顧客事例

ブラウザ翻訳システムを Cloud Translation API で構築 翻訳の精度やセキュリティ、専門用語に対応できる柔軟性で採用を決定

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世界中の顧客に、「夢」や「感動」に溢れるサービスで、安全かつ高品質な空の旅を提供する全日本空輸株式会社(以下、ANA)。同社 CS推進部では、より一層の顧客満足度の向上を目的に、「ご意見・ご要望デスク」を運営しています。今回、グローバル対応の一環として開発したブラウザ翻訳システムのプラットフォームに GCP を採用。開発の中心となった ANA のキーマン 3 名と、開発をサポートしたトップゲートのエンジニア 1 名に話を伺いました。


利用している Google Cloud Platform サービス

Google App EngineCloud DatastoreGoogle Cloud Storage
Cloud Translation APICloud Natural Language API

写真右から

  • 全日本空輸株式会社 CEマネジメント室 CS推進部 業務チーム 姫井 淳子氏
  • 全日本空輸株式会社 CEマネジメント室 CE戦略部 顧客データ分析チーム 博士(情報学) マネジャー 長尾 若氏
  • 全日本空輸株式会社 CEマネジメント室 CS推進部 CS教育推進チーム 魚住 晃之氏
  • 株式会社トップゲート システムソリューション事業部 マネージャー 山本 昭弘氏

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全日本空輸株式会社

1952 年に、安全運航を第一に航空輸送事業を開始。2016 年には、国際線就航 30 周年を迎えています。現在、定期航空運送事業、不定期航空運送事業、航空機使用事業、その他附帯事業を展開。「安心と信頼を基礎に、世界をつなぐ心の翼で夢にあふれる未来に貢献します」という企業理念に基づいて、お客様満足と価値創造で世界のリーディング エアライングループを目指す取り組みを推進。航空運送事業を中核とする世界トップクラスのエアライン グループとして成長を遂げ、年間旅客数は 5,000 万人を突破しています。
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株式会社トップゲート

(Google Cloud Platform パートナー)

GCP の採用で「ご意見・ご要望デスク」の業務効率化を推進

一貫した高品質なサービスの提供や、グローバル カスタマーのニーズを踏まえたサービス改善を継続的におこなっていることが高く評価されている ANA 。英国 ロンドンを本拠地とする航空業界の格付け会社である SKYTRAX 社の「ワールド・エアライン・スター・レーティング」において、世界最高評価の「5 スター」を獲得しています。


サービス品質向上の取り組みの一環として ANA では、「ご意見・ご要望デスク」を運営しています。ご意見・ご要望デスクに寄せられるお客様の声は、国内はもちろん、海外からも届きます。たとえば、海外の空港に関する改善要望があった場合、その国の空港に情報共有する必要があります。

このとき、まずは日本語でレポートを作成しますが、米国の空港の場合、英語でも共有が必要です。長尾さんは、「翻訳ができるスタッフに集中して負荷がかかることや、翻訳会社に依頼する場合、時間とコストがかかるため、情報をタイムリーに現地スタッフに共有できないことが課題でした」と話します。

こうした背景から、ブラウザ翻訳システム「WACA(Words Advanced Communication Approach)」を構築することを決定。開発プラットフォームとして、Google Cloud Platform(GCP)が採用されています。GCP の採用に至った評価ポイントは、翻訳の精度とセキュリティ、航空業界特有の専門用語にも対応できる柔軟性でした。

更なる業務改革に向け Cloud Speech-to-Text など GCP の充実したサービスにも期待

WACA の開発は、2017 年 4 月より検討を開始し、5 月に GCP の採用を決定。システム開発、運用、改善のサイクルを何度か繰り返し、12 月より本格的な運用を開始しています。システム構成としては、Cloud Datastore と Cloud Storage 上の単語辞書に登録された専門用語に基づいて、Cloud Translation API を介してブラウザ上で翻訳ができる仕組みを、Google App Engine(GAE)上に構築しています。翻訳精度を上げるために、最初に Cloud Natural Language API を通して、登録した辞書を利用し形態素解析をおこない、それから Cloud Translation API を通し翻訳をしています。

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また、Chrome の拡張機能を利用することで右クリックにより翻訳ができる操作性を実現しています。魚住さんは、「Chrome 上で翻訳したいテキストを選択し、右クリックをすると翻訳メニューが開くので、現在、登録されている 9 か国語から、翻訳したい言語を選べば翻訳ができます。翻訳が自動化されたので、手作業による翻訳の負荷が削減されました」と話します。

一般的なウェブサイトの翻訳ツールでは、翻訳したい文書をコピーして、翻訳窓にペーストし、翻訳ボタンをクリックするという 3 ステップが必要でした。WACA では、右クリックのみの 1 ステップで翻訳できるので、作業工数の削減にもつながります。また、WACA は社内システムなので、情報が外部に漏れず、セキュリティを意識することなく利用できます。

翻訳精度の向上で、1 点だけ課題となったのは、航空会社には略語などの専門用語が多く、それに対応することでした。たとえば、それらの専門用語を翻訳すると不自然な表現になり、文章として成立しません。GCP では、専門用語を登録するための単語辞書の仕組みの実現など、カスタマイズにも柔軟に対応できることが高く評価されています。

辞書登録について姫井さんは、次のように話します。「辞書登録は、ご意見・ご要望デスクのスタッフから登録したい用語を募り、一括して csv で Cloud Datastore に登録しています。辞書登録をすることで、より精度の高い翻訳が可能になりました。辞書登録をすることで、翻訳精度が格段に上がり問い合わせ対応業務の効率化につながっています。翻訳精度の向上とともに、ご意見・ご要望デスクのスタッフにも、WACA はかなり浸透してきました。」

今後は、人工知能(AI)や画像認識などの活用による翻訳精度のさらなる向上や、Dialogflow による問い合わせに迅速かつ簡単に対応できるチャットボットの構築など、より一層の業務効率化を実現できる仕組みを検討していく予定です。

Google Cloud Platform パートナーのサポート

今回、WACA の開発をサポートしたトップゲートを選定した理由を長尾さんは、次のように話します。「Google Cloud の担当者に紹介いただいた複数のパートナーへ連絡をしてみたところ、レスポンスが早かったことや、以前、別のシステム開発をサポートしてもらった実績を評価し決めました。」

WACA の開発で、特にこだわったのは、翻訳の精度とセキュリティです。お客様の声には、個人情報が含まれる場合もあるので、ウェブサイトの翻訳サービスは利用できません。セキュリティを担保しながら、航空業界の特別な用語にも対応した、精度の高い翻訳をいかに実現できるかが最大のポイントでした。

山本さんは、「苦労したのは、専門用語をいかに高精度で翻訳するかです。Cloud Translation API のドキュメントをひたすら読み、特性を想像しながらトライ&エラーを繰り返しました。セキュリティに関しては、G Suite のアカウントでログインすることで、G Suite の権限設定を生かし、セキュアなブラウザ翻訳システムへのアクセスを可能にしています。G Suite と GCP は相性がいいので、セキュリティを担保できました」と話します。
長尾さんは、「仕様策定の初期の段階から、非常に丁寧にサポートしてもらっています。操作性の検討時にも、A 案、B 案を図解によりわかりやすく説明してもらえました。CS推進部でも、まだまだできることはたくさんあります。今後もトップゲート様には、お客様視点での改善に生かすことができる提案を期待しています」と話しています。

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