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リテール

どのようにして需要予測の応答性を向上させリアルタイムに近づけるか - それを実現する Vertex AI

2022年1月25日
Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2022 年 1 月 19 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

誰もが未来の見える水晶玉を手に入れたいと願っています。次に来る大きなトレンドを探る小売業者や消費財企業、これから起こる大きな混乱を懸念する物流企業は特にです。

今では、まさに宇宙規模とも言えるデータを指先で(またはキーボード操作だけで)扱い、AI や機械学習ツールを適切に活用することで、企業はさまざまな分野におけるリアルタイムの予測を入手できるようになりつつあります。

小売業者、サプライ チェーン、消費財企業にとって、正確な需要予測は常に効率的なビジネスプランの作成、在庫管理、物流の効率化、顧客満足を実現するための重要な推進力となってきました。正確な予測は、的確な製品を必要な量だけ、適切な場所に届けるためにとても重要です。

お客様は在庫切れを嫌がりますが、在庫過多になると、コストがかかり無駄が発生します。IHL グループによると、小売業者は不適切な在庫管理により、年間 1 兆ドル以上の損失を出しているが、需要予測の精度が 10%~20% 向上すると在庫コストは 5% 削減され、2%~3% の収益増加に直結するとのことです(AI フロンティアからのメモ、McKinsey & Company)。

しかし、在庫管理は、需要予測をサポートする数あるアプリケーションのうちのひとつにすぎません。小売業者は、繁忙期に向けて店舗やサポート センターの人員を配置、プロモーションを計画、店舗やオンライン トラフィックに影響を与えるさまざまな要素を評価する必要があります。

小売業者の製品カタログやグローバルな展開が拡大するにつれ、利用可能なデータはより複雑になり、正確な予測が難しくなっています。パンデミックによる制約を受けない活動は、変化のペースが非常に速いため、サプライ チェーンのボトルネックと予測に関する課題を浮き彫りにしました。

小売業者は、Vertex AI Forecast を活用することで、従来の需要予測に機械学習を導入し、高い予測精度を実現できるようになりました。これは、Google Brain の研究者から生まれた最新のイノベーションの一つで、企業へ速やかに提供されます。

2 時間以内に高いパフォーマンスを発揮するモデル

Vertex AI Forecast は、BigQuery や CSV ファイルから、何千もの商品ラインに関する長年にわたる過去のデータを網羅した、最大 1 億行のデータセットを取り込むことができます。このパワフルなモデリング エンジンを使用すると、データ処理や異なる何百種類ものモデル アーキテクチャの評価が自動的に行われ、最適なものを 1 つのモデルにパッケージ化します。これにより、高度なデータ サイエンスに関する専門知識がなくても簡単に管理できます。

ユーザーは、最大 1,000 種類のさまざまな需要推進要因 (色、ブランド、プロモーション スケジュール、e コマースのトラフィック統計情報など)を選択し、予算を設定して予測を作成できます。市況の変化の速さを考えると、小売業者は迅速に学習できるアジャイルなシステムを必要としています。Vertex AI Forecast を使用すると、チームは手動でのモデル チューニングなしに、わずか 2 時間のトレーニングで、高精度な需要予測を構築できます。

Vertex AI Forecast の重要な部分は、モデル アーキテクチャの検索です。そしてこのサービスによって何百もの異なるモデル アーキテクチャと設定を評価します。このアルゴリズムにより、Vertex AI Forecast は、さまざまなお客様やデータセットに対して、常に最善のパフォーマンスを発揮するモデル設定を検出できます。

Google は、正確な需要予測の芸術と(データ)科学を融合させるために、非干渉型かつコンテキストに基づく方法で需要予測に適用される頭脳を効果的に構築したのです。Kaggle のデータセットに基づいたベンチマーク テストにおいて Vertex AI Forecast は、世界トップレベルの予測のコンペティションである M5 で誤差率 3% という最も高い精度を達成しました。

大手小売業者では、すでにオペレーションの変革を推進し、高精度の予測からメリットを得ています。

Magalu の分析、戦略企画担当ディレクターである Fernando Nagano 氏は次のように述べています。「Magalu は、Vertex AI Forecast を導入して、流通センターレベルで予測を行い、同時に予測エラーを減らすことで、予測を変革しました。」

Nagano 氏はこう続けます。「4 週間のライブ予測では、従来のモデルと比べてエラー(WAPE)が大幅に改善されました。この高精度な分析情報により、在庫の割り当てと補充をより効率的に計画し、お客様のニーズに合わせて的確な製品を適切な場所に理想的なタイミングで配置して、コストを適切に管理できるようになりました。」

ウェザー情報からレザーまで、あらゆる入力データに対応する Vertex AI

Vertex AI Forecast が備える階層型の予測機能により、小売業者は複数のレベルで機能する高精度の予測を作成し(例えば、個々の項目に関して、店舗レベルの要求と地域レベルの需要を結びつける)、組織のサイロによって生じる課題を最小限に抑えることができます。また、階層型モデルでは、過去のデータが不足していても全体的な精度を向上させることができます。個々の商品の需要が無秩序すぎて予測できない場合でも、このモデルは製品のカテゴリー レベルでパターンを見つけ出すことができます。

Vertex AI を使用すると、大量の構造化データと非構造化データを取り込むことができるため、プランナーは、ウェザー情報、商品レビュー、マクロ経済指標、競合他社の動向、物価、運賃、海上輸送業者のコストなど、関連する多くの需要推進要因を含めることができます。Vertex AI Forecast の説明可能性機能は、このような推進要因がそれぞれどのように予測に寄与しているかを示し、意思決定者が需要の推進要因を理解して早期に対応できるようにサポートします。

需要推進要因の特性は、全体の予測だけでなく、あらゆる時点で個別の項目についても利用可能です。たとえば、プランナーは衣料品のカテゴリーで、平日はプロモーションが需要を推進していますが、休日はそうではないことに気がつくかもしれません。このような分析情報は、予測に対してどのように行動するかを決定する際に、非常に貴重なものとなり得ます。

Lowe's のイノベーション、データ、サプライ チェーン テクノロジー担当シニア バイス プレジデントである Amaresh Siva 氏によると、すでに同社の 1,700 以上の店舗で Vertex AI Forecast のさまざまなモデルが活用されているということです。

Siva 氏は次のように述べています。「Lowe's の店舗やオペレーションは全米に広がっているため、特定の店舗への在庫の割り当てや、需要の高い商品の補充に関する決定には、SKU レベルの精度の高い予測が不可欠です。Vertex AI Forecast を使用することで、Lowe's は SKU レベルと店舗レベルの予測のバランスを保つ、正確な階層型モデルを作成することができるようになりました。このようなモデルでは、店舗レベル、SKU レベル、地域レベルの在庫、プロモーション データ、その他複数のシグナルが考慮されていて、より正確な予測を実現しています。」

o9 Solutions や Quantiphi を始めとする主要な小売パートナーやサプライ チェーン パートナーは、すでに Vertex AI Forecast を実装し、顧客に付加価値サービスを提供しています。Vertex AI による需要予測の詳細については、フィールド営業担当者にお問い合わせいただくか、こちらから Vertex AI を無料でお試しください。


- プロダクト管理、Cloud AI、業種別ソリューション担当ディレクター Craig Wiley
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