Google の高性能 AI モデル Gemini が Vertex AI 上で利用可能に
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2023 年 12 月 14 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
Google は 2023 年 12 月 7 日、これまでで最も高性能かつフレキシブルな AI モデル Gemini を発表しました。Gemini は、Ultra、Pro、そして Nano という 3 つのサイズで提供を予定しています。本日、直感的なツール、フル マネージド インフラストラクチャ、およびプライバシーと安全機能を搭載しているエンド ツー エンドの AI プラットフォームである Vertex AI 上で Gemini Pro を発表しました。Gemini Pro を活用することで、開発者は情報を処理して行動する「エージェント」を構築できます。
Vertex AI の Gemini Pro でプロダクショングレードの AI エージェントを大規模に作成
Vertex AI 上で Gemini のカスタマイズとデプロイが可能になり、本日時点で開発者は 、テキスト、コード、画像、動画などの情報を処理できる、差別化された新しいアプリケーションを構築することができます。Vertex AI により、以下のようなことが可能になります。
- Gemini Pro、もしくは 130 以上のオープンソースおよびサードパーティの モデルの中から、Google の厳格な企業向け安全性および品質基準を満たしたモデルを利用できます。開発者は利用しやすい API を介してモデルにアクセスし、アプリケーションを素早く組み込むことができます。
- 特定のドメインや企業の専門知識を使用し、チューニング ツールで学習知識を補強、必要に応じてモデルのウェイトを調整し、モデルの動作をカスタマイズすることができます。Vertex AI は、プロンプト設計、Low-Rank Adaptation(LoRA)などのアダプター ベースのチューニング、蒸留(Distillation)など、様々なチューニング技術を提供しています。また、人からのフィードバックを用いた強化学習(RLHF)にも対応しており、ユーザーのフィードバックを取り込んでモデルを改善する機能も提供しています。
- 特定のコンテキストやユースケースに Gemini Pro を適応させるためのツールで、モデルを拡張することが可能です。開発者は Vertex AI Extensions とコネクタを使用し、トランザクションやその他のアクションを実行するため Gemini Pro を外部 API にリンクさせたり、外部ソースからデータを取得したり、コードベース内の関数を呼び出すことができます。また Vertex AI は、基盤モデルの出力を独自のデータソースでグラウンディングでき、モデルの回答の精度と関連性向上を支援します。Vertex AI は、構造化データおよび非構造化データに対するグラウンディングと、Google の検索技術によるグラウンディング機能を提供しています。
- アプリケーションの構築後、デプロイとメンテナンスを容易に行えるよう、Automatic Side by Side(AutoSxS)と呼ばれるモデルを評価する新たな方法で生産中のモデルを管理およびスケーリングできます。AutoSxS は、手動でモデル評価を行うより、高速でコスト効率に優れており、さまざまなタスクに合わせてカスタマイズできるため、新たな生成 AI のユースケースにも対応できます。
- ローコード / ノーコード環境で、検索エージェントと会話エージェントを構築できます。機械学習のスキルレベルを問わず開発者は、Vertex AI で Gemini Pro を使用することで、魅力的でプロダクショングレードの AI エージェントを数時間から数日程度で作成できます。近日、Gemini Pro で Vertex AI の検索要約と回答生成機能が強化できるようになる予定で、検索アプリケーションの品質、精度、およびグラウンディングを向上します。また、会話型音声やチャット エージェントの基盤モデルとして Gemini Pro のプレビュー版も今後公開予定で、高度な推論をサポートするユーザーとのダイナミックなインタラクションを実現します。
- Vertex AI の安全フィルタ、コンテンツ モデレーション API、その他の責任ある AI ツールにより、責任あるイノベーションを提供します。開発者は、モデルが不適切なコンテンツを出力しないように管理することができます。
- Google Cloud に組み込まれたデータ ガバナンスとプライバシー管理により、データの保護を支援します。お客様はご自身のデータを引き続き管理でき、Google がモデルの学習にお客様のデータを使用することはありません。Vertex AI は、顧客管理の暗号鍵(CMEK)や VPC Service Controls など、お客様がデータを完全に管理できる様々な仕組みを提供しています。
生成されたモデル出力に対する補償
Google の AI に対する包括的なアプローチは、お客様の安全と保護を支援するよう設計されています。Google Cloud はお客様に安心して生成 AI 製品をご利用いただけるよう、業界初の 2 本柱の著作権補償アプローチを採用しています。本日より生成された出力に関する補償を拡張し、学習データの使用に関連する申し立てに加え、PaLM 2 と Vertex AI Imagen からのモデル出力も補償の対象となります。補償の対象拡大は、Gemini API の一般提供開始時を予定しています。
Gemini の時代へようこそ
Gemini Pro API は、Vertex AI 上でプレビュー版を公開しています。開発者は、一般提供されるまでの間、 Gemini Pro API を無償でお試しいただけます(一般提供開始後は有償となります)。また、プロンプトを素早く作成するのに役立つ無料ウェブベース ツールである Google AI Studio でも Gemini Pro をご利用いただけます。さらに 2024 年前半には、Gemini Ultra を一部のお客様、開発者、パートナー、および安全性と責任について検証できる専門家の皆様に提供し、初期テストを実施してフィードバックを得た上で、開発者と企業向けに公開予定です。
-Cloud AI, VP & GM, Burak Gokturk