Ericsson の認知ネットワーク ソリューションに Google Cloud を活用
Mamadou Camara
Industry Solutions Architect, Google Cloud
Billion Lo
Portfolio Director, Ericsson
※この投稿は米国時間 2024 年 6 月 18 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
ネットワークの計画と最適化では、ネットワークのアーキテクチャや世代にかかわらず、無線アクセス ネットワーク(RAN)それぞれに固有の課題があります。Ericsson のネットワークの計画と最適化ソリューションである Cognitive Software は、革新的な AI ベースのアプローチを利用して、ネットワーク パフォーマンスを最適化します。このソリューションは、動的なユースケースと製品化までの時間短縮に迅速に対応するために Google Cloud を活用しています。
1 つのネットワーク内に評価対象のセルは無数にあるため、ネットワークの問題を特定して解決することは大変な作業ですが、AI を活用した以前の強固なネットワーク最適化に Cognitive Software を使用することで、ネットワークの異常を検出して解決するためのインテリジェントなソリューションを実現できます。
テクノロジーを探求するなかで、Google Cloud と Ericsson Cognitive Software は、Vertex AI や BigQuery といった高度なハイパースケール クラウド サービスのインテグレーションに共同で取り組んでいます。こういった共同の取り組みが、Google Cloud の Vertex AI を活用した Cell Anomaly Detector のユースケースにつながり、その最初のデモが、バルセロナで開催された Mobile World Congress 2024 で行われました。
このデモは、Google Cloud の Vertex AI にデプロイした Ericsson の Cognitive Software AI モデルを使用して、モバイル ネットワーク内の異常を検出する機能を紹介するものです。この機能は、クラウド コンピューティングと通信テクノロジーが交差する領域でのすばらしい進歩を表しています。
Google Cloud と Ericsson の取り組みにおいて AI テクノロジーを利用することで、ネットワークの計画、最適化、運用の強化を進めるとともに、通信事業者に、動的でスケーラブルであり、製品化までの時間を大幅に短縮するソリューションを提供することが可能になります。
Cell Anomaly Detector: ネットワーク パフォーマンスの管理における革新的なソリューション
Ericsson の Cognitive Software が提供する Cell Anomaly Detector は、無線アクセス ネットワーク(RAN)内のセルに関する問題をプロアクティブに特定、分類、対処するために開発されました。
このユースケースは通信分野におけるパイオニアであり、200 を超える KPI に対して多次元分析を行い、隠れたパターンを明らかにして、異常を迅速かつ正確に特定します。このツールは、98% という高度な精度で異常なセルをいくつかの問題クラスに分類します。これは、人間のスキルより間違いなく高いレベルです。
結果はウェブ ユーザー インターフェースに表示され、問題の詳細な分析情報とともに、通信サービス プロバイダですでに使用されている他のアプリケーションと接続するための API が提供されます。このアプローチにより、世界中の 60 を超えるネットワーク事業者で、ネットワーク KPI の大きな改善、顧客からの苦情の削減、運用支出(OPEX)の最小化が実現されています。
Ericsson の Cognitive Software の機能拡大におけるハイパースケール クラウド プロバイダの価値
昨今の急速に進化するテクノロジー環境において、ドメインの専門知識は成功への重要な基盤です。Ericsson は、RAM ドメインに関する業界トップクラスの専門知識を活用した Coginitive Software を、次世代ネットワークの可能性を最大限に引き出すよう設計された高度な AI テクノロジーと統合し、パッケージ化して提供しています。また、Google Cloud と連携し、通信サービス プロバイダ(CSP)が総所有コスト(TCO)を最適化できるように、サーバーレス サービスのメリットの探求にも取り組んでいます。
ハイパースケール クラウド プロバイダ(HCP)のフレームワークが果たすべき役割はここにあります。Google Cloud といったプロバイダが提供するサービスを活用することで、Ericsson はこれらの費用の多くに対処し、顧客への価値を最大化し、イノベーションを加速させることができます。
Ericsson の Cognitive Software の増強における MLOps の役割
ML オペレーション(MLOps)は、ML システムを迅速かつ確実に構築、デプロイ、運用化するための標準化された一連のプロセスと技術的機能を提供します。このアプローチは、基本的には ML とデータ サイエンスへの DevOps の拡張です。
MLOps を使用することによって、ソリューションの効率性、スケーラビリティ、信頼性を高めることができます。また、ML プロセスの一部を自動化することで、強化と費用削減も実現できます。Cell Anomaly Detector の場合、RAN パフォーマンス管理データからの入力が取り込まれ、Google Cloud の BigQuery に保存されている KPI に集約されます。次に、このデータは VertexAI MLOps プラットフォームによって処理され、インターフェースが Cloud Storage に送信されます。
BigQuery や Vertex AI といった Google Cloud プロダクトのサーバーレス Software as a Service(SaaS)機能を活用すると、同じソリューションの Infrastructure as a Service(IaaS)バージョンよりも的確に TCO を最適化できます。これは、SaaS モデルではサービスの利用に従量課金制モデルを使用できるからです。
Cell Anomaly Detector のデモ実装
まとめ
Google Cloud との技術的探究で、Ericsson の Cognitive Software とともに HCP や MLOps を実装する場合の可能性が明らかになってきました。Vertex AI フレームワークによって可能になる ML モデルのライフサイクル管理の完全自動化により、堅牢でスケーラブルかつ柔軟性のあるオペレーションが確保され、ML モデルのメンテナンスの効率化、精度の偏差の検出、製品化までの時間の短縮が実現されるうえ、最も重要なこととして、HCP の従量課金制使用量モデルによって TCO が削減されます。
-Google Cloud、業界別ソリューション アーキテクト Mamadou Camara
-Ericsson、ポートフォリオ担当ディレクター Billion Lo 氏