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データ分析

TELUS、データ サイエンスでモダナイゼーションを加速

2022年1月27日
Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2022 年 1 月 22 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

編集者注: カナダの通信 IT 企業 TELUS は、Google Cloud サービスを活用してデータ サイエンスへのアプローチを変革しました。同社がデータのサイロ化を打破して、データ エンジニアリング タスクを促進し、誰もがデータにアクセスできるようにした方法を紹介します。  


世界有数の通信 IT 企業として、TELUS は常にイノベーションの最前線にあります。この数年で TELUS のデジタル化の取り組みは大きく進展し、システムやネットワークのモダナイゼーションにより、新しくて優れた成長の機会を創出しています。しかし、その過程で、さまざまなシステムにわたり膨大な量の重要データがいや応なく蓄積され、チームはデータにアクセスすることが困難になっていました。

TELUS のビジョンは、サイロ化されたデータを統合して、組織全体にわたってデータを民主化し、データ サイエンス チームが有意義で高品質の分析情報を抽出してビジネス上の重要な意思決定を支援できるようにすることでした。TELUS は、Google Cloud との提携により、データの真の可能性を引き出して有益な分析情報を取得し、優れたカスタマー エクスペリエンスを提供するアプローチを取ってクラウド変革を進めてきました。

サイロ化されたデータアセットから信頼できる単一の情報源へ

この変革で最初に行ったのは、サイロ化されたデータアセットをクリーンアップして Google Cloud への移行を開始し、BigQueryDataflowCloud ComposerCloud BigtableCloud Storage によって構築されている共通データレイヤーにすべてのデータポイントを集約することでした。

この過程では、信頼できる単一のデータ情報源を確立するうえで、データ ガバナンスがきわめて重要でした。そこで、チームの効率性を向上させ、生産性を高めるために、TELUS メタデータ リポジトリを作成して、データアセット(出所、ビジネスの説明、プライバシーとセキュリティの分類)に関する情報をドキュメント化しました。

データの民主化により新しいユースケースが開拓される

Google Cloud との提携は、組織全体にわたるデータの民主化にもつながり、各ビジネス ユニットは相互にデータを共有したり、より効果的にコラボレーションしたりできるようになりました。

TELUS のデータの範囲は通信業界だけにとどまらず、医療、セキュリティ、農業といったさまざまなビジネス ユニットにまで及びます。そういったさまざまなデータセットすべてをまとめることによって、カナダの人々の生活向上に役立つ新しいユースケースが生まれています。たとえば、TELUS の Data for Good(データによる社会貢献)プログラムは、世界的なパンデミックの中、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の拡大状況の追跡に貢献しました。このプログラムでは、政府、衛生機関、学術研究者に、強固に匿名化され集約化されたネットワーク モビリティ データへのアクセスを無料で提供することにより、COVID-19 の感染拡大曲線を平坦化し、健康と経済への影響を軽減し、COVID-19 や他のパンデミックの今後のフェーズを阻止または軽微化するというイニシアチブを支援しました。

データと AI のライフサイクルを統合する

TELUS のデータ サイエンス チームは、Google Cloud サービスを活用することで大きく前進し、機械学習(ML)モデルの開発とデプロイにかかる時間を短縮できています。Google Cloud ではきわめて高度なコンピューティング インスタンスをテストしており、特に Vertex AI では、データと AI のライフサイクルを統合することで、データの探索、集約、クリーンアップからモデルの構築、トレーニング、テストそして最終的には本番環境での ML モデルのデプロイに至るまでの取り組みを加速化しています。データ サイエンス チームは、Vertex AI の利用により ML モデルの開発とテストを加速できているうえ、今後も機械学習オペレーション(MLOps)を実装することで開発ライフサイクルを通して ML プロジェクトを効率的に構築、管理できるようになるでしょう。

イノベーションを加速する

クラウドへの移行は、モデル開発を加速させただけでなく、イノベーションの迅速化も実現しています。当社は早い段階でウォーターフォール型からアジャイル型のマインドセットに移行しましたが、ほんの数時間でより多くのアイデアを試すためには、さらに迅速なフレームワークが必要でした。現在は、データ サイエンス チームがアイデアを迅速にテストし、イテレーションを加速し、失敗の影響を最小限に抑えることができるように支援することで、これまで数か月かかっていた意思決定をほんの数日で行うことができるようになっています。プロジェクトが成功するかどうかにかかわらず、無駄な時間が削減されることは重要です。

プライバシーとセキュリティは引き続きすべての中心にある

データ サイエンスの実践を拡大し、こういったツールの組織全体での使用もさらに拡大する中で、データを安全に保つことは引き続き最優先事項です。そこで、お客様の個人情報を保護する取り組みを反映するために TELUS Trust Model(信頼モデル)を確立しました。関係者との信頼関係を築くために、個人情報のデータは常に慎重に扱い、セキュリティとプライバシーがプロジェクトの各段階で確保されるようにしています。Google Cloud を利用することで、データを完全に制御でき、分析に使用する情報が常に匿名化されるため、サブスクライバーが特定されることはありません。Google Cloud が提供するデータ損失防止(DLP)サービスは、分析情報を取得するまでの時間を長引かせることなく機能します。また、モントリオールとトロントの Google Cloud のロケーションを活用して、データ主権に関する要件をサポートし、お客様の情報がカナダ国外に出ることのないよう保持できています。

データ推進派が TELUS の組織文化を形作る

Google Could への移行により、TELUS は組織文化においても大きく転換しています。TELUS が、貴重な分析情報を作成してビジネスの成果を最大化し、お客様に優れたエクスペリエンスを提供するという、知見に基づいた次世代の組織となるよう取り組みを進めています。前進を続けながら、今後も分析情報、AI スキル、テクノロジを活用して、人的そして社会的に意義のある成果を挙げ、より強固で、健康で、持続可能なコミュニティの形成をサポートしていきます。

TELUS の Data for Good イニシアチブとデータクラウドのすべてのユースケースは、こちらからご覧ください。


- TELUS 人工知能および高度分析担当ディレクター Alexandre Guilbault 氏
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