顧客事例

インフォメティス株式会社:Cloud Bigtable を中核に IoT プラットフォームを再構築

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エネルギー データの分析により、エネルギー業界への貢献はもちろん、あらゆる分野に、安心・安全を提供し、エネルギー分野に限らず、人々を笑顔にする価値の提供を目指しているインフォメティス株式会社(以下、インフォメティス)。エネルギー分野を中心に、幅広い分野に、AI、IoT、クラウドなどの技術を適用する「エネルギー インフォマティクス」の推進について、代表取締役社長 只野 太郎 氏、執行役員 技術開発責任者 伊藤 真人 氏、そして開発をメインた担当された部長・Co-founder チーフプラットフォームアーキテクト 登 不二雄 氏の 3 名に、話を伺いました。

利用している Google Cloud Platform サービスCloud BigtableBigQueryGoogle Kubernetes EngineStackdriverCloud Pub/Sub

大量データを処理できないボトルネックを解決できる Cloud Bigtable を採用

インフォメティス設立の経緯は、1999 年にソニー株式会社(以下、ソニー)が世界初の人工知能搭載ペットロボット「AIBO(アイボ)」を開発、商用化したことまでさかのぼります。その後、2009 年にエネルギー分野の研究開発をスタート。2010 年に人工知能技術(AI)を活用した「機器分離推定技術」を開発し、2011 年に米国のスマートグリッド実証実験「Pecan Street Project」に参画します。この経験とノウハウを生かしたビジネスを、グローバルで展開することを目的に、2013 年にインフォメティスが設立されました。 

機器分離推定技術は、家庭の分電盤に取り付けられた電力センサーで家庭全体の電流波形を測定し、機械学習を活用して、どの家電が、いつ、どれくらい電力を利用したかを可視化する技術。現在、約 10 種類の主要な家電を推定できます。只野さんは、「電力の使用状況を見える化することで、エネルギー効率利用に貢献することに加えて、何時にテレビを見た、掃除をした、ご飯を炊いたなど、どのように生活しているかを把握できます」と話します。この技術を生かし、電力網の進化に貢献しながら、家庭内見守りサービス「遠くても安心プラン」や、太陽光パネル等住宅設備と家電の電力見える化サービス「うちワケ®️」などを提供しています。 

遠くても安心プランは、東京電力エナジーパートナー株式会社のサービスとして提供。一方、うちワケ®️は、インフォメティスと東京電力パワーグリッド株式会社のジョイント ベンチャーとして 2018 年 4 月に設立された、株式会社エナジーゲートウェイ(以下、エナジーゲートウェイ)のサービスとして提供されています。「エナジーゲートウェイでは、さまざま事業者にサービスを提供するための IoT プラットフォームである“エナジーゲートウェイ プラットフォーム”を開発しています。」(只野さん)

※「うちワケ®」は、インフォメティス株式会社の登録商標です。

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エナジーゲートウェイプラットフォームを開発する前の IoT プラットフォームは、ソニー時代から開発を続けてきたもので、老朽化とともに、データ量が増えてきたにもかかわらず、効率的な計算処理を行うことができず、さらにクラウドサービスの運用コストが増大していたことが課題となっていました。 

「IoT プラットフォームのシステムの構造が複雑になり、メンテナンスが困難になっていました。そこで一から作り直したいと思い、どのような設計にするかを考えていたときに、Google Cloud のエンジニアから、大量のデータを高速に処理できないボトルネックを解決できるサービスとして、Cloud Bigtable(Bigtable) を提案され、Google Cloud Platform(GCP)への移行の検討を開始しました」と、登さんは当時を振り返ります。 

2015 年初めより検討を開始したGCP による IoT プラットフォームの再構築は、半年後に GCP への移行を決定、2015 年末には移行を完了しています。GCP の採用を決めた理由を只野さんは、次のように話しています。「Bigtable を利用することによる効率的な計算処理と、コスト削減の提案に魅力を感じました。また、会社設立時から、業務システムとして、G Suite を採用している実績も、GCP 移行の決断に影響したと思います。」 

機械学習の開発を大きく加速する Cloud AutoML にも期待

インフォメティスでは、2018 年のエナジーゲートウェイの設立にあたり、電力センサーでデータを収集することに特化した仕組みだった IoT プラットフォームを、電力データ以外のデータも取り扱えるように再構築をしています。「たとえば、家庭内のドア開閉センサや振動センサ、照度センサ、気温センサなどのデータを収集、分析し、家全体の状態を把握できる IoT プラットフォームです。」(伊藤さん)

再構築の開発は 2018 年 3 月よりスタート、8 月末に稼働しています。

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エナジーゲートウェイ プラットフォームでは、非常に細かいレベルの大量データを取得し、計算処理をすることが必要でした。たとえば、1 つの家庭の 1 か月あたりのデータ容量を累積すると 500 MB 程度になります。現在のスマートメーターは、30 分に 1 回データを収集していますが、そのデータ量に比べると約 50 万倍のデータ量になります。そこで大量のデータを収集するための Bigtable を中心に、収集したデータを分析するための BigQuery などを利用しています。

中でも、最大のポイントといえるのが、Google Kubernetes Engine(GKE)の採用でした。登さんは、「これまで、運用時に負荷がかかったときに、いかにスケールさせるかが課題でした。以前は、スケールのための仕組みを独自に開発していましたが、GKE を採用したことで、スケールのかなりの部分が自動化できるようになり、より少ない人員での運用が可能になりました。GKE の仕組みは、ゼロから構築しましたが、これまでの GCP の経験とノウハウがあったので、ほとんど苦労なく開発できました」と話します

以前は、24 時間 365 日のシステム監視を外部の会社に委託していましたが、GKE や Stackdriver のアラート機能などを活用することで、システム監視をほぼ自動化。必要な部分のみを人による監視に切り替え、運用コストの大幅な削減を実現しています。 

また、以前から利用していた Cloud Pub/Sub(Pub/Sub)も非常に有効に働いたといいます。「エナジーゲートウェイプラットフォームには、いろいろなレイヤーがあり、いろいろなサービスが動いています。この間の通信に Pub/Sub を利用することで、高い信頼性と疎結合を実現できました。Pub/Sub に入れておけば、データは守ってもらえているという安心感があります。マネージド サービスの恩恵を 1 番感じたのが Pub/Sub でした。」(登さん)

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GCP を採用した効果を只野さんは、「実際に GCP 使ってみると、大幅な効率化とコストの削減ができたことから、今回も再構築を決めました。効率化で約 2 倍、コストで半減程度の効果はあったと思っています。すでにエナジーゲートウェイのビジネスが開始されており、サービスが動いている仕組みを、1 から再構築する作業だったので、かなり勇気が必要な決断でしたが、結果として GCP に移行して良かったと思っています」と話します。

今後の取り組みについて伊藤さんは次のように話します。「ビジネス環境の変化が激しい現在、すべてを独自開発するのは困難です。そこで、機械学習においても、GCP の利用を検討しています。たとえば、機械学習の開発プロセスをサポートしてくれる Cloud AutoML を利用することで、機械学習の専門的な知識を持っていないエンジニアでも、より短期間で機械学習の開発を進めることができると期待しています。」

 また只野さんは、「国内ビジネスでは、IoT プラットフォームを開発し、ジョイントベンチャーを立ち上げて、サービスの提供を開始しています。今後は、利用者を増やしていくこと、海外展開の本格化を目指していくことが必要です。特に海外展開では、Google Cloud のグローバルなネットワークを活用できることを期待しています。すでに欧州、アジアはスタートしていますが、特に米国事業の本格化で Google Cloud のサポートに期待しています」と話しています。


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写真左から

  • 部長 Co-founder チーフプラットフォームアーキテクト 登 不二雄 氏

  • 代表取締役社長 只野 太郎 氏

  • 執行役員 技術開発責任者 伊藤 真人 氏 

インフォメティス株式会社

ソニー株式会社における人工知能、およびエネルギー分野の研究開発の成果をもとに、2013 年、家電分離技術を譲渡され独立。卓越した技術力と独創的な AI の活用で、機器分離推定技術を中心に、電力ディスアグリケーション事業、機器・システム販売事業など、エネルギーインフラに新たな価値を創造する事業展開を実施。2018 年、東京電力パワーグリッド株式会社と合弁で株式会社エナジーゲートウェイ設立。また、UK にも AI の研究所を設置し、欧州、アジア、米国への本格的な事業拡大も視野に入っている。


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