このページでは、Cloud Build ビルドを高速化する際のおすすめの方法について説明します。
よりスリムなコンテナのビルド
アプリケーションをコンテナ化する際に、ビルド時の依存関係や中間ファイルといった、ランタイムに不要なファイルが誤ってコンテナ イメージに含まれることがあります。こうした不要なファイルによってコンテナ イメージのサイズが拡大し、コンテナ イメージ レジストリとコンテナのランタイムとの間でイメージを移動するときに余計な時間と費用がかかる可能性があります。
コンテナ イメージのサイズを小さくするには、アプリケーションのビルドをビルド用のツールとともに、ランタイム コンテナの組み立てから分離します。
詳しくは、よりスリムなコンテナのビルドをご覧ください。
Kaniko キャッシュの使用
Kaniko キャッシュは、Cloud Build の機能の 1 つであり、コンテナビルドのアーティファクトをキャッシュに保存します。キャッシュ保存の際は、コンテナ イメージ レジストリ(Google 独自の Container Registry など)内に中間レイヤが保存され、インデックス付けされます。レジストリ内のレイヤは、以降のビルドに利用できます。詳しくは、Kaniko キャッシュの使用をご覧ください。
キャッシュされた Docker イメージの使用
Docker イメージビルドの速度を上げる最も簡単な方法は、後続のビルドに使用できるようにキャッシュ イメージを指定することです。ビルド構成ファイルに --cache-from
引数を追加すると、キャッシュされたイメージを指定できます。これにより、Docker はこのイメージをキャッシュ ソースとしてビルドします。
Docker イメージは、スタックレイヤから構成されています。--cache-from
を使用すると、変更されたレイヤからビルドの最後までのすべてのレイヤが再構築されます。したがって、Docker ビルドの初期段階でレイヤを変更する場合には、--cache-from
の使用は得策ではありません。
ビルドに --cache-from
を常に使用することをおすすめしますが、次の点に注意してください。
- キャッシュから取得するには、以前にビルドした Docker イメージが必要です。
--cache-from
は Docker ビルドにのみ使用できます。他の種類のアーティファクトを作成するビルダーには使用できません。- キャッシュされたイメージはレジストリから取得する必要があります。このため、ビルドにかかる時間が長くなることがあります。
次の例では、以前にキャッシュされたイメージを使用してビルドする方法を説明します。
YAML
ビルド構成に、次の処理を追加します。
- キャッシュされたイメージを Container Registry から pull します。下記の
docker pull
ビルドステップでは、entrypoint
をbash
に設定し、コマンドの実行で返されるエラーを無視できるようにしています。初めてイメージをビルドする際は、docker pull
で pull できる既存のイメージがないため、このように設定する必要があります。 再ビルドでイメージを使用できるように
--cache-from
引数を追加します。steps: - name: 'gcr.io/cloud-builders/docker' entrypoint: 'bash' args: ['-c', 'docker pull gcr.io/$PROJECT_ID/[IMAGE_NAME]:latest || exit 0'] - name: 'gcr.io/cloud-builders/docker' args: [ 'build', '-t', 'gcr.io/$PROJECT_ID/[IMAGE_NAME]:latest', '--cache-from', 'gcr.io/$PROJECT_ID/[IMAGE_NAME]:latest', '.' ] images: ['gcr.io/$PROJECT_ID/[IMAGE_NAME]:latest']
[IMAGE_NAME] はイメージの名前です。
- キャッシュされたイメージを Container Registry から pull します。下記の
上記のビルド構成でイメージをビルドします。
gcloud builds submit --config cloudbuild.yaml .
JSON
ビルド構成に、次の処理を追加します。
- キャッシュされたイメージを Container Registry から pull します。下記の
docker pull
ビルドステップでは、entrypoint
をbash
に設定し、コマンドの実行で返されるエラーを無視できるようにしています。初めてイメージをビルドする際は、docker pull
で pull できる既存のイメージがないため、このように設定する必要があります。 再ビルドでイメージを使用できるように
--cache-from
引数を追加します。{ "steps": [ { "name": "gcr.io/cloud-builders/docker", "entrypoint": "bash", "args": ["-c", "docker pull gcr.io/$PROJECT_ID/[IMAGE_NAME]:latest || exit 0"] }, { "name": "gcr.io/cloud-builders/docker", "args": [ "build", "-t", "gcr.io/$PROJECT_ID/[IMAGE_NAME]:latest", "--cache-from", "gcr.io/$PROJECT_ID/[IMAGE_NAME]:latest", "." ] } ], "images": ["gcr.io/$PROJECT_ID/[IMAGE_NAME]:latest"] }
[IMAGE_NAME] はイメージの名前です。
- キャッシュされたイメージを Container Registry から pull します。下記の
上記のビルド構成でイメージをビルドします。
gcloud builds submit --config cloudbuild.json .
Google Cloud Storage でのディレクトリのキャッシュ
ビルドの速度を上げるには、以前のビルドの結果を再利用します。以前のビルドの結果を Google Cloud Storage バケットにコピーし、その結果から計算を行い、新しい結果をコピーしてバケットに戻すことができます。ビルドに時間がかかるときに、生成されるファイル数が少なく、Google Cloud Storage とのコピーに時間がかからない場合は、この方法を使用します。
Docker ビルド専用の --cache-from
とは異なり、Google Cloud Storage のキャッシュは、Cloud Build でサポートされているすべてのビルダーで使用できます。
Google Cloud Storage を使用してディレクトリをキャッシュするには、次の手順を行います。
YAML
ビルド構成ファイルに、次の処理を追加します。
- Google Cloud Storage バケットから前のビルドの結果をコピーします。
- 現在のビルドの結果を使用します。
新しい結果をバケットにコピーします。
steps: - name: gcr.io/cloud-builders/gsutil args: ['cp', 'gs://mybucket/results.zip', 'previous_results.zip'] # operations that use previous_results.zip and produce new_results.zip - name: gcr.io/cloud-builders/gsutil args: ['cp', 'new_results.zip', 'gs://mybucket/results.zip']
上記のビルド構成を使用して、コードをビルドします。
gcloud builds submit --config cloudbuild.yaml .
JSON
ビルド構成ファイルに、次の処理を追加します。
- Google Cloud Storage バケットから前のビルドの結果をコピーします。
- 現在のビルドの結果を使用します。
新しい結果をバケットにコピーします。
{ "steps": [ { "name": "gcr.io/cloud-builders/gsutil", "args": ["cp", "gs://mybucket/results.zip", "previous_results.zip"] }, { // operations that use previous_results.zip and produce new_results.zip }, { "name": "gcr.io/cloud-builders/gsutil", "args": ["cp", "new_results.zip", "gs://mybucket/results.zip"] } ] }
上記のビルド構成を使用して、コードをビルドします。
gcloud builds submit --config cloudbuild.json .
不要なファイルのアップロードの回避
ビルドがトリガーされると、Cloud Build で使用するためにコードのディレクトリがアップロードされます。
アップロード時間を最適化するには、.gcloudignore
ファイルを使用して、ビルドに不要なファイルを除外します。
たとえば、一般に次のファイルは除外します。
- プロジェクト デベロッパー用のドキュメントとサンプルコード
- 生成されたスキャフォールディング コード、バイナリ、
*.jar
ファイルや、開発で使用したコンパイル済みウェブアセット - ローカル開発用に組み込まれたサードパーティの依存関係
これらのファイルの除外に対応する .gcloudignore
ファイルを準備するには、プロジェクト ルートにファイルを作成し、次の内容を含めます。
.git
dist
node_modules
vendor
*.jar
コンパイル済みコードとサードパーティの依存関係を除外すると、より一貫したビルドプロセスになります。さらに、まだ開発中のコードを誤ってデプロイするリスクも軽減されます。
次のステップ
- ビルド用の vCPU を増やす方法を学習する。