Google Cloud Platform

富士ゼロックス株式会社の導入事例:Google Cloud Platform の導入で 15 年続く人気オンライン プリントサービスのコストが最大 10 分の 1 に

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OA 黎明期に複写機市場で絶大な存在感を示し、今ではオンラインサービスなども含め、より幅広い市場で、オフィスプロダクトおよびドキュメントソリューションを提供している富士ゼロックス株式会社。今回は、そんな同社が提供するコンビニ連動型のプリントサービス「ネットプリント」の背面で Google Cloud Platform がどのように活用されているかを担当者の皆さんに聞いてきました。

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■ 写真左から

ソフトウェア開発本部 第四 SPF 開発センター
大石 忠広氏

ソフトウェア開発本部 第四 SPF 開発センター
南 良知氏

ソフトウェア開発本部 第四 SPF 開発センター
岩尾 一優氏

■ 利用している Google Cloud Platform サービス

Google Compute EngineGoogle App EngineGoogle Cloud StorageGoogle StackdriverGoogle BigQueryCloud Datastore など

富士ゼロックス株式会社

富士ゼロックスは富士フイルムホールディングスのグループ企業で、富士フイルムホールディングスが 75%、ゼロックス・リミテッドが 25% の株式を保有し、デジタル複合機をはじめとしたオフィス機器、パブリッシング・システム、ドキュメント・マネジメント・ソフトウェアや関連ソリューション/サービスを、日本および中国を含めたアジア・パシフィック地域で生産・販売しています。18 年 3 月に発表した価値提供戦略「Smart Work Innovation」の実現に向け、人や組織がより効率的に、イノベーティブに仕事ができる環境の構築を目指しています。1962 年に設立、社員数は連結で約 47,000 人、80 以上の国内外関連会社/販売会社を有しており、連結売上額売上額は 1 兆 500 億円(2017 年度)です。

Google App Engine で自動的にコストダウン、高速化、そして何より作っていて楽しい


PC やスマートフォンからアップロードされた文書や写真のデータを、セブン-イレブンのマルチコピー機(複合機)から簡単な操作でプリントできる、富士ゼロックスの「ネットプリント」サービス。自宅にプリンタがないから、出先ですぐに書類をプリントアウトしたいなど、幅広いシーンで活用されています。

2003 年のサービス開始当初はオンプレミスのサーバー上で運用していた同サービスでしたが、2016 年 9 月、それまで使っていたシステムが EOL を迎えることを受けて、サービスのクラウド移行を本格的に検討し始めます。

「複数のクラウドプラットフォームを検討し、いくつかの理由から Google Cloud Platform(GCP)を採用することにしました。そのタイミングで東京リージョンができたことも大きかったものの、最も大きな理由はやはり費用。取り急ぎポーティングで既存システムを Google Compute Engine(GCE)上に構築するやり方を選んだのですが、その場合でも GCP なら従来と比べて約 50% 安価だったんです。また、将来的に Google App Engine(GAE)に切り替えていけば、より一層コストを下げられそうだということも GCP への移行を後押ししました。」(岩尾さん)

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その後、約 3 か月の設計期間を経て、2017 年春のリリースに向けた本格的な開発作業がスタート。多くのお客さまが利用するコンビニエンスストアに提供するサービスですから、実際にやってみたら上手く行かずにメンテナンス時間延長、ということは許されません。その開発には慎重の上に、慎重を期したそうです。

「まずはポーティングからということで、オンプレミスで動いていたサーバーを設定などを含め、そっくりそのまま GCP 上に再現……できれば良かったのですが、現実的にはそう簡単にはいきません。そこのトライアンドエラーにはやはり時間がかかりましたね。」(大石さん)

「そして、それとは別にセキュリティをどうするのかという問題も発生しました。オンプレミスではファイアウォールなど、セキュリティの概念が分かりやすかったのですが、GCP はその辺りが特殊で、考え方のシフトが必要でした。また、モニタリングに Stackdriver を導入したのですが、当時はまだ β 版だったために資料が少なく、使いこなしには苦労しましたね。ただ、その際、Google のカスタマーエンジニアが丁寧に支援してくださったのは大きな助けになりました。ハンズオンや『Cloud OnBoard』『Google Cloud Next』など、学びの機会が多かったことも評価しています。結果として、2017 年春には予定通りサービスを GCP に移行することができました。」(岩尾さん)

そして、その後、チームが取り組んだのが、GAE を活用したさらなる効率化。まずは、2018 年に向け導入を予定していた、ユーザー登録/ログイン不要の新サービス「ネットプリントサービス lite」のサーバーサイドを GAE で新規に構築することにしました。

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ネットプリント システム構成図

「GAE の開発で驚かされたのは、Web アプリケーションを作るような感じで書けるのに、中身は一瞬で起動して、しかも高速でスケールすること。これまでは起動に 2~3 分かかっていたものが、GAE + Go だと数十ミリ秒で起動するというのだからすごい。また、ネットプリントは時間帯によって最大 10 倍程度負荷が異なり、季節によっても大きな増減があるのですが、それをオートスケールまかせにできるため、無駄な VM 稼働が減り、コストが 10 分の 1 程度にまで削減できました。もちろん、新たに学ばねばならないことも多かったのですが、フルマネージドサービスということで、その辺りの手間は相殺。サーバー構築などのお膳立てが必要なくなるため、純粋な開発にだけ取り組むことができました。作っていて “楽しい” と感じる環境でしたね。」(南さん)

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「むしろ苦労したのはマネージメント層へのプレゼン(笑)。GAE のような新しい技術をどのように理解してもらうかのハードルの方が高かったかもしれません。この時に効いたのが他社の事例紹介。『Google Cloud Next』などのイベントで紹介された大手のさまざまな成功事例や GCP ブログで公開している技術的な記事を見せることで、彼らの不安を払拭させることができました。」(岩尾さん)

BigQuery の導入によってデータ分析が高速かつ正確に


また、これと並行するかたちで、データ分析基盤に BigQuery を導入。それまでは担当者が監視サイトから、必要な売り上げ情報やエラー情報などをローカルの PC にダウンロードし、表計算ソフトを使って分析するということをやっていたそうです。「データを収集するのに膨大な時間がかかっており、極めて非効率的でした。」(大石さん)

それを、BigQuery と OSS のダッシュボードツール「Re:dash」との組みあわせで、リアルタイムに “見える化” 。それまで 2 週間近くかかっていた企画書や月次レポート制作の手間を劇的に軽減することができました。

「その上で、これまではできなかったビッグデータの解析も可能に。実は従来のやり方では 1 年間を通したデータの分析が現実的ではなく、平日の代表はこの日、休日の代表はこの日と、代表的なデータを抜き出すようなかたちで分析していました。しかし、この仕組みができてからは、過去のデータを正しく集計できるように。現在は、エンジニアがクエリを書いていますが、将来的には非エンジニアもクエリを書けるようにして、さらなる効率化を図っていきたいですね。」(岩尾さん)

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データ分析基盤 システム構成図

今後も、最新の GCP プロダクトを駆使してサービスを充実させていきたい


富士ゼロックスの GCP 導入は、まだこれで終わったわけではありません。今回お話をお伺いした 3 人が、それぞれさらなる活用を考えているとのこと。最後にその “野望” について語ってもらいました。

「私は Firebase を使ってみたいですね。これまではサーバーサイドに来る前に、モバイルアプリ上でエラーになっていたものを検知しようがなかったのですが、Firebase を使えば、あらかじめイベントを仕込んでおくことでエラーを検知することができます。また、外部向けには Apigee も気になるところ。現在も一部の法人向けに API を提供しているのですが、今後はこれを使って API をオープン化していきたい。オンラインサービスやアプリに自由にネットプリントを組み込んでもらえるようにしたいです。」(岩尾さん)

「実はまだいくつかのコア機能がオンプレに残っているので、それを徐々にクラウド移行していかねばなりません。ただ、その中には、すんなり GAE に移行できなさそうなものも。こうしたものは、Google Kubernetes Engine(GKE)とかを使って、クラウド化していきたいですね。後はよりデータベースのパフォーマンスを高めるために、Cloud Spanner も使ってみたいと思っています。」(南さん)

「私が使ってみたいのは、Cloud SQL。ネットプリントは、8 ケタの予約番号でデータをプリントアウトできる仕組みなのですが、その予約番号を Twitter(Twitter は Twitter.Inc. またはその関連会社の登録商標です) などの SNS で拡散させて、チラシや自作イラストなどを配布するという使い方が始まっているんですよ。その利用動向をデータ分析基盤に取り込み、機械学習などを駆使して、どういったデータがバズっているのかなどを把握、サービスの新たな活用法を提案していきたいなと考えています。」(大石さん)

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