丸紅情報システムズ株式会社の導入事例:コンタクト センター向け業務効率化ソリューション『MSYS Omnis』を Google Cloud Speech-to-Text で実現
Google Cloud Japan Team
音声認識技術 Cloud Speech-to-Text を駆使して生み出された、丸紅情報システムズ株式会社のコンタクト センター向けクラウド サービス『MSYS Omnis』。深刻な人手不足に陥っているというコンタクト センター業務を効率化するというこのサービスを、Google Cloud Platform の各種プロダクトを利用し、どのようにして構築したか、同社 渡辺 亮一社長と、『MSYS Omnis』のタスク フォースリーダー 國奥 佳以さんに聞いてきました。
利用している Google Cloud Platform サービス
Google Cloud Speech-to-Text、BigQuery、Google Cloud Storage、Google App Engine、Google Compute Engine など写真右から
- 代表取締役社長 渡辺 亮一氏
- CRM ソリューション事業本部 CRM ソリューション営業部 アシスタント マネージャー 國奥 佳以氏
認識精度だけでなくコスト、セキュリティ面でも優位性の高い Google Cloud Speech-to-Text
総合商社丸紅で ICT 分野の中核を担う事業会社である丸紅情報システムズ株式会社は、50 年以上にわたって、さまざまな業種に向けて多彩なソリューションを提供してきましたが、その中でもコンタクト センター向けのシステム構築は、現在の主要なビジネスのひとつ。2017 年には音声認識技術を駆使した新世代のクラウド サービス『MSYS Omnis』を立ち上げ、コンタクト センター業務の効率化を実現しています。その構築基盤に Google Cloud Platform(GCP)が選ばれた理由について、渡辺社長、國奥さんが次のように説明してくださいました。「『MSYS Omnis』は、コンタクト センターで受ける電話を音声認識し、認識結果のテキストをもとに、オペレーターに対して関連する FAQ 情報がサジェストされるなど、コンタクト センター業務の効率化を実現するクラウド サービスです。実は、当初はこれを全てオンプレミスで実現しようと考えていたのですが、その認識精度にはまだ問題が多く、断念せざるを得ませんでした。そのような中、Google Cloud Speech-to-Text(Speech-to-Text)は、別次元の極めて高い精度の音声認識を実現できることを知り、『MSYS Omnis』の音声認識エンジンを GCP 上で構築することを決意しました。」(渡辺社長)
「今までの音声認識システムはどれも、チューニングを施さないと精度を上げられなかったのですが、Speech-to-Text はチューニング レスで非常に高い精度が出せるというのが大きかったですね。また、120 の言語と方言に対応しているということも、多言語対応を求めるお客さまに好評。国内企業でも、不動産業など、多様な言語に対応しなければならないコンタクト センターは多いのです。」(國奥さん)
「お客様はご利用にあたり、音声認識エンジンを業務内容に合わせてチューニングしたりする必要がなく、即座にビジネスに投入していただけます。こうした世の中のニーズを捉え、スピード感を持って『MSYS Omnis』を立ち上げていく上で、 GCP はまさに最適なテクノロジーであったと言えます。」(渡辺社長)
認識精度の高さが導入のきっかけだったとのことですが、GCP にはそれ以外にも多くのメリットがあったと言います。
「まずはコスト。オンプレミスのサービスではどうしても大きな初期費用が発生してしまい、それがお客さまの大きな負担になっていたのですが、GCP のようなクラウド サービスを使えば、初期費用不要で従量課金のため、手軽に導入していただけます。そして何よりセキュリティです。私どものお客さまには金融機関も多いのですが、GCP なら、こうした方々の厳しいセキュリティ要件もクリアできるのです。」(渡辺社長)
「セキュリティに関しては、クリティカルな個人情報データを扱う金融機関をはじめ、多くのお客さまから厳しいモニタリングを受けているのですが、全て “問題なし” との見解をいただいています。また、SOC や PCI DSS などに対応する世界屈指のセキュリティ対策が施されています。Speech-to-Text は、音声データをテキスト化した後、基本的には音声データを消去する構造になっているので、クラウド上にやりとりが残ることがありません。そうした点でも安心してご利用いただいています。もちろんテキスト データが格納されるデータベースに関しても、書き込み時に暗号化しますので、外部から見られることがありません。」(國奥さん)
Google App Engine や Firebase、データ ポータルなど多彩なプロダクトを駆使して『MSYS Omnis』を運用
もちろん、『MSYS Omnis』には、音声認識以外のパートでも Google のプロダクトが多数利用されています。「音声認識(Speech-to-Text)以外では、まず、音声を格納する部分として Google Cloud Storage を使っています。また、お客さまに情報をお見せする UI の構築に Google App Engine を、リアルタイムに音声認識した結果をお見せする部分として Firebase を使っています。また、データを分析する基盤として BigQuery を採用。いままでは分析をするとなると、その連携処理などが非常に大変だったのですが、BigQuery の場合は、データ ポータルなどの BI ツールからログインして使うことで、誰もがより手軽にデータを分析できるようになります。ほかにも、バッチ処理を Google Compute Engine で行ったりもしています。つまり、『MSYS Omnis』のほぼすべての部分で GCP や Google のサービスが駆使されているということです。」(國奥さん)
今後もさらに GCP のプロダクトを使ってサービスを拡大していきたいとのことです。
「具体的には、Cloud Natural Language や、AutoML Translation などを使って、お客さまに、より高度なサービスを提供していきたいと考えています。そのうえで、個人的には Cloud Vision などを使って、音声だけでなく、画像や動画なども組み合わせたサービスを構築していけたら面白いなと思っています。」(國奥さん)
「Google の強みは、世界中のお客さまに対してソリューションを提供していること。我々も Google テクノロジーを導入しているわけですから、今後は、『MSYS Omnis』のビジネスをワールド ワイドに展開していきたいと考えています。」(渡辺社長)
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