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顧客事例

次世代の社会インフラをめざす電動マイクロモビリティ事業を支える Google Cloud の信頼性

2023年7月24日
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Google Cloud Japan Team

編集者注: Google Cloud を利用する企業のリーダーの皆様にお話を伺い、想いを語っていただく Google Cloud Leader’s Story。連載 8 回目となる本記事では、株式会社 Luup  CTO として技術全般をリードする岡田直道氏に、電動マイクロモビリティのこれからと、Google Cloud への想いをお話しいただきました。

”街じゅうを「駅前化」するインフラをつくる” という使命を掲げ、電動マイクロモビリティを新時代の交通インフラとするべく事業を展開する株式会社 Luup (以下 Luup) 。同社は首都圏と中京圏、関西圏を中心に、電動マイクロモビリティのシェアサービスの拡充を推進しています。創業時より CTO として、Google や Google Cloud の様々なプロダクトを駆使しながら技術面をリードしてきた岡田直道氏に、CTO として自らに課している役割や Google Cloud の活用についてお話を伺いました。

利用しているサービス:
App Engine, Cloud Firestore, BigQuery, Cloud Composer, Cloud Functions, Compute Engine, Firebase


電動マイクロモビリティ事業について

現在は電動マイクロモビリティ事業を営んでいる Luup ですが、2018年の創業当初は利用者と介護士をつなぐ”介護版 Uber ”ともいえるような事業を目指していました。しかし、その実現には人の移動が大きなハードルとして立ちはだかりました。人の生活に欠かせない移動、その移動にはまだまだ改善できる課題があると考えたことが、現在の電動マイクロモビリティ事業の出発点となっています。

岡田氏は、学生時代にソフトウェアエンジニアリングのインターンシップなどを経験したあと、Luup を共同創業しました。現在はエンジニアリングから CTO としてのマネジメントに活動の軸足を移しています。「純粋な自分のテクニカルスキルではなく、各領域毎のプロフェッショナルをどう事業に取り入れることで貢献できるか、を考えることが自分の役目の一つだと捉えています。」と、 自身の CTO としての役割を語ります。

交通インフラを支えるサービスに求められるものとは

モビリティシェアリングが社会インフラとなる上で欠かせない要素が三つあると岡田氏は話します。それは”ポート(モビリティに搭乗・返却できるステーション)の密度”、”様々な身体条件の方が利用できる車種のラインナップ”、そして”サービスの可用性と安定性”という三点で、これは電動マイクロモビリティを”誰でも、いつでも、どこでも利用できる”ものとするためには欠かせない要素だと言います。

1つ目の”ポートの密度”。乗り降りするためのポートがどれだけ密に設置されているかが非常に重要で、密でなければ利便性が下がってしまい、交通インフラとして利用することは難しくなります。Luupでは事業立ち上げ当初からこの点を強く意識して取り組んできているだけでなく、ポートが家庭の軒先のような狭いスペースにも設置できることがアドバンテージになっているため、現時点でも密な設置を実現できていますが、さらなる利便性の向上のためには、密度はまだ上げていく必要があると考えています。

2つ目の”車体の種類”。自転車はともかくとして、電動キックボードは歴史の浅い乗り物であり、その運転に不慣れな方も多くいます。例えば高齢者の方や、運動能力に自信のない方でも安心して乗れるよう、モビリティの種類は増やしたい、というのが Luup の考えです。

そして、Luup にとって特に重要なポイントは3つ目の”安定性”。鉄道のように、ポートに行けばいつでも乗れる状態を実現するには、これを支えるサービスの可用性と安定性を高め、日々の生活に組み込めるようにすることが必要不可欠です。これこそが Luup のエンジニアリングチームに求められる最も重要なポイントであると岡田氏は語ります。

そして、この 3 つのポイントを実現するためには、サービスの基盤となるクラウドサービスにも高い水準が求められます。岡田氏がクラウドサービスに求めるポイントは”可用性”と”安定性”、そして”スケーラビリティ”です。

交通インフラに不可欠な信頼性を Google Cloud で実現

このようにクラウドサービスに高いクオリティを求める岡田氏が基盤に選んだのは、 Google Cloud でした。特に重要視する可用性と安定性について、岡田氏は「レスポンスやレイテンシーは当社のサービスにとって非常に重要な要素ですが、Firebase を含め Google Cloud はマネージドサービスが充実しているだけでなく、これらのパフォーマンスに優れており、また可用性という観点でもとても信頼できると考えています。」と、Google Cloud の可用性と安定性に深い信頼を寄せています。

Luup では、社内のコラボレーションスイートに Google Workspace を採用しており、クラウド基盤と合わせて一つの IT 基盤として利用出来るがゆえに管理がしやすい、という点にも Google Cloud を使うことのメリットを感じて採用しています。

また、スタートアップのビジネスにも Google Cloud は最適であると岡田氏は語ります。特に、事業立ち上げ当初から利用し続けている Firebase については、「Firebase を活用することで、事業の立ち上げを決めてから実際に立ち上げるまで、スピード感をもって迅速に行うことが出来ます。上手く行かなければ撤退も容易で、スタートアップが挑戦しやすい。Firebase を始めとして Google Cloud を活用することで、かなりよいトライアンドエラーが出来たと実感しています。」と、スタートアップならではのスピード感を実現する、その手軽さや柔軟性を高く評価しています。

IoT の世界に SRE の考え方を取り入れ、世界に広めていきたい

一般的な Web サービスにおいては、 SRE (サイト信頼性エンジニアリング) の考え方が既に浸透してきていますが、Luup が事業を展開する IoT の世界では、まだ一般的とはいえません。「Web サービスでは一般的となった信頼性の確保などの概念を、デバイスが繋がる IoT の世界にも適用しなければいけません。IoT  x SRE という世界観を広めていきたいと考えています。」と語る岡田氏にとって、物理デバイスが繋がる IoT を社会インフラとするために必要となるのは信頼性だという確固たる考えがあります。

「これは世の中にまだあまりないものを自分たちで作っていく、という挑戦になります。今いるメンバーで電動マイクロモビリティの信頼性を上げるために、何をやっていかなければならないのか?それを考えて実践していく中でで得た知見を、他のスタートアップ企業や周辺に共有していきたいと思っていますし、この先進性とエキサイティングな仕事を楽しんでくれるメンバーと一緒に仕事がしたいと考えています。それらが上手く行った先に、人々の生活様式の変化や利便性の向上、という世界が拓けると信じています。」


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株式会社 Luup

2018 年設立。”街じゅうを「駅前化」するインフラをつくる”というミッションのもと、”誰もが快適に移動できる未来” を目指す未来に掲げ、電動マイクロモビリティ事業による街の活性化と、新しい交通インフラの構築を目指しています。 

インタビュイー

株式会社 Luup CTO 岡田直道 氏

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