Database Migration Service での Oracle から PostgreSQL への移行の新機能
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2023 年 8 月 31 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
オープン標準のデータベースを採用する組織が増えるにつれ、特に異なるデータベース エンジン間の異種移行に対応した、使いやすい高性能な移行ツールのニーズが高まっています。Google は今週、Database Migration Service(DMS)に、Oracle データベースから PostgreSQL への変換と移行のためのいくつかの新機能を追加したことを発表しました。
DMS は、移行のダウンタイムを最小限に抑えて、データ、スキーマ、SQL コードの移行の複雑さを大幅に軽減するフルマネージドのサーバーレス クラウド サービスです。初期スナップショットをより迅速に作成する機能を提供し、低レイテンシで非干渉型の変更データ キャプチャを実行して、その並列読み込み機能によりダウンタイムを短縮します。
このたび一般提供となった、DMS での Oracle から PostgreSQL への移行のサポートにより、企業は統合された簡単な方法でデータやスキーマを移行し、複雑な PL / SQL コードを PostgreSQL 互換 SQL に変換できるようになります。この機能により、DMS はデータ、スキーマ、統合されたコード変換のワンストップ ショップとなることで、顧客の価値創出までの時間を大幅に短縮します。さらに、Database Migration Service は、ラスト ワンマイルの変換に役立つ、Duet AI 支援のコード変換を備えています。Duet AI 支援のコード変換を利用することで、実行されたコード編集に基づいて変換メカニズムが学習し、進化するように設計されています。すべてのユーザー編集が追跡され、推奨事項がリアルタイムで提供され、ユーザーはそれらを承認するか拒否するかを柔軟に選択できます。このアクションを再び使用してモデルを改良し、推奨事項を進化させることで、今後の手作業による介入を削減します。
DMS のホームページにて、Oracle から AlloyDB for PostgreSQL への移行と Duet AI 支援のコード変換の両方のプレビュー版に今すぐご登録いただけます。
では、DMS の新機能が Oracle データベースを Google Cloud 上の Cloud SQL for PostgreSQL に移行するのにどのように役立つかを見ていきましょう。
お客様は広く受け入れられているオープンソース標準を採用してデータベースをモダナイズし、マネージド PostgreSQL を活用することで、費用の削減、柔軟性の向上、パフォーマンスの向上、ベンダー ロックインの回避を実現しています。Google は AlloyDB により、標準の PostgreSQL と比べてトランザクション ワークロードで 4 倍以上、分析クエリで最大 100 倍高速化する機能と、PostgreSQL のオープン性を組み合わせました。
ただし、このような明白なメリットがあるものの、従来の Oracle データベースからの移行は複雑になりがちで、データベースとその複雑なコードやアプリケーションの依存関係に関する専門知識が求められます。お客様は必然的に膨大な手作業が必要で、異なるさまざまな、場合によっては連携できないサードパーティ製ツールを利用することになり、モダナイゼーションを実現するにはパートナーに依頼せざるを得ません。場合によっては、あまりにも多くの手作業が必要なために第一歩を踏み出すことすらできず、従来の高額なデータベースに縛られたままになり、デジタル トランスフォーメーションを成功させるために必要な柔軟性やイノベーションが得られないことさえあります。
統合型の移行と変換の発表
上述のサービスの一般提供に加えて、先日の Google Cloud Next において、Database Migration Service の新しい統合コード変換機能をリリースしました。これは、ストアド プロシージャ、関数、トリガー、パッケージ、カスタムの PL / SQL コードなどのデータベース コードを PostgreSQL 互換 SQL に変換します。現在プレビュー版であるこのコード変換機能は、構文変換だけでなく、SQL の最終結果が正しいことを確認するための意味変換も行います。この新しい機能は移行元言語と移行先言語の両方を理解するため、移行の実行時間を最小限に抑えます(コード変換は移行プロセスにおいて常に最も時間がかかる処理です)。DMS により、コードとスキーマの両方の変換が自動的に行われます。
主な利点
昨年、DMS での Oracle から PostgreSQL へのスキーマとデータの移行のプレビュー版リリースを発表して以降、Google はオンプレミス ワークロードを Google Cloud に移行する多くの組織を支援してきました。移行した組織は以下のような利点を挙げています。
シンプルで直観的なユーザー エクスペリエンスにより、ユーザーは複雑なデータベース関連のテクノロジーを習得しなくても、複雑な移行を構成、管理し、モニタリングできる。
Oracle から Cloud SQL for PostgreSQL または AlloyDB for PostgreSQL レプリケーションにデータをコピーする高速な初期スナップショット機能と、ターゲット データベースの同期を維持してダウンタイムを短縮する変更データ キャプチャ(CDC)機能。
初期スナップショットから変更データキャプチャへの自動移行により、手動構成によって発生する可能性のあるデータギャップを防止。
永続的で再利用可能な接続管理により、接続プロファイルを認証情報とともに安全な方法で保存。
コンバージョン ワークスペースを介してすべての複雑な PL / SQL コードを Cloud SQL for PostgreSQL 互換 SQL に変換する統合コード変換。
ソースのコンバージョンからデータの移動までシームレスな移行。
ご利用方法
DMS を使用した移行は簡単です。Google Cloud コンソールで [データベースの移行] ページに移動し、新しい移行ジョブを作成してから、次の 5 つの手順を行います。
移行元の接続プロファイルを作成します。これには移行元データベースの情報が含まれます。接続プロファイルは、後で別の移行にも使用できます。
移行元の Oracle スキーマと PL / SQL コードを、互換性のある SQL と PostgreSQL スキーマに自動的に変換するコンバージョン ワークスペースを作成します。
変換済みのスキーマ オブジェクトと SQL コードを、移行先の Cloud SQL for PostgreSQL インスタンスに適用します。
移行ジョブを作成して、前に作成したコンバージョン ワークスペースと接続プロファイルを選択します。
移行ジョブをテストしたら、準備ができ次第移行ジョブを開始します。
移行ジョブが開始されると、DMS はデータの最初のスナップショットを取得し、新しい変更が発生するとその変更をレプリケートします。移行ジョブは、移行の完了を決定するまでソースデータのレプリケーションを繰り返します。
詳細を確認し、データベースの移行を開始する
移行を開始するための詳しい情報は、ドキュメントをご確認ください。こちらの Database Migration Service Qwiklab でトレーニングを始めることもできます。また、このコンバージョン ワークスペースの紹介動画もご覧いただけます。Oracle から PostgreSQL への移行に対応した新しい Database Migration Service の利用を開始するには、コンソールの [データベースの移行] ページにアクセスしてください。
- Database Migration Service、リード プロダクト マネージャー Shachar Guz
- プロダクト担当責任者 Chaitanya(Chai)Pydimukkala