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顧客事例

株式会社 ZUU:クラウド環境移行により、インフラ運用の簡素化を実現。管理コストを 10 分の 1 以下へ大幅低減

2020年10月16日
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Google Cloud Japan Team

株式会社 ZUU(以下、ZUU)では、「個人が自分の人生を経営する時代」を生きるためのお金と時間のプラットフォームである ZUU online、および クラウド CMS(コンテンツ管理システム)サービスである MP-Cloud のインフラを、大手クラウドサービスから Google Cloud にリプレイスしています。このプロジェクトについて、開発部門を統括する執行役員、およびインフラ管理を担当するエンジニアに話を伺いました。

利用している Google Cloud サービス:Google Kubernetes EngineCompute EngineCloud SQLMemorystoreCloud BuildCloud Identity and Access ManagementOperations(旧称 Stackdriver)

既存インフラの課題を解決できる機能を評価して Google Cloud の採用を決定

「エンジニアとして、少ない人的リソースで、より多くのサービスを動かしたり、高速化したりできる Google Cloud は、本当にワクワクする、エンジニア冥利に尽きる技術です。特に Google Kubernetes Engine(GKE)は、少ないコスト、CPU パワーでリソースを配分し、オートスケールにより安定的かつセキュアに運用できるので、かなり面白い技術です。時間があれば、GKE の中も見てみたいくらいです。」 

こう話すのは、ZUU の執行役員(開発管掌)兼サービス開発部の辻さんです。同社は、経済金融メディア ZUU online、および ZUU online のノウハウを凝縮したクラウド CMS サービス MP-Cloud のインフラを、大手のクラウドサービスから Google Cloud に移行しました。ZUU online は、最新の経済・金融に関するニュースやコラム、投資家・富裕層の資産運用、ライフスタイルに役立つ情報を、月間 400 万ユーザーに配信しています。

ZUU では 2013 年の創業以来、ZUU online を大手クラウドサービスとオープンソースのブログ ソフトウェア(WordPress)を組み合わせたインフラで運用していました。このインフラ上では、多くのサービスが運用されていましたが、いくつかの課題がありました。辻さんは、「大手のクラウドサービスは、資格試験なども実施され、情報は提供されているものの、インフラ管理が煩雑だと感じていました」と当時を振り返ります。 

また、インフラ管理コストや拡張性、デプロイ時の権限設定などにも課題がありました。さらに大規模なウェブサービスにおいて、データベースとリソースの配分がボトルネックになっていました。そこで、ZUU online、および MP-Cloud のインフラを、Google Cloud に移行することを決定します。Google Cloud の採用を決めたのは、既存インフラの課題を解決できることです。また、東京リージョンが使えることも決め手でした。

エンジニアがインフラ管理ではなく本業に集中できる環境をインフラレベルで実現

ZUU online、および MP-Cloud のリプレイスは、2 度実施されています。まずは 2017 年より、ZUU online 用の CMS 開発を Google Cloud 上でスタートし、2018 年より MP-Cloud としてサービスの提供を開始しています。当初、ZUU online と MP-Cloud は、Compute Engine で構築されていましたが、安定化のタイミングである 2019 年に、ともに GKE に移行されています。

リプレイス作業について辻さんは、次のように話します。「1 度目は、オープンソースのブログ ソフトウェア(WordPress)のデータを、PostgreSQL のフォーマットに変換して移行したので少し苦労しました。2 度目は、Compute Engine 上で使っていた PostgreSQL のデータを、Cloud SQL に移行する作業だったので、PostgreSQL のバージョンアップのようなイメージで、特に苦労はしませんでした。」

またサービス開発部の梁さんは、「リプレイス作業に関しては、前任のインフラ管理者が実際に作業をしながら、分かりやすい手順書を作成してくれていたので、未経験でも簡単に作業できました。また、オペレーション(旧称 Stackdriver)により、GKE をワークロードやサービス単位で細かく監視できるので、もし問題が発生してもすぐに把握できるので便利です」と話します。 

基本的なシステム構成は、ZUU online、MP-Cloud ともに GKE の上で稼働。データベースは、Cloud SQL を利用し、インメモリ データベース(Redis)として Memorystore も使っています。また、Cloud Build を使うことで、高度な CI/CD も実現。ロール管理には、Cloud Identity and Access Management を採用しています。

「マネージド サービスを中心に、Google Cloud の思想に合った構成にしています。エンジニアがインフラ管理ではなく、本業に集中できる環境をインフラレベルで実現しました。」(辻さん)

リソースの最適な配分も、GKE を採用した目的の 1 つでした。Compute Engine で構築すると、小規模なウェブサービスでも冗長化構成が必要になり、余分なリソースを消費してしまいます。辻さんは、「GKE を採用したことで、インフラコストをかなり低減することができました。リソースの最適な配分で、Google Cloud が有効なことは知っていましたが、実際に使ってみて予想どおりの結果でした」と話しています。

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インフラ管理コストは大手他社クラウドの 10 分の 1 ~ 20 分の 1 程度

GKE のメリットは、メンテナンスのしやすさとインフラ管理コストの低減です。メンテナンス性について梁さんは、「当初は 12 サイトでの運用でしたが、現在は 14 サイト、さらに 16 サイトに拡張しています。毎月 2 ~ 3 サイトの追加開発をしていますが、GKE は、少ない工数でサイトを追加できます。これにより、短納期を希望するお客様のニーズにも応えることができ、お客様満足度も高くなりました」と話します。

ZUU online は、他社のメディアサービスで記事がバズるとスパイク アクセスが発生します。こうした場合でも、GKE であれば、事前準備なしに、自動的にスケールし、自動的に縮退するので、負担はかなり軽減されています。辻さんは、「現在、梁さんが 1 人でインフラを管理していますが、16 サイトすべてを独立したインフラで構築していたら、1 人で管理することは困難でした」と話します。

一方、コスト面について辻さんは、「Compute Engine では仮想マシン単位で費用がかかってしまうので、16 サイトを搭載すると、いまの価格でサービスを提供することが困難でした。インフラ管理コストに関しては、GKE へ移行した直後が以前の 1.3 倍になっていますが、16 サイトが運用できていることから 16 分の 1 程度のコストに低減できます。大手他社のクラウドサービスに比べても、インフラ管理コストは 10 分の 1 ~ 20 分の 1 程度です」と話します。

さらに Google Cloud のサポートについて梁さんは、「オフィシャル ブログも充実していて、サンプルコードも紹介されているので参考になりました」と話します。また辻氏は、次のように語ります。「2018 年に GKE を導入するときに、Google Cloud の担当者には、親身にサポートしてもらえました。他社もソリューション アーキテクトがサポートしていますが、Google Cloud のサポートは非常に充実しています。」 

今後、ZUU では、BigQueryDatastoreCloud Spanner などを利用したビッグデータ解析でログを有効活用し、新サービスの展開や研究開発を進めていく計画です。また社内ツールの開発に、Cloud Run を利用することも検討しています。

「梁さんは、アプリケーション エンジニアとして 4 月に入社しましたが、6 月よりインフラ エンジニアを担当してもらっています。約 2 か月で Google Cloud をキャッチアップして、インフラ担当リーダーとして活躍できるのは、梁さんの高い能力はもちろんですが、Google Cloud がエンジニアの成長や採用につながる技術だからです。Google Cloud を採用したことで、今後もエンジニアの幅広い活躍が期待できます。」(辻さん)


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(写真右から)
・株式会社 ZUU 執行役員(開発管掌)兼サービス開発本部
 株式会社ZUUM-A 取締役
 辻 良繁 氏

・株式会社 ZUU サービス開発本部
 梁 詠欣(ユンシン リャン)氏

株式会社 ZUU

2013 年 4 月の会社設立以来、「90 億人が平等に学び、競争し、夢に挑戦できる世界の実現」を企業理念として、フィンテックプラットフォームの運営、金融機関のフィンテック化支援、クラウドファンディング などの事業を、東京およびシンガポールの拠点でグローバルに展開。


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