コンテンツに移動
通信

マルチモーダル生成 AI モデルによる通信企業のフィールド業務の自動化とカスタマー エクスペリエンスの向上

2024年1月30日
Google Cloud Japan Team

Gemini 1.5 モデル をお試しください。

Vertex AI からアクセスできる、Google のもっとも先進的なマルチモーダル モデルです。

試す

※この投稿は米国時間 2024 年 1 月 25 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

通信事業者にとって、最も複雑な作業の一つとなりえるのがフィールド業務です。通信事業者のフィールド サービス技術者が顧客の問題処理にあたる際は、プロセスの効率の悪さ、情報の不正確さ、適切な機器の不足、根本的な問題に対する不慣れなどが理由で遅れが生じることが多く、そうした場合は上級専門技術者の助けを求めなければならなくなります。その結果、新規顧客にサービスを提供することや、既存の顧客をサポートすることよりも、収益を創出しない活動に時間とリソースを費やすことになり、すでに完璧とは言えないカスタマー エクスペリエンスに追い打ちをかけることになる可能性があります。

フィールド技術者向けのソリューションの展望

Google Cloud は、技術者が業務遂行中に直面する制約を把握する取り組みを進めるなかで、技術者の効率を向上させることができると思われる方法を見つけてきました。

たとえば、デバイスをトラブルシューティングする場合、技術者にとってはデバイスとその周辺機器の写真をアップロードする方が、状態を書いて説明するよりも簡単なことが多いです。また、車から離れて作業する際はキーボードの使用が難しいことがあるため、情報の検索や更新に音声、動画、画像を使用できた方がやりやすいかもしれません。こうした例のような状況がよく生じるのは、問題の根本原因を特定しようとするときです。画像の情報と、フィールド技術者向けのマニュアルやデバイス ベンダーのドキュメントに記載されている複雑なトラブルシューティング手順を結び付ける必要が頻繁に生じます。

それに加えて、問題を手動で修正した手順の詳細すべてを記録する時間が常にあるとは限りません。生成 AI は、技術者の作業内容をテキスト化した下書きを自動生成し、顧客のインシデントと解決策をキャプチャして後で参照できるようにします。

技術者が担当中の業務をサポートする bot も、エラーと、上級専門技術者からのサポートを待つ時間を大幅に削減します。

Google Cloud のマルチモーダル Gemini モデル ファミリーは、フィールド業務を改善する大きな可能性を提供します。これによって通信サービス プロバイダ(CSP)は顧客満足度の向上を実現できる可能性があります。Gemini はテキスト、画像、動画、コードを理解し、推論できます。Gemini にはマルチモーダル推論機能と、情報の読み取り、フィルタリング、理解を通してドキュメントからインサイトを抽出する機能があります。Gemini をマルチモーダル AI アシスタントに組み込むことで、フィールド技術者が直面する課題に対処しやすくなり、技術者の効率と作業品質、顧客満足度を向上させる一方で、作業の重複やミスがあった場合に生じる費用を削減できるようになります。

次の図は、マルチモーダル AI アシスタントが技術者、コーディネーターやオペレーター、顧客にもたらす可能性がある部門横断的なメリットを示しています。

https://storage.googleapis.com/gweb-cloudblog-publish/images/2._Blog_diagram.max-1200x1200.jpg

マルチモーダルかつセマンティックな大規模言語モデル インテリジェンス

では、こうした種類のマルチモーダル機能を持つアシスタントをフィールド技術者に提供するにはどうすればよいでしょうか。Google Cloud は、Vision AINatural Language AI などさまざまなモダリティにわたって機能する AI ツールを提供しています。このたび加わった Gemini は、さまざまな用途のマルチモーダル検索アプリケーションの迅速な開発を可能にします。用途としては、言葉による入力と視覚的な入力を使用する複雑な複数ステップの推論に基づいて修正が必要な障害を特定すること、画像に基づいて特定のデバイスモデルのトラブルシューティング情報を取得すること、詳細な手順や事後分析のドキュメントを生成することなどがあります。

Google Cloud の Vertex AI Search and Conversation は、Gemini のマルチモーダル機能を活用できるだけでなく、他のシステム(在庫管理システムや顧客管理システムなど)からの情報を取得したり更新したりできます。技術者はこのような優れた機能を持つアプリを使用することで、手作業を減らして作業の整合性と品質を向上できます。

たとえば、Gemini に対応した Vertex AI Conversation を以下のような目的で使用できます。

  • 適切な手順の特定: 技術者がその場で行う必要があるタスク(新しい家庭用インターネット接続の提供やパフォーマンス低下のトラブルシューティングなど)に基づいて適切な手順を特定し、双方向のマルチモーダル インタラクションを介して手順を追って技術者を動的に指導する。
  • 自動生成: 完了した作業について、実施したさまざまな手順で行った音声入力、テキスト入力、視覚的な入力から、包括的で正確な事後分析のドキュメントを自動生成する。
  • 取得、要約、生成: 技術者がアップロードした画像と音声リクエストに基づいて、音声や動画による手順説明を取得、要約、生成する。

作業や操作の方法を変革すると同時に顧客満足度を向上

マルチモーダル分析を複雑なタスクのオーケストレーションと組み合わせると、情報との関わり方を変革する可能性を秘めた強力な新しいテクノロジーとなります。Gemini の力を充実したビジュアル データと組み合わせることによって、マルチモーダル検索を使用して情報をすばやく簡単に見つけられるようになり、周りの世界を新しく魅力的な方法で認識できるようになります。

通信事業者のコミュニティは、マルチモーダル分析によりフィールド技術者の効率と士気を高め、顧客満足度を向上させる大きな機会を得ることができます。同時に、CSP は「最初から適切」であることを示す指標を改善し、平均修復時間を短縮して、問題修正に要するトラックロール数を減らすことで費用削減を実現できます。

Gemini を使用して優れたソリューションの作成を今すぐ始めましょう。Google Cloud の統合 AI スタックを使用して、高機能の生成 AI アプリケーションの開発、デプロイ、スケーリングを迅速に行う方法をご確認ください。スタックには、スケーリングが非常に容易な AI インフラストラクチャ、130 以上の厳選された世界水準のモデル、充実した開発ツールセットなどが含まれています。Vertex AI で Gemini を使用すると、企業がセキュリティ、安全性、プライバシー、データ ガバナンス、コンプライアンスを確保するための Google Cloud 機能を利用できます。無料で利用できるウェブベースのデベロッパー ツールの Google AI Studio を使えば、Gemini の機能を試して(Google Cloud アカウントを持っていなくても可能です)、準備が整ったときに作業を Vertex AI に移行できます。Gemini の複雑な推論機能で実現できることをご紹介したこちらのをぜひご参照ください。デベロッパーの方は、こちらのリポジトリから業界に特化したソリューションをご活用いただけます。

Google Cloud が AI で CSP の変革をサポートしている方法について詳しくは、こちらをご覧ください。また、通信業界のカスタマー エクスペリエンス競争に勝つ AI 活用法に関する最新のレポートもダウンロードして、ぜひご参照ください。

-通信事業者向けソリューション担当責任者 Matt Anderson

-通信事業者向け分析および AI 担当責任者 Krishnamurthy Srinivasan

投稿先