Phoenix Labs での Google Cloud 活用例: Dauntless でのトラフィック急増に対応
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2020 年 1 月 15 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
「Dauntless」は、プレーヤーがグループでモンスターと戦い、ラムズゲートの浮島を守るロール プレイング ゲームです。ベヒモスと呼ばれるモンスターを倒すごとに、倒したベヒモスと同じ材料で作られた新しい武器と鎧などの報酬が得られ、次の戦いに備えて自身を強化していくゲームです。
この Dauntless の制作において、ゲームスタジオ Phoenix Labs は、高い処理力、チームワーク、永続性の実現に焦点を当て開発を進めました。しかも、槍と剣ではなく、クラウドの力を駆使してこの目標の達成に挑みました。
コンテナとクラウドで未知の戦いに備える
ゲームの発売においては、ゲーム業界特有の技術的課題があります。ゲームが流行るかどうかを事前に予測することは不可能であるため、Phoenix Labs のようなデベロッパーは、プレイするユーザーの数と最終的に必要なサーバーの容量を正確に把握できないまま、多様なシナリオを検討する必要があります。さらに、Dauntless は PlayStation 4、Xbox One、PC のクロスプラットフォームでのプレイを可能にした業界初のゲームであったため、基盤となるすべてのクラウドベースのサービスが問題なく連携し、世界中のプレーヤーに途切れることなく、リアルタイムで一貫した操作感を提供できるようにすることが重要でした。
プレーヤーのニーズを満たすレベルの俊敏性を保つ対策として、Phoenix Labs はすべてのゲームサーバーを Google Cloud Platform(GCP)のコンテナで運用しています。このゲームスタジオでは、Dauntless が利用可能な各リージョン(北米、オーストラリア、ヨーロッパ、アジアの 5 大陸)に、カスタムの Google Kubernetes Engine(GKE)クラスタを配置しています。プレーヤーがゲームをロードすると、Dauntless でそのプレーヤーが最大 3 人の他のプレーヤーとマッチングされ、仮想チームが形成されます。チームメンバーで互いに協力し合いながらベヒモスを討伐するため近隣の島へと移動します。各「グループハント」は GKE のエフェメラルなポッドで実行され、プレーヤーがバトルを終えラムズゲートに戻り、武器を磨いて次の戦いに備えるまで、約 15 分間維持されます。
Phoenix Labs のテクノロジー担当バイス プレジデントである Simon Beaumont 氏は、次のように述べています。「サーバーのコンテナ化は、ゲーム業界、特に大規模なゲームではあまり一般的ではありません。この分野をリードする Google Cloud は、独自技術の専門知識でこの取り組みを先導しており、Google のプラットフォームではサービスとしての Kubernetes(Kubernetes-as-a-service)を本番環境で柔軟に利用できます。」
発売以降もプレーヤーと顧客のニーズに応える
今年の初めに Dauntless のベータ版をリリースした際に、必要なサーバー容量が非常に大きいことがわかりました。最初の 1 週間でプレーヤー数は順調に伸び、一気に 400 万人まで達しました。
プレーヤーから Reddit と Twitter に継続的に寄せられるフィードバックに対応するため、Phoenix Labs の精鋭チームは Google Cloud プロフェッショナル サービスと連携し、発売からわずか 1 週間の間に本番環境プラットフォームに 1,700 回を超えるデプロイを実行しました。
Phoenix Labs の CEO 兼共同創設者である Jesse Houston 氏は、次のように述べています。「Google Cloud の顧客第一の姿勢は、今まで見たことのないほどのものでした。GCP の顧客である私たちと同様に、プレーヤーのユーザー エクスペリエンスを重視してくれています。彼らの本気度がなければ、Dauntless は大失敗に終わっていたでしょう。」
成長を続ける「ベヒモス」、1 つのプラットフォームですべてを
Dauntless はユニーク プレーヤーが 1,600 万人を超え、Nintendo Switch でもリリースされました。そうした中、Phoenix Labs はロシアやポーランドなどの新しいリージョン(日本では最近発売)への展開に向けて、Google の他の機能を活用する準備を進めています。たとえば、Dauntless のデジタル マーケティング戦略の一環として Google 広告と YouTube を活用したことで、発売の最初の週に新たに 500 万人のゲーマーを取り込むことができました。また、YouTube マストヘッド広告の活用で視聴者への露出も増えました。Phoenix Labs は、数兆行のデータに基づいてクエリを数秒で返す速さと、その使いやすさを理由に Google Cloud のデータウェアハウス、BigQuery に移行しました。同社はレポート作成を簡素化し、すべての決定をデータを基に行えるよう、Google の BigQuery 用スプレッドシート データ コネクタの使用も始めています。
Google Cloud は、巨大なモンスターにも、Google プラットフォームをマルチプレーヤー型ゲームにとって最適な場所にするという困難なタスクにも屈しません。あらゆる規模のゲーム デベロッパーが Google Cloud と連携してゲームをさらに高いレベルへと引き上げている事例を、こちらでご覧ください。
- By Google Cloud ゲーム マネージング ディレクター Sunil Rayan