Procure-to-Pay 用の Data Fusion SAP アクセラレータ
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2022 年 1 月 21 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
Google は先日、SAP Business Suite、SAP ERP、S4/HANA からデータをシームレスに移動するために、Google Cloud ネイティブのデータ統合プラットフォームである Cloud Data Fusion と SAP の統合を発表しました。その後、SAP Order to Cash 用のアクセラレータをリリースしました。このアクセラレータによって BigQuery への SAP Order to Cash のデータの統合作業が簡素化され、Looker を利用した貴重な知見の獲得が可能になります。
Cloud Data Fusion のようなスケーラブルで信頼性のある統合プラットフォームでも、ミッション クリティカルな企業データをウェアハウスに組み込むパイプラインを作るには長期間かかることがあります。そのため、このアクセラレータには次のような機能があります。
SAP コネクタ
ステージング スキーマを BigQuery へ読み込むための、Data Fusion ハブ内のステージングおよび変換パイプライン
ステージング データセット、ディメンション データセットおよびファクト データセット用の Google BigQuery 内のターゲット スキーマ
セマンティック モデルとオペレーション ダッシュボードが入った定義済みの Looker ブロック
これらの機能が搭載されたことにより、データのパイプラインの開発、主要な指標の定義、可視化にかける時間を短縮し、その代わりに情報を分析して、情報に基づくビジネス上の意思決定を下すことにより多くの時間を割くことが可能になります。
このたび、Google は Procure-to-Pay プロセス用のアクセラレータをリリースいたします。プロセスの詳細とアクセラレータの機能を以下にご紹介します。
Procure-to-Pay とは
Procure-to-Pay は、リクエストの処理やデータ収集、受注処理、アイテム受領、買掛金の管理、報告などの重要なビジネス プロセスです。典型的な Procure-to-Pay プロセスには、ベンダー、直接材と間接材、購入リクエスト、受注、アイテム受領、請求の作成と管理などが関わってきます。ほとんどの企業はこれらのビジネス プロセスに依存し、受注やサプライヤ、原価などに関する重要業績評価指標(KPI)で業績を測っています。そのため、主要なステークホルダーが調達の健全性を効果的に評価し、新しい調達先を開拓し、仕入れ戦略を策定するためには、仕入れ原価、費用の回避、契約に関連する費用と関連しない費用の比較、サプライヤのスコアカード、コスト削減、全体的な調達の ROI といった指標に関する分析情報が不可欠となります。
Procure to Pay のための SAP アクセラレータ
Google では、Google Cloud SAP Accelerator の一つとして、Procure-to-Pay 用の SAP アクセラレータを発表いたします。このアクセラレータは、お客様が Procure-to-Pay シナリオを短時間で開始できるようにするための設計図であり定義済みコンテンツです。お客様に固有のニーズに沿ってカスタマイズすることが可能です。
このアクセラレータには次のようなコンポーネントが入っています。
Google Cloud Data Fusion を使用したデータの統合と変換
SAP コネクタ: すべてのテーブルへの初回のデータ読み込みと限定されたテーブルへの増分データ読み込みに使用可能な SAP Table Reader コネクタ
ステージング パイプライン: このタイプのパイプラインは、SAP から取得した元データを、省略形の列名から有為の英語の列名へのマッピングとともに取り込みます。
変換パイプライン: このタイプのパイプラインは、購入者に固有のシナリオに合わせて簡単にカスタマイズ可能な SQL ステートメントが埋め込まれた BQ 実行パイプラインを簡略化したものです。
Procure to Pay に役立つ Cloud Data Fusion の重要なパイプラインと主なビジネス エンティティ
Google BigQuery 内のターゲット スキーマ
ステージング データセット: ステージング データセットは、ステージング パイプラインを通じて SAP から抽出されたデータが配置される場所です。
ディメンション データセット: ステージング データセットの配置後に、報告に使用される主要なフィールドが、変換パイプラインを使用して変換および取得されます。Procure-to-Pay アクセラレータでは、supplier_dimension と material_dimension という 2 つのテーブルが作成されます。これらのテーブルには各サプライヤと素材に関する情報が入ります。
ファクト データセット: ディメンション データセットのほかに、ファクト データセットも作成されます。このデータセットには、対象の KPI を計算するためのビジネス インテリジェンス ツールに後から集約可能なテーブルが入ります。Procure-to-Pay アクセラレータには、purchase_order_fact、goods_receipt_fact、invoice_fact、accounting_fact という 4 つのテーブルがあります。これらのテーブルには、受注やアイテム受領、請求書、会計記録に関する指標が入ります
Looker Block
ビルド済みのセマンティック モデル: Looker のブロックは Looker アプリ内のマーケットプレイスを通じてインストール可能で、事前にパッケージ化された LookML モデルが付属しています。ここでは、直接使用可能な KPI と、組織のニーズに基づいてより詳しくカスタマイズ可能な KPI が定義されています。
オペレーション ダッシュボード: LookML モデルのほかに、このブロックにはユーザーがすぐに SAP データの分析を開始できる 4 つのダッシュボードが付属しています。一方のダッシュボードには Procure-to-Pay の傾向が大まかに示されます。もう一方のダッシュボードでは、アナリストが受注やアイテム受領、サプライヤを集中的に掘り下げて見ることができます。
Procure to Pay のための SAP アクセラレータの使用を始める
Cloud Data Fusion のパイプラインを構成および実行する方法については、SAP Table Reader ガイドとブログをご覧ください。 SAP Procure to Pay アクセラレータの詳細な情報は、こちらでご確認いただけます。
Looker のブロックは、Looker Marketplace でプレビュー版がリリースされる予定です。ブロックを動かす LookML は、こちらの GitHub リポジトリで公開されています。Looker Marketplace へのアクセス方法とブロックのインストール方法については、こちらをご覧ください。Looker インスタンスへのアクセス権をお持ちでない方がブロックをお試しになりたい場合は、こちらから無料トライアルにご登録いただけます。
- プロダクト管理データ統合担当 Chaitanya(Chai)Pydimukkala