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顧客事例

awoo Intelligence: クラウド インフラによる高度に自動化されたマーケティング テクノロジー サービスを提供

2024年7月24日
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Google Cloud Japan Team

※この記事は、英語版 Google Cloud Customers(導入事例紹介)に掲載された記事の抄訳です。

awoo Intelligence は、Google Cloud の拡張性の高いインフラと広域なグローバル ネットワークをハイブリッド クラウド アーキテクチャに組み込むことで、メンテナンス負荷と運用コストを削減しながら、安定的かつ円滑なマーケティング オートメーション サービスを世界中の顧客に提供しています。

利用しているサービス:
BigQuery, Cloud CDN, Cloud Scheduler, Cloud SQL, Compute Engine, Google Kubernetes Engine, Memorystore, Pub/Sub, Security Command Center

Google Cloud 導入の効果:

  • Google Kubernetes Engine を活用し、ウェブサイトのトラフィックが多い状況下でも AI を活用したスムーズかつリアルタイムの 商品レコメンデーション サービスをサポート
  • Cloud SQL でデータベース管理を簡素化し、メンテナンス チームの作業負荷を 30% 削減
  • Security Command Center により、ISO 27001 要件に準拠したクラウド セキュリティ チェックを実現

台湾では、マーケティングの効率と効果を高めるためにマーケティング テクノロジー(MarTech)を利用する企業が増えています。 MarTech は、マーケティング プロセスを合理化・自動化するだけでなく、マーケティング チームがデータ分析を通じてマーケティング キャンペーンの結果を確認し、戦略をより効果的に改善するのにも役立っています。

2015 年に台湾で設立された awoo Intelligence(以下 awoo)は、業界をリードする MarTech サービス プロバイダーです。事業開始当初はウェブサイトの検索エンジン最適化(SEO)ソリューションを提供し、ブランドの検索順位向上を支援していましたが、2017 年以降は、人工知能(AI)を活用したマーケティング ソリューションの開発に注力。Product Intelligence Prospepecting Platform「awoo PDP」やワンストップのマーケティング オートメーション プラットフォームである「awoo AMP」、AI ベースの SEO ソリューションなど、顧客が簡単にユーザー エクスペリエンスを向上させ、売上を伸ばすことができるサービスを提供しています。このなかの一つ、例えば「awoo AMP」は、AI を通じてリアルタイムで商品間の相関関係を分析し、消費者が閲覧した商品から消費者の消費意向を判断し、ユーザー ログインやクッキーを必要とせずに、EC サイトを閲覧している消費者に AI 商品レコメンドを提供することができます。

awoo が提供する SaaS(Software-as-a-Service)ソリューションは、トラフィック獲得、コンバージョン最適化、リマーケティング、ユーザー維持など 20 以上の機能をカバーしており、その多様なサービスは多くの企業のマーケティング チームから高評価を得ています。現在、awoo は 16,000 社以上の企業に MarTech サービスを提供しており、2018 年からは海外市場にも進出。日本ではすでに 100 社以上の顧客を持つほか、韓国、シンガポール、マレーシア、インドネシアなどのアジア諸国での事業展開も計画しています。

awoo の VP of Marketing である Angelline Chen 氏は、次のように述べています。「SEO ソリューションを提供する過程で、私たちは、キーワードの大規模なデータベースを構築し、キーワードの収集と分析における豊富な経験を蓄積してきました。AI の技術が加わることで、より幅広い MarTech ソリューションを提供し、小売業者や e コマース企業があらゆるチャネルで、シームレスかつパーソナライズされたユーザー体験を実現できるよう支援することができます。」

当初、awoo はオンプレミス サーバーでサービスを展開していました。 しかし製品ラインナップの増加や顧客構成の多様化に伴い、インフラの柔軟性を高めたり、コストを削減するため、IT インフラをハイブリッド クラウド環境に移行することを検討し始めました。ネットワークの遅延はマーケティング キャンペーンの効果やユーザー エクスペリエンスに大きな影響を与えるため、awoo はサービス品質を保証する目的で、台湾とターゲットとなる市場の両方にデータセンターを持つグローバルなクラウド プラットフォームを必要としていました。これを念頭に置き、最終的に awoo は台湾にデータセンターを持つ Google Cloud を採用したのです。

「当社の MarTech サービスは非常に多様であるため、ハイブリッド クラウド アーキテクチャを使用することで、さまざまなサービスの技術的ニーズをより簡単に満たすことができます。Google Cloud のコンピューティング リソースの高い柔軟性は、コストを削減しながらサービス品質を維持するのに役立ちます」と Angelline Chen 氏は説明します。「さらに、データセンターが世界中に分散していることによって、どの地域のユーザーに対してもネットワーク遅延のリスクが抑えられます。これらの利点も、当社が Google Cloud を採用する決定の背中を押しました。」

ローカル データセンターで MarTech サービスの低遅延をサポート

awoo はクラウド移行に「リフト&シフト」方式を採用しています。 最初にクラウド上にアーキテクチャを置き、その後で製品を最適化するというこのアプローチでは、移行が比較的短時間で完了する一方、技術チームができるだけ早くクラウドの構成に慣れる必要があるという課題がありました。 Google Cloud チームとそのパートナーである iKala の協力により、awoo は 6 か月以内という短期間で awoo AMP プラットフォームなどのマーケティング サービスのインフラを Google Cloud に移行することに成功しました。

移行の対応について、 awoo の技術担当の Alex Hsieh 氏は次のように振り返ります。「移行をスムーズに完了させるために、当社の DevOps チームは一連のトレーニング セッションを受けました。Google Cloud のクラウド ネイティブ アーキテクトたちから包括的なガイダンスを、iKala から技術サポートと緊急対応でサポートの提供を受けました。」

awoo の AI 製品レコメンド、トラフィック分析などの MarTech サービスは、質の高いユーザー体験を提供するために高速なネットワークやサポートを必要としています。 Google Cloud に移行することで、同社 は台湾にある Google Cloud のデータセンターを利用して台湾の顧客にサービスを提供することができ、台湾以外のデータセンターと比較して遅延を少なくとも 200 ミリ秒短縮し、ビジネスの効率を向上させることができます。
さらに、Cloud CDN を利用して、台湾と日本の顧客への商品レコメンド サービスや API レスポンスの遅延をさらに軽減し、リアルタイム マーケティング サービスの品質を大幅に向上させています。

Google Kubernetes Engine でスムーズなマーケティング メール配信とリアルタイムの AI データ分析を実現

awoo PDP と awoo AMP は、自然言語処理(NLP)を使用して、e コマース プラットフォーム上の商品にラベリングをしていきます。 NLP は、画像認識と比較して、テキスト分析を通じて製品の関連付けを行うことで、より正確なレコメンドを生成することができます。
例えば、ユーザーが「速乾性・通気性」を検索すると、システムは自動的に「吸湿性・吸汗性」の高い商品をレコメンドします。 中国語や日本語、その他のアジア言語には、似ているが異なる意味を持つ単語が多数あるため、同社は製品分析とタグ付けに多くのリソースを投じていましたが、生産性を向上させるために AI モデルを使用してタグ付けの効率を改善し始めています。

現在、awoo は Google Kubernetes Engine(GKE)を使用して、商品タグ付け用の AI モデルを設定しています。GKE は、AI モデルの学習と検証のために、顧客の e コマースサイトからリアルタイムでデータを収集する必要があるため、サイトのトラフィックが増加した場合でも商品検索のレコメンドが適切に機能するように、より多くのコンピューティング リソースを必要としています。Alex Hsieh 氏は、「GKE のオート スケーリング機能によって十分なコンピューティング リソースが確保されるため、ウェブサイトのトラフィックが多い場合でも、高速で正確な AI 商品レコメンドを提供できるようになった」と述べています。

同社ではまた、メール リマーケティングサ ービスである「 awoo メール」の運用にも GKE を使用しています。メール配信に遅延が生じるとキャンペーンの効果が大幅に低下する可能性があるため、顧客向けメール マーケティング サービスの安定性は非常に重要です。
Google Cloud に移行する前、awoo メールの配信は主にオンプレミス サーバーで展開されていましたが、オンプレミス サーバーは拡張性に限界があり、エンジニア チームが常時オンサイトでメンテナンスする必要がありました。COVID-19 のロックダウン期間中にはサービスを維持することが難しくなり、顧客からのマーケティング需要の急激な増加に対応できないこともありました。 Google Cloud への移行により、GKE は自動的に拡張して大量のメッセージを処理できるようになり、さまざまな顧客のメール配信ニーズに迅速に対応できるようになりました。

「『ダブルイレブン』(※)のような大規模なプロモーションの前夜には、顧客は通常数十万通以上の大量のマーケティング メールを送信することが多く、当社のメール配信システムはこのような時に遅延が発生しやすくなります。」Alex Hsieh 氏 は続けます。「GKE のオートスケール機能により、サービスの可用性と信頼性を向上させることで、使用量がどんなに多くても、顧客のマーケティング メールをスムーズに配信することができるのです。」

※ 毎年 11 月 11 日に中国で行われているいわゆる「独身の日」を祝うイベントのこと。現在は、大規模な EC セールイベントとして、中国のみならず、東南アジアにも広がりを見せている。

クラウド ホスティング サービスでメンテナンスの手間と運用コストを削減

awoo は、awoo AMP のユーザーデータのキャッシュとクエリに Memorystore を使用することで、独自のデータクエリ エンジンを構築する負担を軽減。また、マーケティング SaaS サービスの MySQL と PostgreSQL データベースを Cloud SQL 上に展開することで、システムの信頼性を向上させただけでなく、高可用性(HAV)メカニズムを使用することで、顧客独自のデータベースを維持・管理するメンテナンスチームの作業負荷を約 30 % 削減しました。さらに、Cloud SQL は自動バックアップをサポートしているため、顧客のデータ損失の不安も解消できます。

「リソースを動的に調整できる Google Cloud 製品の柔軟性と、多様なインフラツール オプションのおかげで、インフラ運用コストを大幅に削減できました」とAlex Hsieh 氏は語ります。

実際の使用状況に応じて Cloud SQL インスタンスの数を調整するほか、awoo は、SEO 分析、製品レコメンデーション、awoo メール リマーケティング サービスの開発とテスト環境および製品のデプロイ環境の一部に、通常よりもコスト効率の高い Compute Engine の Spot VM を活用しています。さらに、Cloud Scheduler を活用して、営業時間外に使用していない VM を自動的にシャットダウンしています。全体として、Google Cloud のインフラを採用することで、運用コストは約 20% 削減されました。

「以前は、インフラを現場に配備するために一定量のハードウェアを購入しなければならず、費用対効果を高めることができませんでしたが、Google Cloud のインフラと幅広いクラウド製品のおかげで、コストを最適化した設計を実現することができました」と同氏は付け加えます。

一方、awoo は BigQuery を使用して、SEO 最適化ソリューションのデータ分析をサポートしています。SEO ソリューションでは、大量のウェブ コンテンツから情報を正確に抽出し、分析に使用可能なデータに変換し、クライアントのウェブサイトの構造やコンテンツの問題を解決して検索順位を向上させる必要があります。 awoo は BigQuery を使用することで、クライアントの商品推奨ランキング分析や API の通信の遅延時間分析など、さまざまなビジネスデータをスムーズに分析することができているのです。

国際展開に向けたクラウドデータ セキュリティの強化

データ保護やバックアップからクラウド移行に至るまで、データ セキュリティに対するお客様の関心は高く、その信頼を得るためには適切にデータを保護する必要があります。

欧州連合(EU)における一般データ保護規則(GDPR)の施行により、企業のデータ プライバシーに対する要求がさらに高まっています。 この点で、awoo はクラウドに展開するサービスの包括的なセキュリティ テストを実施するため、Security Command Center(SCC)を採用しました。 SCC が提供するスクリーニング結果に基づき、潜在的なセキュリティ リスクをより明確に把握し、即座に対応することができるようになります。現在同社は、近い将来、データセキュリティ マネジメント システムの ISO27001 認証を取得し、顧客に対してより高いレベルのデータセキュリティ保証を提供する準備を進めています。

今後数年間、awoo は、新機能の開発、サービス品質の向上、イノベーションのための生成 AI 技術の活用など、変化する市場ニーズに対応するための開発を継続する予定です。また、同社は世界中に広く分散している Google Cloud のデータセンターを活用することで、地域的な制約なく新たな市場に迅速に参入し、一貫した高品質のサービスを提供したいと考えています。

最後に、Angelline Chen 氏はこのように述べています。「Google Cloud のデータセンターが世界中にあることで、当社の MarTech サービスを新しい市場に迅速に展開することができ、さまざまな国のお客様が当社の信頼性が高く、遅延が少ないサービスを利用して、マーケティング業務の効率化を容易に実現できるようになります。 日本でも、Google Cloud を利用することで素晴らしいビジネスの成果をあげることができています。」


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