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通信

EVO2CLOUD - Vodafone の SAP のオンプレミスから Google Cloud への移行

2022年11月11日
Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2022 年 10 月 18 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

編集者注: Vodafone は、財務、調達、人事の各種サービスの中枢である SAP システムを Google Cloud に移行しています。Vodafone の SAP システムはこれまでの 15 年間オンプレミスで稼働してきましたが、この期間に規模が著しく増大したため、今回の移行は EMEA で最も大きく複雑な案件の一つとなっています。Vodafone は、クラウドでホストしていた SAP システムを Google Cloud 上で実行するデータ オーシャンに統合することで、業務の効率化とイノベーションの促進を図ることを目指しています。


Vodafone: 通信事業者からテクノロジー企業へ

欧州およびアフリカ地域の大手通信事業者である Vodafone は、単なる通信事業者から、5G サービス、IoT、TV、ホスティング プラットフォームといった接続とデジタルのサービスを提供するテクノロジー企業へのデジタル トランスフォーメーションを加速しています。Vodafone は Google Cloud と連携して、Google Cloud 上に業界でも最大級のデータ オーシャンを構築し、データ インサイトから価値を創出して AI / ML モデルをデプロイするに至るまで、この変革のさまざまな要素の実現を目指しています。

Vodafone の中心的なイニシアチブである「EVO2CLOUD」は、同社の SAP ワークロードを Google Cloud に移行する戦略的なプログラムです。Vodafone はこれまで、財務、調達、人事の各種サービスの中枢として SAP を社内外の業務で使用してきました。高い可用性と信頼性は、ダウンタイムを最小限に抑え、業務を円滑に進めるための基本的な要件です。さらに、Google Cloud 上での SAP のホスティングは、デジタル イノベーションとサイバーセキュリティの維持に欠かせない基盤となります。

EVO2CLOUD: Google Cloud 上で SAP を実現する

EVO2CLOUD が完了すると、SAP から Google Cloud に移行した最大規模の一例になります。EVO2CLOUD は今後 2~3 年のうちに、これまでの 15 年間オンプレミスで実行されてきた 100 件以上のアプリケーションで構成される大規模な SAP エコシステムを、より洗練され、アジャイルで、スケーラブルな、データ主導のクラウド ファースト デプロイへ変革していきます。Vodafone は EVO2CLOUD によって、クラウドとデータのエコシステムに SAP を統合することで、業務の効率化と NPS スコアの改善、ビジネスの価値の最大化を図り、組織にデータ アナリティクス機能を導入し、将来のイノベーションを可能にすることを目指しています。そのために、EVO2CLOUD は標準化された SAP ソリューションを提供し、リアルタイムで信頼性の高いデータを活用してデータに基づく企業の意思決定を推進するデータ中心のモデルへの移行を促進します。

SAP の Google Cloud 上での運用モデル

Vodafone は、オンデマンドで高性能なメモリ最適化された M1 および M2 のインフラストラクチャを低コストで活用できる運用モデルへの大きな変革を想定しています。コードとしてのインフラストラクチャのおかげで、こうした運用モデルの改善が実現し、容量の増加、高可用性、柔軟性、およびセキュリティ ルールの一貫した適用が提供される見込みです。また、Vodafone はセキュリティ アーキテクチャを再構築し、最新のテクノロジーを活用して、プライバシー、データ保護、復元性のある脅威検出メカニズムを確保しています。さらに、リリース サイクルの頻度を年 2 回のロールアウトから週 1 回に増やし、アジリティを高め、機能がより迅速に導入されることを想定しています。

このように Vodafone は、設計、配信、運用などすべての業務でアジリティと柔軟性を構築しようと考えており、DevSecOps はその運用モデルにおいて不可欠な部分となる必要があります。

データを活用してイノベーションを促進する

Google Cloud への移行以前、Vodafone が SAP のデータを抽出して使用することは困難でした。クラウドに移行し、Google Cloud ツールを使用できるようになった今、同社はアナリティクスやプロセス マイニングにデータを活用する用途を拡張できます。これにより、たとえば、SAP の人事データを他の SAP 以外のデータと組み合わせて、データの充実と追加のビジネス価値をもたらすなど、データを他の外部ソースとマッピングするために運用やモニタリングを行う機会も生まれます。Vodafone ではこれからも引き続き Google Cloud を使って自社のデータを活用するさらに多くの機会を探していきます。

Google Cloud を選ぶ理由と次のステップ

Vodafone では、自社のシステムを Google Cloud 上に構築するだけでなく、このプロジェクトを次の 3 段階にわたる変革の第一歩と考えています。

  1. Vodafone のデータ オーシャンとの統合に備えて、SAP 環境を再設計し、Google Cloud に移行する。

  2. SAP を Google BigQuery 上の Vodafone のデータ オーシャンと統合する。

  3. クラウドベースのデータ分析ツールを活用して、データの使用、処理、Vodafone の事業運営方針を最適化する。

Google Cloud への移行は Vodafone のデータ中心の戦略に沿ったものであり、データ分析と人工知能に拡張機能を導入し、Vodafone の従業員や顧客に、これまでよりリアルタイムで効果的にサービスを提供することを目的としています。 

変革とチェンジ マネジメント

現在、Vodafone、Google Cloud、SAP、Accenture が 1 つのチームとして Google Cloud への移行作業を進め、変革を成し遂げるために連携しています。

「この革新的な戦略イニシアチブは、真の統合パートナーシップによって実現したものです。Vodafone、Google、SAP、Accenture の 4 社が複雑な SAP 資産をクラウドに変換する作業を限られた時間枠で日々連携して行うことで、クラウドのメリット実現とイノベーションを加速させています」と、Accenture の EVO2CLOUD プログラム リードである Antonio Leomanni 氏は述べています。

Vodafone は先日、このプロジェクトの重要なマイルストーンである試験運用を開始しました。この変革の基盤には、学習、イネーブルメント、財務ガバナンス、ライフサイクル管理、セキュリティ、アーキテクチャ レビュー、イノベーションを統合するチェンジ マネジメントがあります。Vodafone と Google Cloud はこれらの分野にフォーカスすることで、この変革を確実に成功させ、パートナーシップを強化しています。

まとめ

このたびの SAP 移行は、Vodafone のデータ戦略と足並みをそろえることで、業務の効率化とイノベーションに向けた大きな変革を実現し、SAP を Vodafone のデータ オーシャンに統合するものです。この移行を成功へと導く鍵は次のとおりです。

  1. 明確な移行の要件と目的 - インフラストラクチャの可用性、セキュリティ、復元力。

  2. 強力なチェンジ マネジメント

  3. 適切なテクノロジーとツールの適用


Google Cloud が通信業界をどのように進化させているかについて詳しくは、こちらをご覧ください。


- Google、CCE 通信業界担当テクニカル アカウント マネージャー Mona Abdalla

- Vodafone、IT 部門 SAP to Google Cloud プログラム&テクノロジー リード Christian Hegmanns 氏

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