SAP およびミッション クリティカルなワークロードを Google Cloud 上で有効にする

※この投稿は米国時間 2020 年 7 月 18 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

圧倒的多数のビジネスにとって、今思い描いている未来像は、世界的なパンデミック前の未来像から大きく変わりました。たとえば、ビジネス上の優先順位、リソース、リスクや報酬に関するアプローチなどが以前とは変わってきています。

今後のビジネス運営について検討することは、SAP アプリケーションを利用している企業のお客様にとって非常に大きな課題です。2020 年は、多くの企業がこぞってデジタル変革の取り組みを開始しました。その中には、満を持して、従来の SAP インスタンスから最新のクラウドネイティブな S/4HANA 環境に移行する計画も含まれていました。移行まで踏み切らずとも、SAP HANA に移行するためのイノベーションの新しいリソースを有効化、サポート、運用する Google Cloud の機能をベースに、少なくとも同じようなイニシアティブを検討している企業も多くありました。

ビジネスの継続性に関する新しい懸念事項

これらの企業のほとんどが共通の問題を抱えています。それは、今回のパンデミックによって明らかになった、今後も続くであろうビジネス テクノロジーの課題にどのように対応していくかという問題です。また、費用に関して大きな混乱に直面している企業もあります。

Google Cloud は SAP 環境を利用しているお客様との会話を通して、次の 3 つの問題が特に重要であり影響力が大きいと判断しました。

1. インフラストラクチャに関するリスクの管理とリスクの最小化: 今年 3 月以来、各社の IT 部門はサプライ チェーンシステムが限界を超えたとき、何が起こるのかを目の当たりにしてきました。ネットワーク ハードウェアとストレージ ハードウェアが突然不足し、これらのシステムをインストールし維持するオンサイトの IT スタッフも不足した状態になりました。その結果、今後のオンプレミス SAP 環境の運用と維持は、以前よりもずっとリスキーになると思われます。

2. 新しい現実への柔軟でスケーラブルな適応: 今回のパンデミックでは、規模と需要において極端な特徴がみられました。未使用のデータセンター インフラストラクチャをシャットダウンしなければならないビジネスがある一方で、予測できない大規模な需要増への早急な対応を迫られたビジネスもありました。

3. 高速かつスマートなビジネス分析に向けた再編: すでにパンデミック以前から、多くの企業が市場の混乱に直面し、ビジネス モデルのシフトを迫られていました。しかし、ここ数か月で新しいビジネス モデルが次々と登場し、新しい市場勢力図が見えてきました。スマートで迅速な優れた統合分析能力を備えた企業であれば、このような環境で容易に勝ち抜くことができるでしょう。

本日は、SAP のお客様がこれらの問題を解決するためのさまざまな方法をご紹介します。

SAP のお客様向けのミッション クリティカル サポートに関するお知らせ

SAP をご利用のビジネス向けのサポートを提供するにあたり、Google Cloud は今年 Premium Support の提供を開始しました。Premium Support では、 SAP のようなサードパーティアプリケーションのサポートを提供して、これらのアプリケーションに固有のニーズに対応できるよう支援します。たとえば、技術ソリューション エンジニアの特別チームのエキスパートが Google Cloud で SAP を稼働しているお客様にサポートを提供します。このグローバルなエキスパート チームのサポートは年中無休です。SAP や Google Cloud Platform に関する深い知識を持ってお客様のお問い合わせに対応し、質の高いサポートを提供してお客様の問題を短時間で解決できるようお手伝いいたします。

より高度なサポートをご希望されるお客様向けの Google Cloud ミッション クリティカル サポートは、いかなる種類のダウンタイムも許されない SAP のお客様を支援するものです。ダウンタイムが許されないビジネス向けに、ミッション クリティカル サポートは以下のサポートを提供します。

• 最速の回答時間: サービスレベル目標は 5 分以内の回答に設定されています。サポートチームが事前にお客様の環境を十分に把握し、インシデントが発生した場合でもすぐに対応します。  
• 積極的な予防措置: お客様の問題をすばやく回避できるようエキスパートが対応します。ミッション クリティカル サポートのチームは、お客様の質問にすぐに回答できるようにするため、お客様のアーキテクチャ、提携パートナー、ワークロード、ビジネス拠点について把握しています。
• コラボレーション型のアプローチにより、お客様の環境を継続的に改善していきます。
• ミッション クリティカル サポートでは、お客様の SAP 環境を深く理解する必要があります。そのため、Google Cloud の Professional Services Organization（PSO）がアセスメントを行い、お客様の環境を評価します。お客様には、この評価結果に基づいて改善期間中に適切な対応を取っていただき、SAP 環境の準備を整えていただきます。オンボーディングでは、Google Technical Solutions Engineers（TSE）がお客様のサービスレベル指標を決定します。ミッション クリティカル サポートをご利用のお客様は、優先値ゼロ（P0）のケースを提出できます。Google Cloud とのパートナーシップにより、お客様のミッション クリティカルな SAP 環境を継続的に改善できるというメリットがあります。

エンタープライズ クラスのビジネス継続性

FFF Enterprises, Inc. は、長年にわたり医薬品の卸売業界において名の知れた企業です。米国内の病院の 80% 以上との取引があります。従来のインフラストラクチャ上で稼働していた SAP でサービス停止の問題が発生したことをきっかけに、ホスティング プロバイダである FFF Enterprises は環境を変更することの必要性を認識し、クリティカルな SAP S/4HANA 環境を Google Cloud に移行しました。この移行により、従来のシステムよりも低コストで優れたパフォーマンスと頑強かつ信頼性の高いインフラストラクチャを実現しました。

Google では、SAP のお客様向けに、信頼性の高いインフラストラクチャ機能に支えられた優れたサポートを確実に提供します。Google Cloud の堅牢なインフラストラクチャは、持ち株会社である Alphabet のあらゆる大規模アプリケーションのビジネス継続性を維持しています。お客様の SAP 環境を管理し維持にお役立ていただける、以下の主要機能を備えています。

• マルチレイヤ インフラストラクチャによる高可用性（HA）: Google Cloud は高可用性を提供する設計になっています。世界中のデータセンターに冗長インフラストラクチャが装備され、相互に独立したゾーンが設定されています。ライブ マイグレーションは、ハイパーバイザやハードウェアの更新といった計画されたホストシステムのイベント中に仮想マシン インスタンスの実行を継続できるようにします。VM インスタンスには、予期しないダウンタイムの発生時に自動的に再起動する機能もあります。

• 高速かつフレキシブルな信頼性の高い障害復旧（DR）: 今回のパンデミックにおいて、多くの SAP 導入企業が、サプライ チェーンの混乱に対して現在のデータセンターがいかに脆弱であるかを思い知らされました。Google Cloud for DR は、クリティカルな SAP ワークロードとデータソースを確実に保護します。

• 効率的かつ信頼できるデータ保護: SAP システムを保護するための鍵となるのは、バックアップ戦略を作成し、バックアップに最適なサービスを選択することです。Google Cloud には、SAP システムを効率よく自動的にバックアップするためのネイティブ機能があります。アプリケーションのバックアップ オプションやインターフェース（SAP HANA Backint など）、Actifio、Commvault、Dell EMC などのサードパーティのマネージド バックアップ ソリューションを利用することもできます。  

• リスクを最小限に抑えながら、簡単で低コストな方法で素早くスケーリングに対応: 多くの SAP 導入企業にとって、リスク管理は、ピーク パフォーマンス時におけるビジネス クリティカルなアプリケーションの可用性と安全な稼働に影響を及ぼします。この場合の一般的なソリューションとして「リフト＆シフト」プロジェクトがあります。これは、複雑な移行から得られる一部のメリットと引き

SAP のお客様が Google Cloud を利用してサポートを受け、ビジネス継続性を確保する方法について詳しくは、「Google Cloud で高可用性を優先して SAP を実行する」をお読みください。また、Google Cloud での SAP もご覧ください。 

-Google Cloud SAP 担当マネージング ディレクター Snehanshu Shah