアプリケーションと IP アドレスで共有されます。
Cloud Router リソースにも上限があります。これらの上限は、割り当てシステムとは無関係です。上限は、特に明記されていない限り、変更できません。
割り当て
次の表は、プロジェクト単位の重要な割り当てをまとめたものです。他の割り当てについては、コンソールの [割り当て] ページをご覧ください。
項目 | 割り当て | 注 |
---|---|---|
プロジェクトあたりの Cloud Router の数 | 割り当て | 割り当てにかかわらず、各ネットワークではリージョンあたりの Could Router の数が 5 つに制限されています。上限をご覧ください。 |
上限
Virtual Private Cloud(VPC)ネットワークには次の Cloud Router の上限が適用されます。特に明記されていない限り、これらの上限を引き上げることはできません。
項目 | 上限 | 注 |
---|---|---|
VPC ネットワークとリージョンの各組み合わせにおける Cloud Router の最大数 | 5 | プロジェクトの割り当てが十分な場合は、特定の VPC ネットワークとリージョンで最大 5 つの Cloud Router を作成できます。 |
VPC ネットワークとリージョンの各 Cloud Router における BGP ピアの最大数 | 128 | BGP ピアは動的ルーティング VLAN を使用する Cloud VPN トンネル、または Dedicated Interconnect 用か Partner Interconnect 用のアタッチメントとして使用できます。 |
特定の Cloud Router での、BGP セッションあたりのサブネット ルート アドバタイズの最大数 | 制限なし | Cloud Router では、アドバタイズできるサブネット ルートの数に上限はありません。サブネット ルートの数は、VPC ネットワークの割り当てと上限で制御されるサブネット数に基づいて決まります。 |
特定の Cloud Router での、BGP セッションあたりのカスタムルート アドバタイズの最大数 | 200 | Cloud Router のすべての BGP セッションで IPv4 と IPv6 のカスタム ルート アドバタイズが同一である場合、この上限は、Cloud Router の一意のカスタム ルート アドバタイズの総数を表します。 この場合、各セッションは同一のカスタムルート アドバタイズ セットを受け取ります。Cloud Router の IPv6 のサポートはプレビュー版です。 |
特定リージョン内で、すべての Cloud Router が学習し、同じリージョン内のサブネットに適用できるルートの保証された一意の宛先の最大数 | 100 |
学習したルートの一意の宛先の保証された最大数上限の両方に到達します。 IPv4 と IPv6 の両方の接頭辞が各上限にカウントされます。Cloud Router の IPv6 のサポートはプレビュー版です。 ルートは一意の宛先ごとにグループ化されます。宛先が同じでネクストホップが異なるルートは、ただ 1 つの宛先としてカウントされます。また、宛先とネクストホップの両方が同じであるルートも、ただ 1 つの宛先としてカウントされます。 グローバル動的ルーティング モードのネットワークでは、一意の宛先の最大数上限のうち 1 つに到達し、もう 1 つの上限には到達しないことがあります。いずれかの上限に到達すると、ルートが削除された場合に断続的に接続の問題が発生する可能性があります。詳細については、学習したルートの例をご覧ください。 現在の上限と使用量を把握するために使用できる指標など、これらの上限の詳細については、トラブルシューティングの割り当てと上限の確認をご覧ください。 これらの上限を増やす必要がある場合は、Google Cloud セールスチームにお問い合わせください。 |
グローバル動的ルーティング モードの VPC ネットワークにのみ適用されます。 異なるリージョン内の Cloud Router によって特定のリージョンのサブネットに適用できる、学習したルートの保証された一意の宛先の最大数 |
100 |
学習したルートの例
次の例は、リージョン上限またはグローバル上限を超過した場合に発生する可能性がある、ルートドロップに関連する動作を示しています。
Cloud Router が us-east1
リージョンにあり、同じ VPC ネットワークの us-west1
リージョンにも Cloud Router がある場合に、グローバル動的ルーティングが有効になっているとします。また、各リージョンの Cloud Router は、100 個の一意の宛先についてルートセットを学習するとします。この例の目的をふまえて、各リージョンの Cloud Router は同じ宛先を学習しません。
各リージョンの Cloud Router は 100 個の一意の宛先のうち 100 個を学習するため、各リージョンのルートをどの Cloud Router が学習するかを問わず、各リージョンでリージョン上限に達します。各リージョンの Cloud Router はもう一方のリージョンの Cloud Router から 100 個の一意の宛先をインポートするため、両方のリージョンでグローバル上限に達します。サンプルの VPC ネットワークでリージョン動的ルーティングを使用した場合、リージョン動的ルーティング モードは学習したカスタム動的ルートをリージョン間で伝播しないため、各リージョンのグローバル上限は適用されません。
リージョンのリージョン上限を超えた場合
us-west1
の Cloud Router に接続されているオンプレミス ルーターが、101 個の宛先を持つ新しいルートをアドバタイズするとします。us-west1
リージョンの Cloud Router は、決定論的な順序で 101 個の一意の宛先のうち 100 個のルートを選択します。選択した(100 個の一意の)宛先を使用するルートが us-west1
リージョンのリソースで利用可能になります。同じルートが他のリージョンでも、各リージョンのグローバル上限の範囲内で利用可能になります。
リージョンのグローバル上限を超えた場合
us-west1
リージョンの Cloud Router が 101 個の一意の宛先を学習すると、us-east1
リージョンのリソースに対して、us-west1
を起点とする 101 個の一意の宛先のうち 100 個の宛先へのルートが利用可能になります。これは us-east1
リージョンのグローバル上限で許容できる一意の宛先が 100 個に制限されるためです。
同じ VPC ネットワーク内の 3 番目のリージョン us-central1
に Cloud Router を作成するとします。また、新しい Cloud Router が BGP ピアから 10 個の一意の宛先を学習するものとします。us-central1
リージョンの宛先のリージョン上限を超過していないものの、他の 2 つのリージョンから合計 200 個(us-east1
から 100 個、us-west1
からさらに 100 個)の一意の宛先が供給されるため、us-central1
リージョンの一意の宛先のグローバル上限は超過しています。次の表に示すように、他のリージョンからのルートは、各リージョンで一意の宛先が 100 個を超えないよう、決定論的なルート順序で選択されます。
リージョン |
リージョン固有の一意の宛先 (リージョンのリージョン上限の使用) |
他のリージョンからの一意の宛先 (リージョンのグローバル上限の使用) |
---|---|---|
us-west1 | 101 個を受信。決定論的なルートドロップに従って、101 個のうち 100 個が考慮されます。選択された 100 個の接頭辞のみがリモート リージョンにアドバタイズされます。 |
110 個を受信(us-east1 から 100 個、us-central1 から 10 個)。決定論的なルートドロップに従って、110 個のうち 100 個が考慮されます。 |
us-east1 | 100 個を受信。100 個すべてが考慮され、リモート リージョンにアドバタイズされます。 |
110 個を受信(us-west1 から 100 個、us-central1 から 10 個)。決定論的なルートドロップに従って、110 個のうち 100 個が考慮されます。 |
us-central1 | 10 個を受信。10 個すべてが考慮されます。 |
200 個を受信(us-west1 から 100 個、us-east1 から 100 個)。決定論的なルートドロップに従って、200 個のうち 100 個が考慮されます。 |
us-central1
リージョンのグローバル上限を超えているものの、リージョンの割り当てとして、ネクストホップが us-central1
リージョンにあるルートを受け入れ可能です。
決定論的なルートドロップ動作
Cloud Router では、決定論的なルートドロップ動作が実装されているため、同じ接頭辞が各リージョンで受信されている限り、対象リージョン内のリソースに対して一貫したルートセットが利用可能になります。この一貫性は、Cloud Router タスクを再起動しても保持されます。上限を超えた場合、ルートを学習した時期やルートの MED 値を問わず、Cloud Router は予測アルゴリズムに従って接頭辞を削除します。新しいルートが原因で、以前に学習したルートがアルゴリズムによって削除される可能性があります。
リージョンのグローバル上限を超えた場合に示すように、各リージョンのリージョン上限と各リージョンのグローバル上限に対して決定論的動作が個別に適用されます。各リージョンのグローバル上限(最後の列)に達した際に、各リージョンでドロップされずに残る一意の接頭辞 100 個は、同じになるとは限りません。
IPv4 と IPv6 の接頭辞の組み合わせがある場合、Cloud Router は IPv6 接頭辞よりも IPv4 接頭辞の保持を優先します。Cloud Router の IPv6 のサポートはプレビュー版です。
ルートドロップの回避
ルートドロップの動作中は、ドロップされる接頭辞の接続が失われます。ルートドロップを回避するには、Cloud Monitoring または Cloud Logging を使用して、リージョンのリージョン接頭辞とグローバル接頭辞の使用状況をモニタリングし、一意の宛先をそれぞれの上限を超えてアドバタイズしないようにします。
一意の宛先の数を減らすために、接頭辞を集約する(たとえば、接頭辞を長さの短い接頭辞に変換するなど)ことを検討してください。接頭辞の集約ができない場合は、Google Cloud のセールスチームに連絡して、別の選択肢を確認してください。
割り当てを管理する
Cloud Router では、さまざまな理由から、使用できるリソースの割り当て量に上限が設けられています。たとえば、割り当て量の上限を設定して予期しない使用量の急増を防ぐことで、Google Cloud ユーザーのコミュニティを保護しています。割り当て量は、無料枠で Google Cloud を試しているユーザーをトライアルに留めておくのにも役立ちます。
すべてのプロジェクトは同じ割り当て量で開始しますが、追加の割り当て量をリクエストすることで変更できます。一部の割り当て量は、プロダクトの使用状況に応じて自動的に増える場合があります。
権限
Identity and Access Management(IAM)のプリンシパルが割り当ての表示や、割り当ての増加のリクエストをするには、以下のいずれかのロールが必要です。
タスク | 必要なロール |
---|---|
プロジェクトの割り当て量をチェックする | 次のいずれかが必要です。
|
割り当て量の変更、割り当て量の追加のリクエストを行う | 次のいずれかが必要です。
|
割り当て量を確認する
コンソール
- コンソールで、[割り当て] ページに移動します。
- 更新する割り当てを検索するには、[表をフィルタリング] を使用します。割り当ての名前がわからない場合は、このページにあるリンクを使用します。
gcloud
Google Cloud CLI で次のコマンドを実行して、割り当てを確認します。PROJECT_ID
は、実際のプロジェクト ID に置き換えます。
gcloud compute project-info describe --project PROJECT_ID
ある特定のリージョンで使用済みの割り当て量を確認するには、次のコマンドを実行します。
gcloud compute regions describe example-region
割り当て量を超えたときのエラー
gcloud
コマンドで割り当て量を超えた場合、gcloud
は quota exceeded
エラー メッセージを出力し、終了コード 1
を返します。
API リクエストで割り当て量を超えた場合、Google Cloud は HTTP ステータス コード HTTP 413 Request Entity Too Large
を返します。
追加の割り当てをリクエストする
ほどんどの場合、割り当ての増減を行うには Google Cloud コンソールを使用します。詳しくは、割り当ての増加をリクエストするをご覧ください。
コンソール
- コンソールで、[割り当て] ページに移動します。
- [割り当て] ページで、変更する割り当てを選択します。
- ページの上部にある [割り当てを編集] をクリックします。
- 名前、メールアドレス、電話番号を入力して、[次へ] をクリックします。
- 割り当てリクエストを入力して、[完了] をクリックします。
- リクエストを送信します。割り当てのリクエストが処理されるまでに、24~48 時間かかります。
リソースの可用性
各割り当て量は、リソースが利用可能な場合に作成できる特定のリソースタイプの最大数を表します。割り当て量によって、リソースの可用性が保証されるわけではない点に注意することが重要です。割り当て量が使用可能でも、新しいリソースを使用できなければ、そのリソースを作成することはできません。
たとえば、us-central1
リージョンで新しいリージョンの外部 IP アドレスを作成するための割り当て量が十分にあっても、そのリージョンに使用可能な外部 IP アドレスがない場合、外部 IP アドレスは作成できません。ゾーンリソースの可用性は、新しいリソースを作成できるかにも影響を及ぼす可能性があります。
リージョン全体でリソースを使用できない状況はまれです。ただし、ゾーン内のリソースが使い果たされることはあります。通常、そのリソースタイプのサービスレベル契約(SLA)に影響はありません。詳細については、リソースに関連する SLA をご覧ください。