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AI & 機械学習

Google Cloud が Vertex AI を公開: 各種 ML ツールを統合したプラットフォーム

2021年5月20日
Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2021 年 5 月 19 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

本日の Google I/O にて、マネージド機械学習(ML)プラットフォームである Vertex AI が一般提供になることが発表されました。このプラットフォームは、企業において人工知能(AI)モデルのデプロイおよび維持を迅速に行えるようにするものです。Vertex AI は、他の競合プラットフォームに比べ、モデルのトレーニングに必要なコードの行数をおよそ 80% 少なくできるのが特長です[1]。これにより、専門知識の深浅を問わず、あらゆるレベルのデータ サイエンティストや ML エンジニアが機械学習オペレーション(MLOps)を実装し、開発ライフサイクル全体を通じて効率的に ML プロジェクトを構築、管理することが可能となります。

現在、データ サイエンティストは別々の機械学習の部分的なソリューションを手動で組み合わせることを余儀なくされています。その結果、モデルの開発やテストの段階で時間的な遅れが生じ、実際に本番環境の運用にこぎつけるモデルはごくわずかに限られているのが現状です。このような問題に対処するため、Vertex AI は複数の Google Cloud サービスをまとめ、統合された UI および API のもとで ML を構築できるようにしているのが特長です。機械学習モデルの構築、トレーニング、デプロイのプロセス全体を効率的に大規模なスケールで行えるようにしています。この統合環境のもとでは、ML モデルをテストから本番環境に迅速に移行できるのに加えて、パターンや異常の効率的な検出や、予測や判断の的確性向上といった効果も得られ、全体として、変化の激しい市場にアジャイルに対応することが可能になります。

この 10 年、Google は AI のイノベーションに取り組みながら戦略的投資を進める中で、ML モデルの構築、デプロイ、本番環境での維持に関する重要なノウハウを獲得しました。Vertex AI の基盤および設計には、こうした知識や技術が盛り込まれているのはもちろん、今後も Google Research が生み出す新たなイノベーションによって強化されていく予定です。Vertex AI がデータ サイエンティストや ML エンジニア チームにもたらす新たなメリットは以下のとおりです。

  • Google 社内で活用実績のある AI ツールキットの利用: Google Research がこれまで継続的に取り組んできたコンピュータ ビジョン、言語、会話、構造化データなどの技術が盛り込まれています。

  • 便利な AI アプリケーションを迅速にデプロイ: テストのスピードアップに役立つ Vertex Vizier をはじめ、ML 機能の提供、共有、再利用に便利なフルマネージド型の Vertex Feature Store、迅速なモデル選択を通じてモデルのデプロイおよび本番環境移行を高速化する Vertex Experiments など、最新の MLOps 機能を利用できます。

  • モデルの管理も安心: ML ワークフロー全体を通じて効率化を促進する Vertex Continuous Monitoring や Vertex Pipelines などの MLOps ツールを使って、セルフサービス モデルの維持に伴う複雑性や繰り返し作業を軽減できます。

Google Cloud の Cloud AI および業種別ソリューション担当バイス プレジデント兼ゼネラル マネージャーを務める Andrew Moore は、次のように述べています。「Vertex AI の開発において指針としたことが 2 つあります。1 つは、データ サイエンティストやエンジニアをオーケストレーションという藪の中から救い出すこと。もう 1 つは、AI をパイロット版の苦行で終わらせずにフルスケールの本番環境へと移行させることに、業界全体で真剣に取り組むようシフトを促すことです。このプラットフォームの内容には大変満足しています。データ サイエンティストやエンジニアが新世代の AI を本格的にデプロイし、達成感のあるクリエイティブな仕事をすることを可能にしていますから。」

「エンタープライズにおいて AI を実際に役立てたいと考えているデータ サイエンス担当者たちは、ツールで苦戦することは望んでいません。そうではなく、ML のライフサイクルを通じて使いやすいツールを求めています。残念ながら、それは素朴な命題ではありません」と、Omdia の AI プラットフォーム、アナリティクス、データ管理担当主任アナリストを務める Bradley Shimmin 氏は述べています。「支柱となるインフラストラクチャが必要となります。そしてそのインフラストラクチャは、ユーザー エクスペリエンスを統合し、AI そのものを支えとして活用しながら、プロセスの核心にデータを据え、さらに、多様なテクノロジーを柔軟に取り入れることができるようなものであることが求められます。」

ModiFace: Vertex AI を使って美容業界を革新

L’Oréal グループに属する ModiFace は、美容業界における拡張現実および人工知能を専門とする世界的マーケット リーダーです。同社はヘアカラー、化粧品、ネイルカラーなどの美容製品をオンラインでリアルタイムに試せる新サービスを生み出しており、その AI モデルのトレーニングに Vertex AI プラットフォームを活用しています。たとえば、肌の診断サービスは、同社の研究専門チームである L’Oréal のリサーチ&イノベーションが所有している数千もの画像からトレーニングした結果に基づいています。L’Oréal の科学的研究力と、ModiFace の AI アルゴリズムを結集させることで、高度にカスタマイズされた詳細なスキンケア手順をユーザーに示すことを可能にしています。

L’Oréal グループ ModiFace の最高執行責任者である Jeff Houghton 氏は、次のように述べています。「ウェブでの購入時にバーチャルで試すことで安心してお買い求めいただけるようにしたり、各個人に最適なブランド商品を見極めるヒントを提示したりするなど、パーソナライズした没入型エクスペリエンスをお届けしています。自宅や、スマートフォン、その他のタッチポイントで情報を求めるお客様が増えてきています。このような状況の中、Vertex AI のおかげで、商品を実際に試すのとほぼ同レベルのテクノロジーを実現することが可能になっています。」

Essence: Vertex AI を採用しアルゴリズムの時代に対応するよう構築

WPP グループの一員であり、データドリブンで測定主導型のグローバル メディア企業である Essence は、Vertex AI を使用してワークフローをデベロッパーと統合することで、データ サイエンティストが作成した AI モデルの価値を拡大し続けています。これまで、データ サイエンティストが作成した AI モデルは一度作成したら変更できませんでしたが、人の行動やチャネルのコンテンツが絶えず変化するデジタルの世界では、こうした運用方法も進化してきています。Vertex AI を使うことで、デベロッパーやデータ アナリストは、急速に変化するこうしたビジネスニーズに合わせて、定期的にモデルを刷新できます。

Essence のプロダクト イノベーション担当シニア バイス プレジデントである Mark Bulling 氏は、次のように述べています。「Essence では、急速に発展するお客様のニーズに対応できる能力を評価されています。Vertex AI を使うことで、当社のデータ サイエンティストは環境の変化に応じた新しいモデルを迅速に作成できます。また、デベロッパーやデータ アナリストはモデルを維持してスケーリングやイノベーションを実施することができます。Vertex AI の MLOps 機能で、お客様の期待を先読みできるのです。」

あらゆるスキルレベルに対応できる統一的なデータ サイエンスと ML プラットフォーム

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MLOps のライフサイクル

お客様が抱える大きな課題の一つは、機械学習プロジェクトに取り組む人材の確保です。およそ 5 社中 2 社の企業が、AI テクノロジーの導入に向けた主な障壁として技術的な専門知識の不足を挙げています。

Vertex AI は、必要なあらゆるツールを備えた単一プラットフォームであり、データ サイエンティストが正式な ML トレーニングを受けなくても、データの管理、プロトタイプ作成、テスト実施、モデルのデプロイやモデルの解釈、本番環境でのモニタリングが可能です。つまり、データ サイエンティストが ML エンジニアである必要はありません。Vertex AI を使うことで、データ サイエンティストは迅速に作業を進めることができますが、セーフティ ネットとして、いつでも作業を開始できるようになっています。責任あるデプロイを支援するこのプラットフォームでは、テストやモデル管理から本番環境に移行するまでの、ひいてはビジネス上の成果を上げるまでにかかる時間を短縮できます。

Sabre のラボおよびプロダクト戦略担当シニア バイス プレジデント兼プレジデントである Sundar Narasimhan 氏は、次のように述べています。「Sabre の Travel AI テクノロジーに Google の Vertex AI を利用することで、当社の技術者は、インテリジェントな製品を旅行のエコシステム全体ですばやくテストしデプロイするために必要なツールを手に入れることができました。今回の提携で両チームの力を合わせることにより、Sabre が描くパーソナライズされた旅行の将来像の実現を加速することになると確信しています。」

Iron Mountain でイノベーション、グローバル デジタル ソリューション担当バイス プレジデントを務める Narasimha Goli 氏は、次のように述べています。「Iron Mountain では、Vertex AI のような統合プラットフォームを採用して ML パイプラインの構築と実行を効率化し、AI / ML チームの MLOps を簡素化することで、お客様により洗練されたテクノロジーとデジタル トランスフォーメーション サービスを提供しています。」

Vertex AI を使ってみる

プラットフォームのご利用方法について詳しくは、GCP における ML のベスト プラクティスMLOps ホワイトペーパーの利用ガイドをご参照ください。また、6 月 10 日に開催されるデータ サイエンティストと ML エンジニア向けの Applied ML Summit にぜひご参加ください。皆様と協力して、革新的な機械学習技術をスキルやキャリア、ビジネスの成長に応用できることを楽しみにしています。

また、Accenture と Deloitte は、Vertex AI の利用開始をサポートするための設計ワークショップ、価値実証プロジェクト、運用パイロットを実施しています。

- Vertex AI 担当ディレクター Craig Wiley


[1] Google Cloud 社内調べ、2021 年 5 月

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