株式会社 unerry CTO が企てる Google Cloud と共に進む次のステージとは
Google Cloud Japan Team
編集者注: Google Cloud を利用する企業のリーダーの皆様にお話を伺い、想いを語っていただく Google Cloud Leader’s Story。連載 3 回目となる本記事では、株式会社 unerry (以下、unerry) の CTO である伊藤清香氏に話を伺いました。
リアル行動データプラットフォーム「Beacon Bank(https://www.beaconbank.jp/)」を運営する 2015 年創業のデータカンパニーです。GPS およびビーコン技術を活用し、スマートフォンアプリから取得する月間 300 億件超、約 1.1 億 ID の屋内外の人流ビッグデータを AI で解析。「実社会をデータ化」することで、OMO マーケティング支援や、スマートシティの実現に向けた事業等を展開しています。
利用しているサービス:Cloud Run, Cloud Functions, Cloud Firestore, Google Kubernetes Engine, BigQuery, Dataflow, Cloud Pub/Sub, Cloud SQL, Cloud Memorystore, Cloud Storage, Anthos
利用しているソリューション:
コンピューティング, サーバレス, オープンソース データベース, モノのインターネット(IoT), AI と機械学習
unerry で CTO として働くということ
「unerry の CTO としてのミッションは、位置情報を使って日本の社会をよくすること」と語る伊藤氏。
「位置情報を解析することで、人の流れや属性、地点に関する特性を把握することができます。さらに解析結果を活かした広告配信を行うことで、より精度高く、店舗への送客などの行動変容を起こすことができます。また、昨今のコロナ禍において生活様式が大きく変わったことで、位置情報サービスに一層の注目が置かれる時代がきています。その中で、 unerry では位置情報を用いて、リテール業界の DX (デジタル・トランスフォーメーション)を推進することを目指しています。様々なパートナー様と連携することで生活者の行動・購買や価値観の変化を捉える「リテールメディア」プラットフォームの創出も行っています。
CEO の内山さんとは、15 年ほど前に同じ会社で働いていたことがあり、その頃から尊敬していました。unerry に来る前の会社では、技術者のマネジメントをしていましたが、自分は開発の現場に戻りたくて、 IoT 関連のハッカソンに参加して腕試しをしていました。内山さんは、その時の写真を SNS で見つけて、 unerry の目指す環境知能と親和性があると思い誘ってくださったようです。
私はキャリアの中で IPO を 2 回経験しました。 unerry は 2 社目で、1 社目は 1999 年に サイバードという会社で、その会社の 2 人目のエンジニアとして働いていたときに経験しました。当時の CTO は今でも業界の有名人で、経営者の一人として重要な戦略を立て、投資を導いて未来を描いていました。
unerry に入社した際、かつての CTO のことを漠然と思い出しました。今度は自分がその役目を担う番だと。その方と私はタイプが違いますが、事業を大きくするために最も効果的なエンジニアリングを選んで活用するというスタンスは同じだと思います。」
増え続けるアクセス数への対応で発揮された Google Kubernetes Engine の実力と BigQuery の徹底した活用
unerry では 現在、 Google Kubernetes Engine (GKE) を自社サービスの基盤に利用している。伊藤氏は Google Cloud におけるアーキテクチャについて次のように語った。
「サービスへのアクセス数が毎年倍増しているため、それに合わせてアーキテクチャを毎年大きく変更し、インフラコストを最適化しています。Google Cloud の、unerry にフィットしそうな新サービスをプレビュー版の段階からどんどん使うことで、負荷に対するキャパシティを底上げしてきました。また、プレビュー版なので、費用を気にすること無く使い倒せる、という副次的な効果もあります。
実際に 2019 年には、数日間でアクセス数が倍増したことから既存のアーキテクチャの変更を余儀なくされました。その際に GKE への本格移行を行ったのですが、スケーラビリティとコストに感動するほどに、本当の Kubernetes の威力を実感した記憶があります。
やってみないとわからないこともあるので、もしその変更は結果的に失敗だったとしても、安全重視で何もやらずに指をくわえて過ごすよりはずっと良いと思っています。むしろ、失敗を繰り返しながらチャレンジし続けていた方が生き延びる確率は上がると思うのです。」
また、Google Cloud の利用を開始するきっかけにもなった BigQuery に関して、現在では 月間 300 億件のデータが溜まるほど社内利用が拡大しているという。
「現時点では、 BigQuery 以外のプロダクトでは対応できないほどのデータ量を取り扱っております。データ活用に関しては BigQuery は業界でも最高峰のプロダクトだと感じています。
社内では、データサイエンティストが勉強会を開いて、メンバー全員が BigQuery を使えるようにしています。
メンバー増加に伴って複雑化しやすい権限管理においても Google Cloud では IAM で細やかに制御できるので非常に助かっているのも利点の一つです。」
多くの優秀なエンジニアを抱える中で、異なるバックグラウンドを持つエンジニア同士が、互いにリスペクトしあう環境を大事にしているという伊藤氏。代表の内山氏も「エンジニアは 1人で世界を変える力を持っている」と R&D を奨励しており、会社が支援して特許を取得した例もあるとのこと。
そんな社内のエンジニア達は、普段 Google Cloud とどのように関わっているのかについて、次のように語った。
「新しい Google Cloud のサービスを使ってアーキテクチャを設計/導入する際に、 Google Cloud のエンジニアの方とディスカッションをしたり、イベント登壇や事例紹介記事などでお披露目させていただく機会があります。
こういった活動を目にして Google Cloud を使ってみたいという方々が増えるといいなと思っています。仲間で助け合って”使ってみた”系の情報が増えると、もっと自分達も楽になると思います。」
会社と自分の進むべき道、未来、Google Cloudと共に
「unerry は、どんな店舗や街に行っても、どんな情報に触れていても「環境知能」が実装されている “unerry, everywhere” の実現に向けて日々邁進しています。地球上すべてのスマートフォンに、そして Android OS の IoT デバイスならどこへでも入っていき、リアル版Google を目指します。」と語る伊藤氏。
「エンジニアが循環するエコシステムの育成を。まだまだ Google Cloud の良さに気づいていない企業も多いので、我々のようなスタートアップが使うことによって次代のスタンダードになると思ってます。」
インタビュイー
株式会社unerry CTO 伊藤清香