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顧客事例

株式会社アクアプラス / 株式会社トーセ:600 万 DL に向けてスケールし続ける人気ゲームタイトルを Google Cloud で安定稼働

2020年11月25日
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Google Cloud Japan Team

テレビアニメ化もされた人気ゲームタイトル「うたわれるもの」シリーズの世界観を受け継ぐスマートフォン向けゲームアプリ『うたわれるもの ロストフラグ』。2019 年 11 月のリリース以来、順調にユーザーを獲得しており、間もなく 600 万ダウンロードを達成する勢いです。この成功がどのようにしてもたらされたのか、作品の生みの親である株式会社アクアプラスと、サービスの開発・運用を担当する株式会社トーセの皆さんにお話をお伺いしました。

利用している Google Cloud サービス:Google Kubernetes Engine(GKE)Cloud SQLMemorystore for RedisCloud StorageBigQuery  など

大幅なコスト減と急激なアクセス増に耐える安定性を両立

株式会社アクアプラスが長年に渡り展開してきた人気ゲームタイトル「うたわれるもの」シリーズ。その中核を担う、家庭用ゲーム機向けに展開された 3 部作は第 2 部までがテレビアニメ化され、第 3 部のアニメ制作も決定しているなど、特に高い人気を誇っています。2016 年秋にその物語が完結した際には、当然のことながら多くのファンから次回作を求める声が上がりました。

「ファンの皆さまからの後押しを受け、3 部作の次の柱となるプロジェクトを立ち上げることになりました。その際、最初に決めたのが新作をスマートフォンのアプリとして提供すること。ビジネス的な挑戦という側面はもちろんあるのですが、なによりプラットフォームを変更することで、それまでとは異なる主人公、ストーリー、世界観の確立に挑戦できるのではないかという想いがありました。」

そう当時をふり返るのは、アクアプラスで『うたわれるもの ロストフラグ』のアソシエイトプロデューサーを務める竹澤太郞さん。同社ではこれまでもスマートフォン向けアプリ市場に注目していたものの、社内リソースの不足や、従来と全く異なるビジネスモデルということもあり、慎重に検討していたそうです。

「そうした事情もあり、アプリの開発においては、弊社内ではどうしても足りない、賄えない部分、アプリを継続して遊んで貰える各種企画や運営ノウハウ、日々の量産、サーバ周りの実開発と運営をお願いするだけの実績を持った企業とタッグを組む必要がありました。そこで今回は、その条件を満たしつつ、我々のIPに対する理解も深かったトーセさんに協力をお願いすることにしました。」(竹澤さん)

こうして 2017 年、「うたわれるもの」シリーズの新たな挑戦となるスマートフォン向けアプリ『うたわれるもの ロストフラグ』の制作がスタート。アクアプラスとトーセがそれぞれ得意とする部分を分担するかたちで開発が始まりました。

「『うたわれるもの ロストフラグ』の開発においてアクアプラスさんが何より重視していたのが、作品の世界観を壊さないこと。それまでのタイトルで培ってきたキャラクター同士の関係性を損なわず、多くのキャラクターが活躍できるものにしたい、キャラクターを使ってユーザー同士が競うようなものにはしたくないというオーダーがまずありました。」(呉さん)

この基本方針を受けて『うたわれるもの ロストフラグ』では、スマートフォン向けアプリで一般的なユーザー対戦機能をあえてカット。結果、リアルタイムな通信を大量に処理する必要がなくなったため、クラウド プラットフォームを利用したオーソドックスなサーバー構成でサービスを提供していくことになりました。

「とは言え、これほどの人気タイトルが生み出すトラフィックに耐えられるクラウド プラットフォームはそう多くありません。そうして絞り込まれた中から、Google Cloud を選んだのは第一にコストの違いが大きかったですね。」(南方さん)

「あくまで初期の試算ですが、Google Cloud なら他のプラットフォームと比べてトータル的なコストパフォーマンスが高いことがわかり、それが決め手になりました。」(呉さん)

「機能面ではやはり何と言っても Google Kubernetes Engine(GKE)。こうしたスマートフォン向けアプリでは、急激なアクセス増が予想されるイベント開始時などにあらかじめサーバーを増強せねばならず、その設備的なコストや人的なコストが大きな負担となっていました。しかし GKE には優秀なオートスケール機能がありますから、それらのコストを大幅に削減することができます。」(永楽さん)

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その結果、『うたわれるもの ロストフラグ』では、大幅なコスト減と、急激なアクセス増に耐える安定性を両立。特に多くのユーザーが殺到するサービス開始初日にも大きなトラブルは発生しなかったとのことです。

「もちろん、事前の準備はしっかりと行いました。過去作品の販売本数やアニメの視聴者数、グッズの売れ行きなどから予測したアクセス規模よりもかなり余裕を持たせた環境を用意しておきましたし、負荷試験やその後のチューニングにも時間をかけています。しかし、それでもなお障害が避けらないのがスマートフォン向けゲームアプリです。『うたわれるもの ロストフラグ』では、大きな障害無く、リリースから多くの方に遊んでいただけ、本当に安心しました。」(森山さん)

「Google Cloud の手篤いサポートのおかげで開発中に大きな問題が発生することはありませんでした。リリース前の負荷試験で、サーバーをスケールしても思ったように RPS が伸びないというトラブルがあったものの、それもサポートのおかげで解決。キャッシュサーバーの利用方法に問題があることが発見でき、根本修正を行うことで改善することができました。」(竹田さん)

Google Cloud で柔軟でスムーズな開発が実現

サービス開始から約 1 年が経過した『うたわれるもの ロストフラグ』。もちろん、その道のりは必ずしも平坦なものではありませんでした。多くのスマートフォン向けゲームアプリがそうであるよう、ユーザーの反応に都度、アジャストするかたちで作品を作り込んでいっています。

「『うたわれるもの ロストフラグ』の魅力は何と言っても物語。これをより強く訴求していくため、運営の途中からストーリーの配信タイミングを変更しました。そうなると開発環境をたくさん複製しながら、地下鉄の路線図のようにいろいろなバージョンを作って行く必要がありました。この際、Google Cloud が開発環境を簡単に複製できることがとても役立ちました。そうした特性は開発効率の向上に間違いなく一役買っています。」(呉さん)

「また、春先からの COVID-19 禍では、サーバーの管理をタブレットから手軽に行えることもありがたかったです。クラウド コンソールからの操作ですべて解決できることから、場所や機材の制約がなくなります。止められないサービスを預かっている身としてはとても助かりましたね。」(南方さん)

そして、これから 2 年目へと向かう『うたわれるもの ロストフラグ』。直近の技術的課題としては、ユーザー増に合わせて膨大なサイズになっているログデータを BigQuery を導入することで高速に集計できるようにし、サービス改善に繋げていくことだそうです。

「さらに来年 1 月には新たな戦闘コンテンツの実装と、それに伴った新システムの追加も予定しています。メイン ストーリーもまだまだ序盤。サービス 2 年目に入る『うたわれるもの ロストフラグ』をさらに盛り上げていきたいですね。」(竹澤さん)


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株式会社アクアプラス

東京と大阪に開発拠点を構えるゲーム制作会社。現在は主に家庭用ゲームソフトの開発・販売を手掛けており、「うたわれるもの」シリーズはテレビアニメやコミックなど積極的なメディアミックス展開も行われた。ゲーム開発のほか、音楽事業なども行っている。従業員数は 62 名(2020 年 9 月時点)。

・ソフト開発東京事業部 アソシエイトプロデューサー 竹澤 太郎 氏

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株式会社トーセ

ゲームを中心とするデジタルコンテンツの企画・開発・運営をワンストップで行う受託開発企業。1979 年の創業以来、家庭用ゲーム機用ゲームソフトからフィーチャーフォン、スマートフォン向けのモバイルゲームアプリ開発まで幅広く事業を展開。累計 2300 タイトル以上の作品を手掛けてきた。従業員数は約 534 名(2020 年 8 月時点)。

(写真左から)
・プロジェクトマネージャー 呉 忠士 氏
・スタジオ責任者 森山 浩隆 氏
・サーバーエンジニア 永楽 真也 氏
・インフラエンジニア 南方 理志 氏
・サーバーエンジニア 竹田 吉宏 氏


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