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顧客事例

YOCABITO:Google Cloud による基幹システム刷新で、より戦略的な業務に集中できるシステム環境を実現

2022年9月15日
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Google Cloud Japan Team

テクノロジーをベースに、IT コンサルティング&サービス事業とビジネス イノベーション事業の 2 軸でビジネスを展開するフューチャーグループの 1 社でスポーツ・アウトドア用品の販売事業を展開する株式会社YOCABITO(以下、YOCABITO)。同社は、社名の由来でもある「余暇に真剣に取り組む人」として、お客様の「余暇の日」と共にある存在であり続けるという経営理念のもと、変化していく周辺環境にしっかりと向き合い、厳選された商品やサービスの提供を追求しています。その一環として、老朽化した基幹システムを Google Cloud で刷新。このプロジェクトについて、YOCABITO のシステムチームの担当者 2 名、および開発をサポートしたフューチャー株式会社(以下、フューチャー)とフューチャーアーキテクト株式会社*(以下、フューチャーアーキテクト)の各担当者に話を伺いました。

*フューチャーアーキテクト株式会社はフューチャー株式会社の主要子会社です。

利用しているサービス:

Google Kubernetes Engine(GKE)Cloud Load BalancingGoogle Cloud ArmorCompute EngineCloud SQLFilestoreMemorystoreCloud StorageCloud FunctionsCloud BuildContainer RegistryCloud Source RepositoriesCloud MonitoringCloud Trace

利用しているソリューション:

インフラストラクチャのモダナイゼーション

操作画面がクリーンで初めてでも使いやすい Google Cloud を採用

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YOCABITOは、自社 EC サイトの 「cabinet」、および楽天市場、アマゾン、Yahoo! に展開するモールで、国内外の数百ブランド、約 13 万点のスポーツ・アウトドア用品を販売。2022 年 3 月には、展開する自社ブランド QUICKCAMP の初の旗艦店 「YOCABITO-outdoor things-」 もオープンしています。YOCABITO システム部部長の内田 充氏は、「会社の成長曲線に合わせて、EC サイトの機能追加やモールとの連携強化などにかなりの頻度で仕様変更が発生し、その対応に時間と工数がかかるため、迅速な対応ができない状況でした」と話します。

YOCABITO の基幹システムのインフラは、東京のデータセンターにてコロケーション サービスを利用していました。ハードウェアの保守運用は提供会社が行ってくれるものの、ハードウェア構成の変更やリプレイスなどの作業で機材調達や搬入に時間を要していることが課題でした。またハードウェアに障害が発生すると、業務が停止してしまうことから、事業継続計画(BCP)の観点でも改善が必要でした。

「長年、基幹システムを改修しながら業務を行ってきたために、特定の担当者にしか理解できない業務や表計算ソフトで管理するデータが増えるなど、さまざまな面で基幹システム以外の運用が発生しており、人材教育のコストも増えていました。インフラ管理も含め人的負荷が増えてきたため、より戦略的な業務に集中できるシステム環境が必要になりました。」(内田氏)

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課題解決を目的に、基幹システムを Google Cloud で刷新することを決定。フューチャー テクノロジーイノベーショングループ シニアコンサルタントの市川 諒氏は、「2018 年 10 月よりスタートしたプロジェクトでは、基幹システムの刷新だけでなく、情報分析基盤の構築や社内 OA なども推進しています。先行していた社内 OA で Google Workspace を採用したこと、情報分析基盤に BigQuery を利用したかったこと、操作画面がクリーンで、初めてクラウドを利用する YOCABITO 担当者にとっても操作画面が使いやすかったことなどが採用の理由でした」と話しています。

性能問題が発生しても 1 クリック、1 時間弱でスケールアウトが可能

新しいシステムは、基幹システムと情報分析基盤、外部公開機能の 3 つで構成。基幹システムは、Google Kubernetes Engine(GKE)を中心に、Cloud Load Balancing、および Google Cloud Armor でセキュリティを強化し、外部連携用サーバーに Compute Engine を使っています。データストアは Cloud SQL と冗長化用の Filestore、セッション用キャッシュに Memorystore、ファイル用データストアに Cloud Storage を使っています。

システム連携には Cloud Functions を使い、CI / CD パイプラインには Cloud Build と Container Registry、Cloud Source Repositories を利用して、ソースコードのコミットからデプロイまでを自動化しています。監視は、Cloud Monitoring や Cloud Trace を利用して、アラートの管理などをフルクラウドで実現しています。

情報分析基盤は、Compute Engine 上のデータ連携用ミドルウェアから Cloud Storage にデータが連携され、最終的に BigQuery に蓄積されたデータを BI ツールや帳票ツールで分析する仕組みになっています。領収書発行画面などの外部公開機能は、セキュリティの観点から基幹システムと分離するため Cloud Run で実装しました。基幹システムと同じコンテナによる構成にすることで、ビルドリリースの仕組みが煩雑になることもありません。また出荷保留機能は Cloud Functions を使ってサーバーレスで運用できる仕組みとし、業務改善の一環として新基幹システムへの移行を待たずに早期に導入できるようにしました。

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Google Cloud の導入効果を内田氏は、次のように話します。「性能問題が発生したときに、以前は約 1 か月かけてハードウェアの交換が必要でした。Google Cloud では、1 クリック、1 時間弱でスケールアウトできます。また予備機の準備や多重化、資産管理も不要です。リリース後の改修もシステムを停止する必要がなく、営業時間中にできるので、社内の要望に迅速に対応できます。さらに CI / CD パイプラインの構築で、改修からリリースまでのサイクルを短縮できました。そのほか情報分析基盤に BigQuery を採用したことで、1 時間程度かかっていたデータ集計処理が数分で終わるようになっています。」

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また YOCABITO システム部開発リーダーの笠原 章吾氏は、「以前の物理サーバーでは、CPU に急に負荷がかかるとシステムがダウンして使えなくなるという問題がありました。GKE は複数の Pod が立ち上がっているので、Pod の 1 つに問題が発生して使えなくなっても、ほかの Pod で業務を継続できるので助かります。また以前は、システムのリリースに関して、すべて手作業でコマンドを入力していましたが、Google Cloud では運用が簡素化され、操作画面から 1 クリックでリリースできるので本当に便利です」と話します。

今後の展望を内田氏は、「実店舗をオープンしたので、そこで得たお客様の情報を、どのように新しい販売チャネルの拡充、強化に生かしていくかが今後のポイントになります。現在、他社の分析ツールを使っていますが、データポータルを利用することで、Google Workspace との連携も期待でき、社内の IT リテラシー向上にもつながるのではないかと考えています。今後も、Google Cloud のツールをどんどん活用したいと考えており、そのためのサポートを Google Cloud には期待しています」と話しています。

Google Cloud の採用でインフラ構築期間を 3 分の 1 程度に短縮

今回の基幹システムの刷新は、フューチャーがサポートしています。「フューチャーは常にお客様に寄り添い、社外 CIO のような中立的な立場で IT 投資の削減や新たなビジネス プロセスの創造に貢献するサポートを行っていますが、YOCABITO はグループ会社ということもあり、ほぼマンツーマンでサポートしました。」(市川氏)

Google Cloud を採用した効果を市川氏は、次のように話します。「システム構築のポイントは大きく2つあります。1つはインフラ構築のリードタイムの短縮です。一般的なオンプレミスでのインフラ構築では、機器の選定から購入、導入までに、長ければ半年のリードタイムが必要ですが、Google Cloud を採用することで、3 分の 1 程度に短縮できました。またスムーズにテストフェーズに入れるのでシステムの品質向上にもつながったと思っています。もう1つはリリースにおける手順の簡略化です。モールのAPIの仕様変更や法令関連の対応、社内の要望対応など改修が多岐にわたるので簡素で安全な作業が求められますが、Google Cloud では必要なツールがそろっているため、工数の削減と改修のハードルを下げることができたと考えています。」

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またフューチャーアーキテクト流通製造サービス事業部アーキテクトの平林 学氏は、「アプリケーション開発では、GKE や Cloud SQL がメインになりますが、特に苦労したことはなく、安定運用できています。Google Cloud は、欲しい情報やドキュメントがピンポイントで検索できるので助かりました。ビルドの自動化や GKE の自動再起動など、運用の煩雑さが解消されたことが、Google Cloud を採用した明確な改善点だと思っています」と話します。

フューチャーのサポートについて笠原氏は、「クラウドの利用は初めてだったので、インフラ構築に関してはすべてお任せ状態でした。アプリケーション開発においては、言語に関しても初めてでしたが、手厚いサポートを提供してもらえました。フューチャーのサポートがなければ、現状のような安定稼働はなかったかもしれません。まだ Google Cloud に対するキャッチアップができていないので、今後も引き続きサポートをお願いできればと思っています」と話しています。


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株式会社YOCABITO

2008 年 7 月、株式会社eSPORTSとして設立。2022 年 3 月 1 日に現在の社名に変更。スポーツ、アウトドア、健康用品および健康食品の販売、企画を事業として展開。国内外のブランド製品を自社 EC サイトである cabinet や各種モール(楽天市場、アマゾン、Yahoo!)で販売。取扱商品点数は約 13 万点。自社ブランドとして、アウトドア ブランドの QUICKCAMP(クイックキャンプ)、トレーニング ブランドの LEADING EDGE(リーディングエッジ)も展開。2022 年 3 月には、QUICKCAMP 初の旗艦店となる「 YOCABITO-outdoor things-」を岐阜県岐阜市にオープン。

インタビュイー

・システム部 部長 内田 充 氏

・システム部 開発リーダー 笠原 章吾 氏

フューチャーアーキテクト株式会社

インタビュイー

・フューチャー株式会社

テクノロジーイノベーショングループ

シニアコンサルタント 市川 諒 氏

・フューチャーアーキテクト株式会社

流通製造サービス事業部

アーキテクト 平林 学 氏


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