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Public Sector

天文学上の新発見を後押しする Google Cloud

2020年12月11日
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Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2020 年 12 月 7 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

人類の起源の理解から未来の出来事の予測まで、Google が地上で成し遂げた飛躍的な進歩のいくつかは宇宙研究に端を発しています。この種の研究はハイ パフォーマンス コンピューティングと機械学習(ML)によって前例のないペースで加速しています。Google Cloud は天文学の進歩に微力ながらも貢献していると自負しております。そのため、本日はチリのヴェラ・C・ルービン天文台とカリフォルニア工科大学の研究者との新しい取り組みについてご紹介します。

20 TB の夜間天体観測のためのクラウド基盤

先駆的なコラボレーションとして、ルービン天文台は Google Cloud で Interim Data Facility(IDF)をホストするための 3 年間契約を締結しました。このコラボレーションを通じて、同天文台は 10 年間の Legacy Survey of Space and Time(LSST)プロジェクトに先立ち、収集した天文学データを処理して、科学コミュニティの何百人ものユーザーがデータを利用できるようにします。

LSST の目的は、広範囲にわたる詳細な天体調査を実施し、以前にまとめられた調査の数千倍大きい天文学カタログを作成することです。調査は 8.4 メートルのシモニー サーベイ望遠鏡とギガピクセル級の LSST カメラを使用して、10 年間にわたって毎晩約 1,000 枚の空の画像をキャプチャします。こうした高解像度画像には、約 200 億個の銀河と同様の数の星のデータが含まれ、宇宙の構造と進化を経時的に把握するための比類のないリソースを研究者に提供します。Google Cloud で IDF を構築することにより、ルービン天文台は大量のデータセット(合計 500 ペタバイト)を管理するための基盤を構築して、最終的に大規模かつ柔軟に科学コミュニティと共有します。

ルービン天文台のオペレーション担当ディレクター代理を務める Bob Blum 氏は、次のように述べています。「このプロジェクトで Google Cloud と協力できることを非常に嬉しく思います。ルービン コミュニティに提供する能力で大きなプラスの効果を発揮するでしょう。」

同天文台のデータ管理科学アナリスト兼エンジニアで、IDF の初期ユーザーの一人である Hsin-Fang Chiang 氏は、次のように説明しています。「インフラストラクチャを自ら構築する必要がありません。インフラストラクチャは十分に確立されており、他のユーザー向けにテストと改良が行われているため、その恩恵を受けています。」

ルービン天文台は Google Cloud StorageGoogle Kubernetes Engine を使用し、Google Workspace は生産性とコラボレーションを可能にしていきます。

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満月に照らされた日没時のルービン天文台

カリフォルニア工科大学の研究者が AI により新彗星を発見

彗星の目撃は比較的よくあることですが、新しい彗星の発見は滅多にありません。宇宙で太陽系小天体を追跡する小惑星センターは、2019 年に約 21,000 の新しい小惑星をカタログに掲載したのに対し、新しい彗星の掲載は 100 未満にとどまりました。

2020 年 8 月下旬、カリフォルニア工科大学天文学部の研究科学者である Dmitry Duev 博士は、Google Cloud のツールを使用して、南カリフォルニアのパロマー天文台にある Zwicky Transient Facility(ZTF)で観測された天体を特定する試験的なプログラムを開始しました。ZTF では晴れた夜ごとに北の空をスキャンし、数十億の天体を測定して数百万の一時的事象を登録します。これらの画像を使用して、Duev 博士は Google Cloud で ML モデルをトレーニングし、99% を超える精度で彗星を特定しました。10 月 7 日には ML モデルが C/2020 T2 彗星を特定しました。これは人工知能による初めての発見です。この功績により、新しい彗星の発見が大幅に加速されています。

Duev 博士は次のように述べています。「空に見える天体を高速かつ高精度で分類する方法を手に入れたことで、天文学の分野に大きな変化が生じています。高度なトレーニングを受けた年中無休 24 時間対応の天文学者を大量に雇っているようなものです。」

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2020 年 10 月 7 日時点の C/2020 T2 彗星の軌道

画像クレジット: NASA / JPL-Caltech / Duev 博士

Google Cloud で宇宙の謎を解き明かすことに関心をお持ちですか

Google が天文学の分野のお客様と一緒に取り組んでいる魅力的なプロジェクトの一部をご紹介します。2019 年 4 月、世界で 8 か所の電波望遠鏡を仮想的に組み合わせたイベント ホライズン テレスコープは、Google Cloud の仮想マシン(VM)インスタンスを使用して、超大質量ブラックホールの最初の画像を生成しました。また、Google は 2018 年以降、Frontier Development Lab と協力し、NASA が取り組んでいる宇宙での困難な課題にも機械学習を適用しています。たとえば、地球上の洪水予測、月での鉱物の発見による恒久的な基地のサポート、衛星通信が途切れる可能性のある太陽フレアの予測などが該当します。

独自のプロジェクトの開始や強化を行うために、対象国の対象プロジェクトに Google Cloud を使用している学者にはリサーチ クレジットを提供しています。申し込みフォームを Google Cloud のウェブサイトで見つけるか、セールスチームにお問い合わせください。天文学やその他の分野での研究を強化する方法について詳しくは、Google Cloud Public Sector Summit にご登録ください。さまざまな研究セッションをご用意しています。各セッションは 12 月 8~9 日に開催され、オンデマンドでご覧いただけます。

-Google Cloud グローバル パブリック部門バイス プレジデント Mike Daniels

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