コンテンツに移動
顧客事例

株式会社メルカリ/ Mercari US・株式会社メルペイ:メルカリグループ日米で TAM を導入。プレミアム サポートを活用し開発効率を向上

2020年10月2日
https://storage.googleapis.com/gweb-cloudblog-publish/images/hero_image_mercari.max-2600x2600.jpg
Google Cloud Japan Team

クラウド プラットフォームを活用したサービスの立ち上げ、そして運用には、エキスパートによるサポートやお客様の状況を理解したサポートが欠かせません。そこでここでは、グローバルで事業を展開するメルカリグループの皆さんに、Google Cloud が提供するサポート プログラム「プレミアム サポート」と「テクニカル アカウント マネジメント(TAM)」の貢献について語っていただきます。

利用している Google Cloud サービス:Google Kubernetes Engine(GKE)、Cloud SpannerBigQueryプレミアムサポートテクニカル アカウント マネジメント(US TAM and Japan TAM)

Google Cloud 利用拡大を踏まえ、より深いサポートを求めて TAM を導入

TAM は、Google Cloud の技術面、戦略面での知識を持ったエンジニアが、お客さまのチームと連携して、適切なクラウド戦略とロードマップを計画し、長期的な成功をサポートするというプログラムです。メルカリグループはフリマアプリ『メルカリ』や、2019 年 2 月にスタートしたスマホ決済サービス『メルペイ』を Google Cloud 上に構築・運用するにあたり、2018 年 10 月からグローバルで TAM の導入を決定しました。

この背景について、株式会社メルカリ Microservices Platform Team 所属の中島さんが当時をふり返ります。

「メルカリでは  2016 年末から Google Kubernetes Engine(GKE)を使ったシステム基盤のマイクロサービス化を進めており(関連記事)、グローバルで展開している『メルカリ』アプリに加え、現在では『メルペイ』なども同じ基盤上で動いています(関連記事)。今後さらに利用規模が大きくなっていくことは目に見えていたので、より深いサポートを必要としていたのです。」(中島さん)

では、具体的に TAM がどのようなサポートを提供したのか。『メルペイ』を運用する株式会社メルペイの SRE チームに所属する高木さん、ソリューションチームに所属する石村さんに聞いてみました。

「『メルペイ』リリースの前後には毎週のように打ち合わせを行い、密接なやり取りをしながらキャパシティ プランニングやセキュリティなどのサポートを受けました。また、Google Cloud のプロダクトについてプロダクト マネージャー とのミーティングをセッティングしていただき、我々の要望を直接伝えられたのも良かったですね。」(高木さん)

「TAM のサービス範囲からは少し逸脱するのですが、以前、Cloud Spanner のクライアント ライブラリのデフォルト遅延時間が長すぎるという要望を GitHub 上で出した際に、TAM の担当者が Google Cloud 内の関連メンバーと直接議論する機会を設けてくださるということがありました。そこでのやり取りの結果、元は 2 秒かかっていたものが 20 ミリ秒にまで短縮していただけるということにもつながっています。そのほかにも、サポートケースにあげた要望を TAM がキャッチして調べてくださるということが何度もありました。トラブルの中には、外からでは絶対にわからないようなことも多いですから、Google Cloud 内部と直接やり取りして原因を洗い出してくれる TAM の存在にはとても助けられています。フィーチャー リクエストに対しても、類似のリクエストが他社から出ていないのか、ワークアラウンドはないのか、問題に対して プロダクト マネージャーがどのような反応をしたのか、そうしたプロダクトの思想みたいなものも含めた情報の共有ができるのが大きかったです。」(石村さん)

なお TAM は、『メルペイ』ローンチ後も、不定期に行われる大型キャンペーンやテレビ CM などによるトラフィック増大を見越したキャパシティ プランニングを実施。『メルペイ』のアーキテクチャーをあらかじめサポートチームに共有しておくことで、問題発生時にも即座に対応できる体制を作りあげています。結果として、サービス開始から今日に至るまで大きな障害は起きていないそうです。

Google Cloud のプレミアム サポートが迅速な問題解決を支援

メルカリは安定したサービス環境を担保するため、TAM に加えて Google Cloud のプレミアム サポートも活用。仮に何かしらの障害が起きた際も、迅速な対応を受けられるようにしているそうです。

「我々のシステムは、複数のアプリケーション、GKE とネットワーク、そして Cloud Spanner とさまざまなレイヤーがあり、問題が発生した際の原因究明が難しいことがあります。そういう時は Google Cloud のサポート エンジニアと問題の切り分けを行っていくのですが、再現性の低いケースではこれが長期化することもあります。この際、Google Cloud では日本法人のサポート エンジニアが主たるコンタクト先となり、場合によってはミーティング形式で話し合いながら相談したりもできるので助かっています。また、コミュニケーションで行き違いがあった場合に TAM が調整してくれるのも心強いです。」(高木さん)

グローバルでの TAM の活用が生み出す新たな価値にも期待

もちろん、メルカリがグローバルで推進中のマイクロサービス化についても、TAM は大きな貢献をしています。

「こんなこともしてくれるのかと驚いたのは、我々に先んじて Google Cloud を駆使したマイクロサービス化を実現していたとあるグローバル企業と TAM を通じた情報交換ができたことです。先方のエンジニアと直接会って、どういうことをやっているのか、より実践的な話を聞く機会を作ってもらえたのは本当にありがたかったですね。また、GKE を実際につくっているエンジニアと話す機会も設けてもらいました。Kubernetes の開発をリードしているエンジニアの 1 人、ティム・ホッキン氏(Google 主任ソフトウェア エンジニア)が我々のミーティングに参加し、課題に対してアドバイスしてくれたのはうれしかったですね。」(中島さん)

こうした出会いの手引きは国内だけでなく、海外でも積極的に行われたと、Mercari US の Director of Engineering 清水さんは言います。

「たとえば米国では TAM が、認証に利用する reCAPTCHA エンタープライズ チームと我々を繋いでくれるということがありました。このサポートにより我々は reCAPTCHA の最新製品とそのベスト プラクティスを効率的に学ぶことができました。また、後日我々が reCAPTCHA エンタープライズ SDK に技術的な問題を発見したときも、TAM がそれを彼らにエスカレーションし、更新された SDK を 1 週間以内に入手できたということがあったんですよ。」(清水さん)

清水さんはさらに、日本と米国、双方のメルカリのビジネスとソリューションを上位の視点から見ているグローバルな TAM の存在が、2 国間でソリューションと実践を共有することができるようにするという新たな価値を生み出すのではないかと言います。

「日米メルカリ間でのソリューションの共有はメルカリ自身でも取り組んできましたが、それを加速させるグローバル TAM というアイデアはとても気に入っています。」(清水さん)

そして現在、中島さんら、マイクロサービス プラットフォームチームはマイクロサービス化の“次”に向けた取り組みをスタート。ディザスタ リカバリ(災害復旧)の一環として、大阪リージョンを利用したマルチ クラスター化で可用性を高めていくことなどを検討しているそうです。

「そのほか、オンプレミス上にまだ残されているモノリスを、今後のさらなる規模拡大のため全て Google Cloud に持っていこうというプロジェクトも遂行中。そうした中で、僕らしか踏み抜かないような問題もけっこうあると思うので、今後とも TAM のサポートには期待しています。」(中島さん)


https://storage.googleapis.com/gweb-cloudblog-publish/images/Photo_fo_Blog_small.max-1100x1100.jpg

(写真左から)
・株式会社メルカリ
 Microservices Platform Team Software Engineer 中島 大一 氏
・Mercari, Inc.(US)Director of Engineering 清水 直樹(Naoki Shimizu) 氏
・株式会社メルペイ Solution Team GAE Meister 石村 真吾 氏
・株式会社メルペイ SRE Team Engineering Manager 高木 潤一郎 氏

株式会社メルカリ
Mercari JP / Mercari US
株式会社メルカリは、「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」をミッションに、フリマアプリ「メルカリ」の開発・運用を行っている。世の中には価値があるモノが捨てられてしまうなど、地球資源が無駄になっていることが多いと考え、個人間で簡単かつ安全にモノを売買できる「メルカリ」を日本と US で展開している。

株式会社メルペイ
株式会社メルペイは、株式会社メルカリのグループ会社として 2017 年 11 月に設立。「信用を創造して、なめらかな社会を創る」をミッションに、スマホ決済サービス「メルペイ」をはじめとする金融関連の新規事業に取り組んでいる。


その他の導入事例はこちらをご覧ください。

投稿先