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顧客事例

株式会社カカクコム:新規事業『食べログ テイクアウト』をマネージドな GKE を活用することで迅速、少人数、低コストにローンチ

2021年11月1日
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Google Cloud Japan Team

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『価格.com』『食べログ』といった人気サービスが生み出す膨大なアクセスに耐える強力なオンプレミス環境を持つ株式会社カカクコム(以下、カカクコム)が、新サービス『食べログ テイクアウト』を Google Cloud 上に構築しました。スピード感のある新規事業開発を是とするカカクコムが、Google Cloud を選んだ理由とその活用について、サービス立ち上げを担った担当者に話を伺いました。

利用している Google Cloud ソリューション:

クラウドネイティブ アプリケーションの開発

利用している Google Cloud サービス:

Google Kubernetes EngineCloud SQLMemorystoreGoogle Cloud のオペレーション スイートBigQuery など

Kubernetes を使いたいのなら “本家” GKE が最良の選択肢

カカクコムが運営する日本最大級のレストラン検索・予約サイト『食べログ』が2019 年 11 月にリリースした『食べログ テイクアウト』は、アプリを使って近くの飲食店のお持ち帰りメニューを注文できるテイクアウト サービスです。代金はアプリで決済されるため、ユーザーはできあがり時刻を見計らってお店に行くだけで OK。渋谷区の一部エリアではデリバリー サービスもスタートしています。

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それまでほぼすべての自社サービスをオンプレミス環境に構築・運用してきたカカクコムが『食べログ テイクアウト』の運用基盤に Google Cloud を採用したのはなぜなのか、同社食べログシステム本部 技術部 部長の大石氏は次のように説明します。

「当時、競合サービスが数多く立ち上がっていたこともあり、1 日も早いサービス立ち上げが求められていたという背景がまずありました。しかし、従来のようにオンプレミス上にサービスを実装しようとすると、煩雑な社内調整に時間を取られ、求められるアジリティを実現することができません。また、新規サービスということで開発人員も少なく、インフラ面まで手が回らないという事情もありました。」

具体的にはローンチまでの残り時間は 3 か月、開発人員は大石氏を含めわずか 2 名。そこで大石氏はこの条件下でプロジェクトを成功させるため、Kubernetes を利用することにしました。

「Kubernetes の良いところは、何と言ってもインフラをすべてコードで管理できること。ネットワークを含めた構成を 1 つのマニフェストで書くことができ、それを Apply すれば自律性を持って記述通りに動いてくれます。他にもコンテナならではの開発・運用のしやすさなどいくつものメリットがあり、スケジュール、人員共に厳しい今回のプロジェクトを実現するには Kubernetes を使うしかないと当初から考えていたんです。ただ、食べログではこれまで Kubernetes を運用したことがなかったため、マネージドで利用できるパブリック クラウドである Google Cloud に行き着きました。マネージドな Kubanetes 環境は他にもありますが、やはり Kubernetes といえば Google が本家本元。GKE(Google Kubernetes Engine)は群を抜いて使いやすく、Kubernetes のことを理解していれば、GKE 特有の何かを新しく覚える必要がない、そこにコストが発生しないと言うことを高く評価しました。」(大石氏)

上図は『食べログ テイクアウト』のシステム構成図。GKE を中心にデータベースは Cloud SQL を、セッション情報やジョブキューの管理に Memorystore を、ログの監視に Cloud Monitoring、Cloud Logging を使うといった「極めてオーソドックスな構成」(大石氏)となっています。

「特殊なことをせずにサービスを構築できるということがとても大切。おかげで特にトラブルもなくスムーズに、もちろん期日通りにサービスをローンチすることができました。インフラ周りに煩わされることなくチームがアプリケーションの開発に専念できたのは本当にありがたかったですね。」(大石氏)

「もちろんその後の運用についても特に大きな問題は起きていません。コロナ禍以降、テイクアウト需要が増大しましたが、GKE のおかげで難なく対応することができました。今後は、Google Cloud のプロダクトを駆使して、さらに『食べログ テイクアウト』のサービス品質を向上させていくことを考えています。まだログを活用しきれていない部分があるので、今後は Vertex AI などで機械学習を活用し、より精緻な情報をユーザーに提供し、より活気のあるサービスに育てていきたいです。」(食べログシステム本部 新規事業開発部 津田氏)

食べログデータ分析基盤の BigQuery 移行プロジェクトもスタート

食べログシステム本部では初となる Google Cloud 導入を、部内での新規事業開発のマネジメントを担当する新規事業開発部 部長 池上氏はこう評価します。

「『食べログ テイクアウト』プロジェクトを通じ、企画から開発、運用まで、首尾一貫して自分たちだけでできることを証明できたのはとても価値のあることでした。従来のオンプレミス環境では、どうしてもインフラは専門の部署にお願いせざるをえず、理想でもあり PoC の一環でもある 1 チームで全てを完結させる開発プロセスが実現できません。しかし、Google Cloud であればそれに縛られず、より素早く新しい価値を生み出していくことが可能です。今後、グループ内で新たなサービスを開発していく際は、必ず選択肢に入ってくることになるでしょう。」

その上で大石氏は、今回の開発プロジェクトの成功を受け、食べログ本体の Kubernetes 化プロジェクトがスタートしたことも大きな成果の 1 つだと言います。

「今回の経験で Kubernetes のメリットを強く実感したことを受け、食べログ本体でもオンプレミスの Kubernetes を採用することにしました。Kubernetes クラスタを専門に管理運用するチームが弊社には存在していることもあり、不安なく進められています。個人的には GKE にも魅力を感じているので、今後検討ができたらと思っています。」

そしてさらに食べログシステム本部では、現在、『食べログ テイクアウト』とは別に、部内のデータ分析基盤を Google Cloud へ移行するプロジェクトが進行中とのことです。

「これまで使っていたデータ分析基盤はレコード数に上限があり、食べログのすべてのデータを載せることができない問題があったのです。また、利用者数が増えるとジョブキューが詰まってしまうなど、パフォーマンスの点でも課題がありました。その解決策として BigQuery への移行を検討したところ、パフォーマンス向上に加えて、トータルコストもおよそ半分に減らせるという見込みが立ちました。現在はまだ旧データ基盤から順次移行している段階ですが、一部の方には利用を始めていただいています。」(大石氏)


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株式会社カカクコム

1997 年設立。家電製品などの価格比較情報をとりまとめた購買支援サイト『価格.com』、レストラン検索・予約サイト『食べログ』など、多彩な Web メディア事業を展開するインターネット情報サービス企業。さらに保険事業、旅行プラットフォーム事業など情報ポータルに留まらない多角的な事業展開を行っている。従業員数は 1,219 名(連結 2021 年 6 月末時点)。


インタビュイー(写真右から)

食べログシステム本部

・新規事業開発部 部長 池上 智 氏

・技術部 部長 大石 司 氏

・新規事業開発部 津田 歩武 氏


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