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顧客事例

アサヒグループジャパン: BigQuery を中心としたデータ分析基盤を構築し、データ利活用文化を定着させイノベーション創出を加速

2023年5月16日
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Google Cloud Japan Team

近年、多くの国内企業で加速している DX の推進。それは長い歴史を持つ伝統的企業においても例外ではありません。今回紹介するのは、国内 100 年企業の 1 社、アサヒグループジャパン株式会社(以下、アサヒグループジャパン)の取り組み。膨大なデータを分析することで既存ビジネスを加速させるだけでなく、データ起点で生活者インサイトを獲得し新たなイノベーションを生み出すことを目指す、同社 Data & Innovation室の取り組みについて伺いました。

利用しているサービス:
BigQuery, Dataform, Workflows, Cloud Functions , Cloud Storage, BigQuery Data,  Transfer Service など

利用しているソリューション:
Data Analytics, Data Lake Modernization

高性能と柔軟性を備えた Google Cloud に次世代データ分析基盤を構築

アサヒビール、アサヒ飲料、アサヒグループ食品など、アサヒグループの日本国内の事業会社を中間持株会社として統括するアサヒグループジャパン。アサヒグループでは 2015 年より「フェーズ 1」として本格的な IT 基盤整備をスタート。続く「フェーズ 2」では、経営戦略に IT を機能させることを目標とし、現在は「フェーズ 3」として、グループ全体でのデータ利活用および、それに基づくイノベーション文化風土醸成を目指しています。その要となるデータ分析基盤に Google Cloud を採用した理由について、2023 年 1 月に同社 DX統括部から独立する形で新設された Data & Innovation室を率いる室長・General Manager の深津 智威氏、副課長の合田 篤氏は次のように説明します。

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「Data & Innovation室は単なる分析専門家集団ではなく、生活者起点で新たな価値創造に貢献するイノベーション集団です。その役割は大きく 3 つ、データ起点で『生活者インサイト』を獲得すること、実践投入可能なアプリケーションなどの仕組み・仕掛けの提供、そして成功した課題解決事例を『型』化してグループ全体に水平展開していくことです。そのためには特定の事業領域に限定したデータ分析基盤ではなく、グループ全体最適に対応できる仕組みの整備と、活用ノウハウの充実や効果的な共有が必要でした。」(深津氏)

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「Google Cloud を選んだのは、既存システムでの導入実績があったことに加え、アサヒグループならではの多様なビジネス リクエストや今後の急激なビジネス変化に耐えうる高性能と柔軟性を備えたクラウド プラットフォームだと考えたからです。特に BigQuery は弊社の擁するビッグデータを高速に分析できる圧倒的なパフォーマンスの高さに加え、フルマネージドで手軽に始められ、運用も楽なこと、従量課金でコストを抑えやすいこと、頻繁なアップデートで欲しい機能がどんどん追加されていくことが魅力的でした。」(合田氏)

BigQuery のタグ機能など最新アップデートを有効活用

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今回構築されたデータ分析基盤は、各事業会社で運用されている大小 200 にもおよぶ既存システムと併存させつつ、分散しているデータを BigQuery に集約・蓄積。分析したいデータは BI ツールを用いることで可視化するというものです。

このデータ分析基盤の構築にあたり、アサヒグループジャパンが Google Cloud を採用する際に金沢に本社を置くシステムインテグレーター、株式会社システムサポート(以下、システムサポート)がパートナーとして支援しています。同社の長年におよぶ知見と技術によって、求めるデータ分析基盤を構築していきました。

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「アサヒグループ全体で広く利用されるデータ分析基盤ということで、膨大なデータの取り扱いには気を配りました。なかでも特に工夫したのが権限周りです。ロールごとに適切な権限付与ができるよう、2022 年 6 月に追加されたばかりの BigQuery データセットへのタグ付けと、IAM ポリシーによるアクセス制御を使用しました。Data & Innovation室の皆さまが推し進めているイノベーティブな取り組みには頻繁なアップデートでどんどん魅力的な新機能が追加される Google Cloud が最適な選択肢。今後もキャッチアップしつつ、さまざまな提案を行っていくつもりです。」(株式会社システムサポート 東京支社 BSG事業部 事業部長 山本 真也氏)

なお、BigQuery とのデータ連携については「社内のエンジニアが限られるアサヒグループにおいても運用管理しやすいシンプルな構成にしたい」という合田氏の要望をくみ取り、Google Cloud のサーバーレス アーキテクチャを積極的に採用したこともポイントだとシステムサポート東京支社 BSG 事業部 マネージャ 水澤 愛美氏は説明します。

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「さまざまなクラウドを用いて運用されている各システムから BigQuery への連携パターンを整理し、BigQuery のクエリのスケジューリングや Workflows、Cloud Functions などを組み合わせ、各ワークフローを疎結合にして再実行しやすい構成を提案させていただきました。」

デジタル人材の育成に加え、Dataform を活用することで複雑なデータ処理を手軽に実施でき、さらなるイノベーションを創出

こうして 2023 年 1 月から本格運用が開始されたデータ分析基盤。その手応えについて、深津氏は次のように言います。

「やっとスタートラインに立てたというのが正直な感想です。グループ各社からも新しいグループ共通データ分析基盤の利用価値について徐々に理解されはじめており、今後はどのように各業務に活用を浸透させていけるかがポイントとなるでしょう。これらの仕組みを活用する社員育成の観点では、例えば昨年までは Python を中心としたデータ人材育成を行っていましたが、今年からは BI ツールの活用を中心とした即戦力を養成する形にシフト。技術的な敷居を下げ、結果を生み出しやすくしたことで、現場からの反応が格段に良くなってきているのを感じています。」

また、BI ツールでは対応できないアドホックな分析業務についても、先日、BigQuery に正式統合されたばかりの Dataform を活用することで効率化できているとのことです。

「アドホックな分析業務ではデータ クレンジングやマート構築、可視化、分析を行っているのですが、Dataform を活用することで、クエリ間の依存関係を自動的に分析しつつ、パイプライン処理もボタン 1 つで実現できるようになりました。複雑なデータ処理を手軽に実施できるため、分析にかける時間を大幅に削減でき、本来やるべきイノベーションの創出に時間を割けるようになっています。」(合田氏)

とはいえ、「アサヒグループジャパン Data & Innovation室の取り組みは道半ば。私たちが当面の目標としているのは、アサヒグループ全体の 2 割以上をビジネス アナリストに育成すること。ここまで到達できて初めて、ビジネス変革を加速できる状況になると考えています」と深津氏は語ります。

「そのためには、データ分析基盤の充実と並行してデータ専門家とビジネスの現場をつなぐ ”ビジネス アナリスト”(ビジネス・デジタル人材)の育成も強化する必要があります。私たちが目指すのは、データの専門家とビジネス現場に精通する人材、そしてビジネス アナリストが常に One Asahi(One チーム)で一丸となり活動できている状態です。また、2023 年はデータ分析に基づく現場への示唆にとどまらず、ビジネス プロセス変革に寄与できるさまざまな仕組みの提供を目指し、システムサポートさんを含む外部のパートナーの皆様と共に迅速なトライ&エラーを通して早期にアプリ等の形で具体化し、グループ会社や市場に対してベータ版を提示しテスト マーケティングをアジャイルに実行する『ファクトリー』と名づけた組織の稼働も開始します。このように Google Cloud で作りあげたデータ分析基盤にさまざまな角度から光を当て、データ起点で生活者インサイトを獲得し新たな価値創造を全社員が日常的に実践できるようにしたいですね。」(深津氏)


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アサヒグループジャパン株式会社

アサヒビール、アサヒ飲料、アサヒグループ食品など日本国内の事業会社を統括する中間持株会社として2022年1月にアサヒグループホールディングス株式会社より分社化し設立。従業員数は 29,920 名(アサヒグループホールディングス連結、2022 年 12 月末現在)。

インタビュイー(写真右から)
アサヒグループジャパン株式会社
・Data & Innovation室 室長・General Manager 深津 智威 氏
・Data & Innovation室 副課長 合田 篤 氏

株式会社システムサポート
(Google Cloud パートナー)

インタビュイー(写真左から)
株式会社システムサポート  東京支社
・BSG事業部 マネージャ 水澤 愛美 氏
・BSG事業部 事業部長 山本 真也 氏


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