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データベース

カスタマー エクスペリエンスを変革する最新のデータベース イノベーション

2022年10月11日
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Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2022 年 9 月 16 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

私たちは日々、Google のプロダクトに慣れ親しんでいます。たとえば、お店の閉店時間や、目的地への最短ルート、好きな料理のレシピを知りたいときは、Google で調べます。Google で検索すれば、どこにいても、いつでも役に立つ情報が手に入ります。

しかし、ビジネスに関しては、求める答えはそう簡単に手に入りません。HBR が行った最近の調査によると、明確なデータ戦略を策定していると答えた回答者はわずか 30% であり、自身の組織がデータドリブンであると考えている回答者は最大でも 24% にとどまりました。このような回答をした経営層に聞くと、「データの海におぼれているようだ」と答えるかもしれません。データドリブンな組織になるのは、なぜこれほど難しいのでしょうか。

データのライフサイクルは、オペレーショナル データベースから始まります。オペレーショナル データベースとは、ユーザーとシステムがアプリケーションを通じてやり取りし、データが生まれる場所です。オペレーショナル データベースは、アプリケーションの屋台骨であり、革新的なカスタマー エクスペリエンスを構築するために欠かせない要素です。Google Cloud は、統合されたオープン プラットフォームを構築することで、データでイノベーションを起こす最も簡単で最短の方法を提供しようと努めてきました。Google のデータクラウドを使うことで、データチームは、データベースでの運用トランザクションから、データ ウェアハウス、レイク、データマートなどの分析アプリケーション、データドリブンな充実したエクスペリエンスまでの、データ ライフサイクルの各段階を管理することができます。

たとえば、日本でモバイル決済サービスを提供しているメルペイは、可用性、スケーラビリティ、そしてパフォーマンスの要件を満たすデータベースを使ってエクスペリエンスを構築することを望んでいました。メルペイは、Cloud Spanner を活用することでオーバーヘッド費用を削減し、最終的には、エンジニアリング リソースをお客様のための新しいツールやソリューションの開発に回すことができました。

同じような変革をご自身の組織にもたらしたいとお考えの場合は、データベースに関する最新情報および活用方法について、引き続き読み進めてください。

革新的なデータベース機能の活用

Google のデータクラウドを使うことで、組織は Google 独自のデータベースを活用して革新的なアプリケーションを迅速に構築できます。たとえば、強整合性を特徴とし、トップクラスの 99.999% の可用性を備えた、世界規模の Google Cloud のフルマネージド リレーショナル データベースである Cloud Spanner などがあります。SabreVimeoUberShareChatNianticMacy's などの各業界をリードする企業が、Spanner を使用してミッション クリティカルなアプリケーションを提供し、顧客から好評を得ています。Spanner の最近のイノベーションである、きめ細かなインスタンスのサイズ設定や PostgreSQL インターフェースは、Spanner への参入障壁を低くし、すべてのデベロッパーが、アプリケーションの規模を問わず、Spanner にアクセスできるようにします。

この取り組みに伴い、このたび、デベロッパーに Spanner を簡単に無料でお試しいただけるよう、Spanner の無料トライアル インスタンスを発表いたします。Spanner の新しい無料トライアルでは、Spanner を費用負担なしにハンズオンで体験できます。この無料トライアルには、使い方を説明するチュートリアルとサンプル データベースが付属しています。Spanner の無料トライアルでは、10 GB のストレージ付き Spanner インスタンスを 90 日間利用できます。90 日間のトライアル期間中、いつでも有料インスタンスにアップグレードできます。アップグレードすることで、Spanner の使用を継続し、無制限のスケーリングやマルチリージョン デプロイなど、その全機能を活用することができます。この新しい無料トライアルの詳細については、こちらのブログやこちらの短い動画をご覧ください。Google Cloud コンソールで、無料トライアルを今すぐ始めましょう。

また、このたび Spanner 向けのきめ細かなアクセス制御のプレビュー版を発表します。この機能により、Spanner のデータへのアクセスをテーブルと列のレベルで承認することが可能になります。Spanner はすでに、Identity and Access Management(IAM)によるアクセス制御を提供しています。これにより、すべての Google Cloud サービスにシンプルで一貫したアクセス制御インターフェースが実現されています。きめ細かなアクセス制御により、Spanner でトランザクション データを保護し、データへのアクセスを許可する際に適切なセキュリティ制御を行うことが、これまで以上に容易になりました。きめ細かなアクセス制御の詳細については、こちらのブログをご覧ください。

統合されたデータクラウドで、データから飛躍的な価値を生み出す

Google のデータ管理の共通インフラストラクチャには、たくさんのメリットがあります。Googleには、高耐久性分散型ファイル システム、各レイヤ上に分散されたコンピューティングとストレージ、そして 自社所有する高性能なグローバル ネットワークが用意されています。これらを活用することで、優れた可用性とスケールを持ち、コスト パフォーマンスと運用効率に優れ、密接に統合された最高水準の運用および分析データサービスを提供しています。

こうした取り組みの中で、本日、Datastream for BigQuery のプレビュー版を発表いたします。BigQuery チームとの緊密な連携により開発された Datastream for BigQuery は、シームレスかつ使いやすい独自のエクスペリエンスを提供します。ユーザーは、BigQuery でリアルタイムの分析情報を簡単な手順で活用できます。

Datastream は、BigQuery の新しく開発された変更データ キャプチャ(CDC)機能と Storage Write API の UPSERT 機能を使用して、ソースシステムから BigQuery テーブルにリアルタイムで効率的に更新をレプリケートします。複雑なデータ パイプライン、自己管理型ステージング テーブル、DML 結合ロジックを作成して管理したり、データベース固有のデータ型を BigQuery データ型に手動で変換したりする作業に、貴重なリソースを浪費する必要はもうありません。BigQuery でソース データベース、接続タイプ、宛先を構成するだけで、すべて完了です。

香港をベースにした旅行会社である Klook は、Datastream for BigQuery を活用してビジネス上のより良い意思決定を行っている業界最大級の企業です。「Datastream を導入する前は、BigQuery にデータを取り込む作業を専門に行うデータ エンジニア チームを設け、データが正確であることを確認するために多くの時間と労力を費やしていました」と、Klook のデータ担当シニア マネージャーである Stacy Zhu 氏は話します。「Datastream を使用すると、データ アナリストは 1 回のクリックで正確なデータをすぐに使用できます。この使いやすさに加えて、パフォーマンスも優れているため、大規模な ELT データ処理も可能です。」

受賞歴を持つ従業員エンゲージメント ソフトウェアおよびプラットフォームを提供する Achievers も、最近 Datastream を導入しました。「Achievers は、Google Cloud の VM(GCE)と Google Kubernetes Engine(GKE)を多用していました」と、Achievers のリード データ アーキテクトである Daljeet Saini 氏は述べています。「Datastream を使用してデータを BigQuery にストリーミングすると、アナリストやデータ サイエンティストが BigQuery をスマート アナリティクスに活用できるようになるため、データ ウェアハウスを次のレベルに引き上げることができます。」

データベースの変更を BigQuery やその他の宛先に簡単にストリーミングできるように、Datastream はソースとしての PostgreSQL データベースのサポート(プレビュー版)も追加しています。Datastream のソースには、MySQL、PostgreSQL、AlloyDB for PostgreSQL、Oracle のデータベースを使用できます。これらはオンプレミス、Cloud SQL や Bare Metal Solution for Oracle などの Google Cloud サービス、または任意のクラウド上でホストすることができます。

Datastream の主なユースケースとして、リアルタイム分析、継続的な変更データ キャプチャによるデータベースの複製、イベント ドリブンなアプリケーション アーキテクチャの実現などが挙げられます。たとえばコールセンターの場合、リアルタイム分析情報を利用すれば、週末や月末にまとめて通話待ち時間を集計するのではなく、継続的に計測することで、より良いサービスを提供できます。また、小売業者や物流企業は、定期レポートではなくリアルタイムのデータに基づいて在庫管理を行うことで、はるかに無駄を省くことができます。

クラウドへのモダナイゼーション プロセスを加速

近年、アプリケーションのポータビリティや拡張性を確保し、ロックインを回避するために、アプリケーション デベロッパーや IT の意思決定者がオープンソース データベースを採用するケースが増加しています。彼らはもはや、レガシー データベース ベンダーの不透明なコストや高価で制限の多いライセンスを許容する気はないのです。

特に、PostgreSQL はクラウドベースのエンタープライズ アプリケーションにおける新たなスタンダードになりつつあります。チームの学習時間を短縮し、前世代のデータベースからのロックインを避けるために、多くの組織が PostgreSQL を標準として選択しています。Google のデータクラウドでは、PostgreSQL 互換のデータベースである AlloyDB for PostgreSQL を含むいくつかの PostgreSQL データベース オプションを提供しています。これは、商用グレードのワークロードの移行、モダナイゼーション、構築のための優れたオプションとなります。

デベロッパーやデータ エンジニアによるアプリケーションとデータベースのモダナイゼーションおよびクラウド移行を支援するために、このたび、Google の Database Migration Service(DMS)は、PostgreSQL の AlloyDB への移行サポートを開始しました(プレビュー版)。DMS を使えば、数クリックで設定できるサーバーレス移行により、PostgreSQL から AlloyDB への移行をより簡単に、より高速に行うことができます。DMS は、Oracle から PostgreSQL へのデータおよびスキーマの移行サポート(プレビュー版)とともに、以前のデータベースをモダナイズし、最新のオープン テクノロジー プラットフォームを採用するための方法を提供します。DMS を使った PostgreSQL から AlloyDB への移行についての詳細は、こちらのブログをご覧ください。

PostgreSQL を採用している企業の一社に SenseData があります。SenseData は、企業と顧客の関係を改善するために作られたプラットフォームで、ラテンアメリカのカスタマー サクセス分野でのマーケット リーダーです。

「SenseData は、PostgreSQL 上にカスタマー サクセス プラットフォームを構築しました。そして、成長の次の段階に向けて、プラットフォームのパフォーマンス引き上げとスケーリングを予定しています」と、SenseData の共同創業者で最高技術責任者の Paulo Souza 氏は述べています。「当社には、混在したデータベース ワークロードがあり、高速なトランザクション パフォーマンスとパワフルな分析処理機能の両方が必要とされます。また、PostgreSQL 向けの AlloyDB の初期テストでは、アプリケーションを変更することなく、最初のワークロードで 350% 以上のパフォーマンスの向上という印象的な結果が得られました。数テラバイトのデータを AlloyDB に移行するために Database Migration Service を使用することを心待ちにしています。」

CURA Grupo は、医療診断を行うブラジル最大級の複合企業です。1,600 人以上の従業員、500 人以上の有資格医を擁し、毎年 600 万回の検査を行っています。毎日行われる 3 万件以上の検査のデータベースをオンプレミスで保存することは、不可能になりつつありました。そこで CURA Grupo は、オンプレミス サーバーのデータベースとクラウドの間の同期を行うとともに、Google Cloud への移行に Database Migration Service を利用することにしました。その結果、わずか 20 分程度のダウンタイムだけで、簡単に移行を完了できました。

こうしたエキサイティングなイノベーションについての詳細を、10 月 12 日から 14 日(日本時間)まで開催される Next '22 でぜひご確認ください。PLAID、Major League Baseball、DaVita、CERC、Credit Karma、Box、Forbes など、Google Cloud データベースを活用してイノベーションを加速させているお客様の声もお届けする予定です。

-データベース エンジニアリング担当バイス プレジデント Sailesh Krishnamurthy
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