小売業者の喫緊の課題であるサステナビリティに道すじを

Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2022 年 6 月 23 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
小売業界はスピードが速く、非常に競争の激しい業界です。小売業者は厳しい利益率、サプライ チェーンの問題、価格上昇、そして移り変わりの激しい消費者のニーズといった問題と日々格闘しています。それだけではありません。彼らはまた、サステナビリティへの意識を高め、そのための活動を対外的にアピールしていくことが緊急に必要だと痛感しています。
この投稿では、16 か国の 1,491 人の業界の経営幹部に対して先日行われた調査において、500 人以上の小売業界の経営幹部が回答したサステナビリティについての考えをご紹介します。
小売業界では、他の業界に比べてサステナビリティの優先度は高い方であるとされています。小売業者のリーダーたちは、さらに環境に配慮することが急務だと考えていますが、具体的な方向性は見いだせていません。小売業界におけるサステナビリティの実現において、テクノロジーを活用する動きはまだまだ弱く、テクノロジー プロバイダの支援の必要性が指摘されています。
小売業者にとって、サステナビリティの優先度は上がってきている
医療、金融サービス、サプライチェーンといった他の業界と比べて、小売業界は、一般消費者の目に触れる機会が多いといえます。私たちの多くは、日々小売業を利用し、食料、衣料、その他生活に必要な日用品などを、食料品店、大規模小売店、アパレル ブランド ショップなどで購入しています。
一般消費者の目に触れる機会が多いということは、衣料や商品の包装におけるサステナビリティから、資源を大量に消費するサプライチェーンまで、小売業界の環境フットプリントが厳しくチェックされているということを意味します。
調査に回答した小売業界のリーダーの実に 71% が、サステナビリティの優先度が高いと答えています。世界の全業界のリーダーの平均が 64% であることを考えると、これはトップクラスに高い数字です。しかし、おそらく何より興味深いのは、小売業者におけるサステナビリティの位置づけが他の優先事項よりも高いということです。つまり、この最も競争性が高く、利益率の低い業界が、収益増加、人材発掘、ビジネスモデルの進化などよりもサステナビリティの優先度が高いと判断しているのです。


小売業者のサステナビリティへの取り組みはまだ不十分
業界全体の経営幹部への調査において、小売業者は自身のサステナビリティへの取り組みについて最も厳しい評価を下しています。たとえば、リサイクル プログラムを実施していると答えたのは、世界の業界全体の平均が 42% であるのに対し、小売業界の経営幹部はわずか 36% でした。
また、小売業者がサステナビリティの実践の優先度を高くしているにもかかわらず、小売業界の経営幹部を対象とした調査では、より環境に優しい商品の開発やサステナビリティへの取り組みの影響測定、デジタル技術を利用した業務改革などの、ビジネス プラクティスをよりサステナブルにするためのテクノロジーを活用しきれていないことが示されています。


小売業者はテクノロジーを活用したサステナビリティへの取り組みに苦心していますが、93% の小売業界の経営幹部は、テクノロジーを利用することで、自身の組織がさらにサステナブルになれると確信しています。しかしながら、こうした経営幹部の半数以上(54%)が、実際はどこから手を付けたらいいのかわからない、と答えています(世界的な平均(65%)よりは低い数字です)。
では、どうしたらよいでしょうか。
テクノロジー企業は小売業者の現状や課題をきちんと理解する必要がある
データを見て、今日の環境のためにテクノロジーができることを考えたとき、小売業者とテクノロジーが手を携え、よりよい方法を模索していく必要があることは明らかです。
Google Cloud を含むテクノロジー プロバイダは、こうした重要な業界に対し、小売業者がオペレーションを見直す必要なく、テクノロジーがサステナビリティの取り組みに具体的かつ効率的に良い影響を与えられることを示していかなければなりません。
小売業界は、トレードオフが難しいビジネスといえます。筆者自身も、高い利益率と成長を実現しつつ、同時に小売業界と消費財をよりサステナブルなものにするという課題に向き合ってきました。
しかし今日、テクノロジーを活用することで、小売業者はビジネスと地球環境の両方にとって良い決断ができるようになりました。たとえば、Urban Outfitters の衣料レンタル事業である Nuuly といった Google Cloud のお客様は、クラウド ファーストであることは、同時にサステナビリティ ファーストでもあることを教えてくれました。
サステナビリティへの取り組みを加速させたい小売業者のために、サステナビリティと日々のビジネスを同時に推進するためのテクノロジーをいくつかご紹介します。
データ分析を利用して、効率的な在庫管理と需要予測の改善により無駄を省く: 使われない商品を製造し、非効率な商品の移送に資源を費やすことは、ビジネスだけでなく、環境にもよくありません。適切な商品を作り、適切な場所に適切なタイミングで届けるために、小売業者は Google Cloud の Vertex AI 予測機能を利用して、消費者の需要に関する高精度な予測を作成し、在庫効率を割り当てることができます。
配達車両の効率最大化により、炭素排出量を削減: 配達車両は燃料を大量に消費する可能性があり、小売業者の環境フットプリントを増加させます。小売業者は、スマート アナリティクスを活用することで、こうした影響を大幅に軽減しながら、迅速な配達を求める消費者の高まるニーズに応えることができます。Google Cloud のラスト ワンマイル フリートとクラウド フリート ルーティング ソリューションは、マッピング、ルーティング、分析を 1 つにまとめた統合スイートです。小売業者と運送業者が、消費者の期待に応えるだけでなく、走行距離を短くして、炭素を排出する車両の数を減らすことで、サステナビリティ目標を達成できるよう支援します。
クリーンなクラウドへの要請: クラウド上でオペレーションを実行することで、小売業者はよりアジャイルに、変化するお客様のニーズに対応できます。しかしながら、すべてのクラウドが同じというわけではありません。Google Cloud は業界随一のクリーンなクラウドで、カーボン ニュートラルな運用を実現しています。Google は 2030 年までに、すべてのデータセンターを 24 時間 365 日カーボンフリー エネルギーで賄うことを目標にしています。また、小売業者が Google Cloud の使用に伴う総炭素排出量を正確に把握し、環境フットプリントを削減するための行動を支援するツールも構築しました。小売業者がクリーンなクラウドを利用することは、地球とビジネス両方に良い影響を与えることにつながります。
- Google Cloud、小売部門バイス プレジデント Carrie Tharp