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アプリケーション モダナイゼーション

データ ファーストのデジタル化でメインフレーム データを解放する

2022年3月3日
Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2022 年 2 月 15 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

多くの企業にとって、長年使用されてきたメインフレームには、企業の顧客、プロセス、運用に関する数十年分のデータが蓄積されています。そのため、ビジネスでメインフレームのデータにアクセスして、レポートの作成やビッグデータ分析ツールでの分析を行ったり、機械学習や人工知能の新たな取り組みの基礎として使用したりしたいと考えるのは当然のことです。

Google Cloud は、クラウドの時代に向けて企業のメインフレーム資産の変革を支援するために、企業と連携していきたいと考えています。メインフレーム アプリケーションをクラウドに移行して、モダナイズするためのサポートを提供するのは言うまでもありませんが、これに加え、パートナー様やお客様の協力を得て、より軽量な別のアプローチを開発しました。これにより、本格的な移行を行うよりもはるかに短い時間で、メインフレーム資産をクラウドで活用し始めることができます。私たちはこのアプローチを、データ ファーストのデジタル化と呼んでいます。   

急速な進化を遂げるデジタル エコシステムでは、「モダナイゼーション」と「デジタル化」の違いを理解することが肝要です。モダナイゼーションでは、現在の状態を起点として将来を見据え、再ホスト(エミュレーション)、リファクタリング(自動コード変換)、再エンジニアリングなどのメインフレーム アプリケーションの移行アプローチを採用したり、カスタム アプリケーションを商用のソリューション パッケージで置き換えたりします。デジタル化では、実現したい将来の状態を起点として、そこに到達するために必要なことを逆算します。

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このデータ ファーストのデジタル化アプローチには、メインフレーム データ ファースト統合フレームワークが含まれており、メインフレームから Google Cloud Storage へ異種のデータソースを移行するための自社製品、パートナー様のプロダクト、ツールで構成されています。メインフレームのデータが Cloud Storage にコピーされると、BigQueryAI と機械学習プロダクトスマートおよびストリーム分析プラットフォームなどの Google Cloud ツールで統合したり、活用したりできるようになります。この統合フレームワークは、バッチでの一括データ転送とリアルタイムのデータ レプリケーション(変更データ キャプチャ)の両方に対応しています。

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データ ファーストのデジタル化は、「アプリケーションは一時的なものであり、データは永続的なものである」という原則に基づいています。従来のアプリケーションのモダナイゼーションの方法(例: Gartner の モダナイゼーションの 7 つのオプション)ではなく、Google Cloud にデータ ファーストを取り入れることで、組織は新しいビジネスモデル、ユースケース、エンド カスタマーへの革新的なサービス提供を飛躍的に進歩させることができます。次に例を示します。

  • スマートおよびストリーム分析プラットフォーム、AI / ML エンジンを使用した意思決定。これらのツールには、意思決定を行うためのデータが必要です。Google は、構造化 / 非構造化された元のデータから情報と価値を抽出するパイオニアであり、このアプローチにより、メインフレームのデータを BigQuery や AI / ML モデルで使用できるようになります。

  • 新しいレポート作成アプリケーションの構築。メインフレームのデータにアクセスし、LookerAppSheet などの Google Cloud プロダクトを使用して新しいレポート作成アプリケーションを構築できるため、メインフレームのレポート作成アプリケーションを廃止するプロセスを促進し、変革全体を加速することができます。

これまでの経験上、メインフレームに対するデータ ファーストのデジタル化のアプローチには、以下のような多くのメリットがあります。

  1. ビジネスへの迅速な対応: データ ファーストのモダナイゼーションは既存のプロダクトを基盤として構築されるため、実装サイクルを大幅に短縮できます。

  2. 設備投資の削減: アプリケーションの開発ではなく、プロダクトの統合に時間を費やせます。

  3. リスクの最小化: 実績と信頼性に優れた既存の Google Cloud プロダクトとのデータ ファーストの統合を実現します。

  4. メインフレーム全体の移行を高速化: モダナイゼーションの中心をアプリケーションからデータに変えることで、メインフレーム アプリケーションを単に「稼働し続ける」ものとしてではなく、ビジネスの観点から見ることができます。その結果、最もビジネス クリティカルなアプリケーションのみをモダナイズし、補助的なアプリケーションを廃止できるため、移行の取り組みを加速させることができます。

デジタル化へのデータ ファーストのアプローチは、まだ比較的新しい取り組みになりますが、お客様が早い段階で成功を収めていることに感銘を受けています。今後も、データ ファーストに関する新たなインサイト、リファレンス アーキテクチャ、テクニカル ホワイト ペーパーなどを紹介していく予定です。今回取り上げたアプローチにご興味がありましたら、mainframe@google.com までご連絡ください。


詳細:


- メインフレーム ソリューション スペシャリスト Aman Gupta
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