カラクリ株式会社 CTO が語る、Google Cloud と共に歩み、AI技術で社会貢献に挑む道のり
Google Cloud Japan Team
編集者注: Google Cloud を利用する企業のリーダーの皆様にお話を伺い、想いを語っていただく Google Cloud Leader’s Story。連載 6 回目となる本記事ではカラクリ株式会社(以下、カラクリ)の CTO である中山智文氏に話を伺いました。
「今までにないカラクリで世の中を豊かに」というミッションをもとに、AI を用いたチャットサービス「 KARAKURI chatbot 」の開発を主に行い、幅広い人達に AI 技術を提供することを目指すカラクリ。今回は、カラクリ CTO であり、創業者の 1 人でもある中山智文氏に、CTO としての考えや、Google Cloud の活用について話をお伺いしました。
利用している Google Cloud サービス:
Google Kubernetes Engine, BigQuery, Cloud Logging, App Engine, Cloud Storage, Artifact Registry, Cloud Memorystore
利用している Google Cloud ソリューション:
サーバーレス、オープンソースデータベース
社会課題を解決し、社会を変えていく。それによって、人間らしい楽しい仕事を提供する
「一般の方に広く技術を浸透させるには、つなぐ役割が必要だと考えている。そして、単につなぐだけではなく、使いやすい形で、手に馴染むような、愛着の持てる形で届けたい。」
そう語るのは、カラクリ CTO の中山智文氏。
中山氏は、学生時代からカラクリを創業し、現在の主力事業であるチャットボットサービスの開発と、AI 技術の R&D 事業をスタートさせました。チャットボットを使ったカスタマーサポート事業を展開し、改めて社会課題を認識したと語ります。
「当初は、チャットボットが活きる領域としてカスタマーサポート事業を始めましたが、そこで改めて現場の問題を肌で感じました。人がストレスを感じて働くのではなく、そこに技術を入れて、人間だからこそできる仕事、本当に楽しい仕事を作り、社会を豊かにしていきたい。その想いがより強くなりました。」
さらに現場を支援するために、チャットボット以外にも、オペレーターが使うシステムや、ナレッジ管理ツール、 FAQ 構築サービスなど、オペレーターを支援するサービスを拡充させていったカラクリ。
創業メンバーや、周りの人達に助けられ、困難な課題を1つずつ解決していったと言う中山氏。ビジネスが拡大していくにつれ、サービスの提供に関わる大きな課題に行き着くようになります。
「当時、他のクラウドサービスを利用していましたが、障害が度々起こるようになり、その度にお客様にご迷惑をおかけしてしまいました。そこで、”マルチクラウド化が必要ではないか”、と社内で移行プロジェクトが立ち上がりました。」
障害に強いシステムを作ろうと思ったときに、一番作りやすかったのが Google Cloud だった
当初は、他のクラウドサービスと Google Cloud 双方で同様の構成を構築して並行運用し、問題があった場合に運用先を切り替えることを検討していたと言います。そのために、アプリケーションをコンテナ化し、移行の準備を進めている段階で、 Google Cloud の良さに改めて気づいていったと中山氏は語ります。
「やろうと思えば、他のクラウドサービスに一本化することも、並行して使い続けることも出来ました。ただ、自分たちで障害に強いサービスを作ろうと思ったとき、一番扱いやすかったのが Google Cloud だったんです。」
Google Kubernetes Engine を中心に Google Cloud へ移行していく中で、コスト削減と安定運用の実績が徐々に出来上がり、最終的には Google Cloud のみで構成しても、障害が発生しないサービスになっていったと話します。
「もともと AI に関わるメンバーが開発の中心を担っているため、インフラには詳しくなかったんです。学習コストをかけることもスタートアップには難しい。そんな中で、他のクラウドサービスと比べると、コンソール画面は分かりやすくて、UI もシンプルで使いやすい。加えて、 AI 系のサービスが充実している。そうやってどんどん Google Cloud を使っていくと、開発メンバー全体の意見として”すべて Google Cloud で良いんじゃないか”という空気になっていきました。」
カラクリの強みを活かす基盤として Google Cloud のさらなる活用へ
AI に関する技術力と、専門領域の知識を強みとしつつ、あえて難しい言葉や技術の話はせず、広く社会の人が使いやすいサービスとして提供することを理想とするカラクリ。
今後の課題は、Generative AI を活用して、如何にサービスを提供していくか、という点にあると語ります。
「Generative AI は広く話題となっていて、これに対応することは会社としても必要だと考えています。そのために、カスタマーサポート x AI という世界では、それを率いる立場として、様々な研究開発を進めています。ただ、研究開発には様々なデータが必要ですので、Google Cloud の活用は基礎研究にも活用していくつもりです。」
日々のサービス利用データや、顧客から提供されるマスタデータを取り扱うカラクリ。そのデータ基盤を拡充していき、分析をして AI に学習させるために、BigQuery を利用した大規模データ処理基盤の構築を進めています。
最後に、今後のプランについてお伺いしたところ、次のように話していただきました。
「自分が生涯をかけてやりたいと思っているのは、100年後に、本当にやりたい仕事だけで人が生きていける世界を作ること。今はカスタマーサポート事業を展開していますが、一つ一つの業界に AI 技術を浸透させて、人が本当にやるべきこと、やりたいことに集中出来る社会を作っていく。そんな未来に繋げていきたいと考えています。」
インタビュイー
カラクリ株式会社 取締役 CTO(人工知能・データ分析スペシャリスト)中山 智文 氏