AI を使用して、高度にパーソナライズされた投資に関するおすすめを届ける
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2021 年 8 月 14 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
データ サイエンスは、金融業界のリーダーが最も重視している優先事項の 1 つです。データ サイエンティストは、データから意味を引き出す知識を備えており、データを情報に変え、情報を実用的な知見に転換します。それにより、どのように顧客ロイヤルティを獲得して、チャーンを最小化し、収益を増大させるかについての理解を深めることができます。このブログ投稿では、投資銀行向けの包括的なソリューションについてご紹介します。一般投資家が資本市場の複雑さに対応できるようにするソリューションです。
Google Cloudのデータおよび分析サービスを使用してリアルタイムの分析情報を自動化されたプロセスに転換し、スムーズなデジタル エクスペリエンスを作成して、資本市場の専門知識をあまり持たない一般投資家を支援する方法について詳しく見てみましょう。SoftServe によって開発されたソリューションでは、投資についてより良い意思決定を行えるようにパーソナライズされたおすすめをユーザーにお届けします。SoftServe は、Investment Products Recommendation Engine(IPRE)と呼ばれるソリューションを開発し、個人のリスク選好と期待される投資収益率のバランスをとった最適な投資商品をおすすめしています。
SoftServe の IPRE は、BigQuery と Cloud Functions を利用して、株、債券などの購入可能な投資商品についての市場データ(例: 時価、日単位または週単位でのオープン価格、高値、安値、クローズ価格)の収集と処理を行います。IPRE は、Dataflow を介して元データを準備し、特定のレベルのリスクに対して最適な平均分散ポートフォリオを作成します。つまり、投資ポートフォリオは、特定のリスクレベルに対して期待される最高の投資収益率を提供するように最適化されます。
投資家のリスク選好は、さまざまな要因に影響され、時間の経過とともに不安定に変化する場合があります。個人投資家向けの最適なリスクレベルに従ったおすすめを作成するために、SoftServe は顧客のさまざまな特性(収入レベル、貯蓄レベル、教育レベル、職歴、地理的情報など)に基づいた AutoML Tables モデルを採用しました。この手法は、相対的リスク回避度(「CRRA」)、絶対的リスク回避度(「CARA」)などの従来の投資理論の指標よりも高い柔軟性を備えているため、IPRE によって新しい顧客セグメントの開拓が可能となっています。
IPRE により、リスクレベルに基づいた最適な資産のポートフォリオのおすすめを最終的に提示した後、そのポートフォリオの定性的および定量的な特性が評価されます。限界リスク、Conditional Value at Risk (CVaR)、分散効果、シャープレシオ、市場の変動に対するポートフォリオの感応度などを記述する、業界グレードの高度な投資指標が計算されます。
ソリューションの目的とそれが市場にもたらす価値を理解するため、架空のユーザーの行動を見てみましょう。
フェリックスは、5 年以内にマンション購入を望んでいる 33 歳の建築技師です。もっと貯蓄を増やさなければならないとわかっています。数か月前、フェリックスは For-the-Future 銀行に口座を開設しました。その銀行のモバイルアプリにスマート投資機能があり、投資のおすすめを受け取って、外出先でも意思決定ができるためです。フェリックスは、金銭的な目標を設定し、リスク許容度と投資目標に沿った投資ファンドのポートフォリオを作成しました。
ある日の通勤途中に、フェリックスは For-the-Future 銀行のモバイルアプリからパーソナライズされた投資のおすすめを受け取ります。このアプリは、フェリックスの目標達成を常にサポートしており、市場データの収集と処理など時間がかかる作業をすべて代行しています。機械学習モデルにより、おすすめが生成されます。期待される収益率、フェリックスが持っているようなポートフォリオでの資産の一般的な人気度、フェリックスのポートフォリオと一致するリスクレベルについての情報などです。フェリックスはその情報を利用して、意思決定ができます。
アプリを使用するプロセスは迅速でシンプルです。フェリックスのポートフォリオでは、ポートフォリオの値の合計が自動的に更新され、金銭的な目標に対するパフォーマンスが追跡されています。フェリックスは、持ち家の目標に少し近づいていることを知って、笑みを浮かべながら仕事先に向かいます。
このソリューションの Google Cloud への技術的な実装においては、Dataflow のバッチ処理パイプライン、投資のおすすめに関するトレーニング済みの Big Query Machine Learning(「BQML」)モデル、データ分析サービス(BigQuery、Cloud Storage、Pub/Sub など)が組み込まれています。このソリューションは、ブログ投稿 Investment Product Recommendation ソリューションの GCP への実装方法で説明されています。
Google Cloud とのパートナーシップにより、SoftServe は、革新的なソリューションでクライアントが複雑な問題を解決できるようにし、市場投入までの時間を短縮し、ROI を向上させ、優れたユーザー エクスペリエンスを提供します。
ソリューションの詳細を理解し、そのアーキテクチャが実際にどのように機能するかについて詳しく知るには、「Google Southeast Asia Financial Services Cloud OnAir: Creating aha moments in Financial Services」で発表された SoftServe のユーザー ジャーニーをご覧ください。
-Google Cloud 金融サービス担当マネージング ディレクター Zac Maufe