メモリ使用量が多いワークロード向けの新しい M4 VM でコスト パフォーマンスが 66% 向上
Eduardo Mattos Duarte
Product Manager
※この投稿は米国時間 2025 年 6 月 10 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
このたび Google は、メモリ最適化マシン シリーズ Compute Engine M4 の一般提供を開始しました。これは、6 TB 未満のメモリを搭載した、Google の最も高性能なメモリ最適化 VM です。
M4 ファミリーは、SAP HANA、SQL Server、インメモリ分析など、高いメモリ対コア比を必要とするワークロード向けに設計されています。M4 は、Intel の最新の第 5 世代 Xeon プロセッサ(コードネーム: Emerald Rapids)をベースとしており、インスタンスは最大 224 個の vCPU と 6 TB の DDR5 メモリまでスケールアップできます。M4 では、メモリと vCPU の比率が 2 種類用意されており、メモリ最適化インフラストラクチャはアップグレードが可能です。これらは、372 GB から 6 TB までのメモリを備えたインスタンス シェイプにおいて、メモリ対コア比が13.3:1 と 26.6:1 の事前定義されたシェイプとして提供され、すべてのシェイプとサイズが SAP HANA の認定を受けています。
M4 VM は、一貫したパフォーマンスを実現できるよう設計およびファインチューニングされているため、従来のメモリ最適化 M31 と比較して、コスト パフォーマンスが最大 66% 高くなります。M4 は、M3 と比較して SAPS が最大 2.25 倍2向上しており、全体的なパフォーマンスが大幅に改善されています。さらに、M23 と比較して、最大 2.44 倍のコスト パフォーマンスを実現します。お客様の最もビジネス クリティカルなワークロードをサポートできるよう、M4 はエンタープライズ グレードの信頼性と、定期メンテナンス向けの細かい制御を提供します。また、M4 は Compute Engine の 99.95% メモリ最適化単一インスタンス SLA に裏打ちされています。これは、SAP などのビジネス クリティカルなインメモリ データベース ワークロードにとって重要です。
「Intel が、Google Cloud とのコラボレーションにより、第 5 世代 Intel Xeon プロセッサを搭載した、大手ハイパースケーラー初のメモリ最適化(M4)インスタンス タイプを発表できることを嬉しく思います。このリリースは、SAP HANA などの大規模データベースやメモリ使用量の多いワークロードに対応する際に、最先端のパフォーマンス、スケーラビリティ、効率性をクラウド ユーザーに提供するうえで、重要なマイルストーンとなります。新しい M4 インスタンスは、現在と将来のワークロードに対応する高度な機能を提供することで、デジタル時代における企業のイノベーションと成長を支援します。」- Intel、DCAI 戦略およびプロダクト管理担当 VP 兼 GM、Rakesh Mehrotra 氏
メモリ最適化マシン インスタンスの完全なポートフォリオ
M4 は、Compute Engine のメモリ最適化 VM ファミリーの長い歴史における最新の VM です。Google は、2018 年に SAP HANA 用に M1 を導入しました。2019 年に M2 が登場し、さらに大きなワークロードに対応できるようになりました。そして 2023 年に、パフォーマンスが向上して新機能が追加された M3 が発表されました。2024 年にリリースされた X4 は最大 32 TB のメモリを搭載し、最大規模のインメモリ データベースに対応しており、Google Cloud はこの規模の SAP 認定インスタンスを提供する最初のハイパースケーラーとなりました。
「SAP と Google Cloud は長年にわたり強力なパートナーシップを築き、Google Cloud 上の RISE with SAP を使用した企業の変革を支援してきました。パフォーマンス、高い信頼性、コスト効率が強化された M4 マシンにより、両社共通のお客様にさらに大きな価値を提供するという使命の実現を加速させています。」- SAP SE、Enterprise Cloud Services、RISE with SAP 担当 CTO、Lalit Patil 氏
現在、お客様も Google の社内チームも M4 を採用し、パフォーマンスの向上、新しいシェイプ、Compute Engine の最新イノベーションを活用しています。
Titanium 搭載
M4 は Google の Titanium オフロード技術を基盤としており、最大 200 Gb/秒のネットワーク帯域幅で超低レイテンシを実現します。ストレージとネットワーキングは Titanium アダプタにオフロードされるため、ホストのリソースをワークロードの実行に充てることが可能です。また、Titanium は M4 のライフサイクル管理、信頼性、セキュリティを強化します。Titanium のヒットレス アップグレードとライブ マイグレーション機能により、インフラストラクチャのメンテナンスの大部分を、業務を中断することなく、または最小限の中断で実行できるため、予測可能なパフォーマンスを確保できます。加えて、Titanium のカスタムビルドされたセキュリティ ハードウェアのルート オブ トラストにより、お客様のワークロードのセキュリティがさらに強化されます。
Hyperdisk の次世代ストレージ
M4 VM は最新の Hyperdisk ストレージ技術を搭載しており、Hyperdisk Balanced と Hyperdisk Extreme のオプションを選択できるようになりました。Hyperdisk Balanced は、インスタンスあたりの IOPS が最大 32 万で、パフォーマンスとコスト効率を両立しながら幅広いワークロードに対応するため、一般的なトランザクション スループットと中程度のクエリ量を効率的に処理できます。Hyperdisk Extreme は、これまでにないストレージ パフォーマンスを実現します。具体的には、M4 インスタンスあたり最大 50 万の IOPS と最大 10,000 MiB/秒のスループットを実現し、大規模なデータセットへの低レイテンシのアクセスを必要とする SAP HANA のインメモリ データベース オペレーションなど特に要件の厳しいアプリケーションにも対応します。Balanced と Extreme のボリュームを組み合わせることで、M4 VM ごとに最大 64 個の Hyperdisk ボリュームをアタッチし、最大で合計 512 TiB の容量に対応できます。
Hyperdisk のメリットは、単にそのパフォーマンスにとどまりません。IOPS と帯域幅をリアルタイムで動的に調整できるため、ワークロードに必要なリソースを常に確保できます。Hyperdisk Balanced ボリュームで利用可能な Hyperdisk ストレージ プールは、容量のプーリングとストレージ リソースの柔軟な割り当てをサポートするため、使用率とコスト効率の両方を最適化できます。その結果、Hyperdisk は、優れたパフォーマンスと柔軟性を実現するだけでなく、従来のストレージ ソリューションと比べて総所有コスト(TCO)も大幅に削減できます。Hyperdisk の高度な機能と Titanium のストレージ アクセラレーションを組み合わせることで、ストレージ処理が CPU からオフロードされるため、コンピューティング リソースが解放され、M4 のパフォーマンスが全体的に向上します。
SAP 認定
Google Cloud 上ですでに SAP 認定を受けている SAP ASE 向け X4 や SAP Adaptive Server 向け C4 のほかに、SAP HANA と SAP NetWeaver ベースのアプリケーション ワークロード向け M4 マシンが新たに認定されました。SAP HANA データベースにデプロイされたトランザクション アプリケーションや分析アプリケーションについては、認定済みでサポート対象の SAP HANA ハードウェアのディレクトリを参照してください。
SAP Business Suite や SAP Business Warehouse(BW)など、SAP HANA 以外のデータベース(SAP ASE、DB2、SQL Server)にデプロイされた SAP NetWeaver ベースのアプリケーションを含む SAP アプリケーションについては、372 GB、744 GB、1,488 GB、2,976 GB、5,952 GB のマシンシェイプが SAP 認定を受けています。サポート対象の SAP アプリケーションの詳細については、SAP Note 2456432 をご覧ください。
使ってみる
クラウド上の SAP HANA や SQL Server などのデータベースで、高度な分析、複雑なアルゴリズム、重要なワークロードのリアルタイム分析情報を実行する場合でも、M4 VM はビジネスニーズを満たすパフォーマンス、機能、安定性を提供します。大規模なデータセットを処理するよう設計された高パフォーマンス インフラストラクチャを備えた M4 VM は、最も要求の厳しいワークロードのニーズを満たす堅牢なメモリとコンピューティング機能を提供します。
M4 インスタンスは現在、us-east4、europe-west4、europe-west3、us-central1 でご利用いただけます。他のリージョンでも今後提供される予定です。M マシン ファミリーの他のインスタンスと同様に、M4 はオンデマンドまたは確約利用割引(CUD)を利用して購入できます。詳しくは、M4 の事前定義されたコンピューティング リソースの料金をご覧ください。また、次のプロジェクトでぜひ M4 の利用を開始してください。
1. M3-megamem-64 と M4-megamem-56 の比較。パフォーマンスは、SPECrate®2017_int_base パフォーマンス ベンチマークの推定スコアに基づく
2. M4-megamem-224 と M3-megamem-128 の比較
3. M4-ultramem-224 と M2-ultramem-208 の比較
-プロダクト マネージャー、Eduardo Mattos Duarte