米空軍研究所、AI を活用して防衛研究を進展
Zahra Najmi
Customer Engineer, Google Public Sector
Dr. Dan Berrigan
Worldwide Digital Collaboration Lead, Air Force Research Laboratory
※この投稿は米国時間 2024 年 12 月 6 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
米空軍研究所(AFRL)は、Google Cloud とのコラボレーションを通じて最先端の AI / ML 機能を活用することで、材料科学やバイオインフォマティクスから人間のパフォーマンスの最適化まで、さまざまな分野にわたって複雑な課題に取り組んでいます。米空軍と米宇宙軍の科学研究開発の中枢である AFRL は、AI とクラウド コンピューティングの変革力を活用して、空軍、宇宙軍、サイバースペース軍のための先進技術の開発、移行というミッションを加速させています。
このコラボレーションは、AFRL の研究能力を向上させるだけでなく、AI を重要な業務に組み込み、国家安全保障を強化し、技術的優位性を可能にする画期的なテクノロジーをデモンストレーションし、最先端のテクノロジーがリリースされたときに空軍がいち早く採用するのに役立てることで技術的優位性を維持するという、より広範な国防総省(DoD)イニシアチブにも合致しています。AFRL は、Google Cloud のスケーラブルなインフラストラクチャ、包括的な生成 AI サービス、コラボレーション環境を利用して、イノベーションを推進し、米空軍と米宇宙軍が技術進歩の最前線に立ち続けられるよう支援しています。
では、AFRL と Google Cloud が連携して AI とクラウド サービスのメリットを実現している例を詳しく見ていきましょう。
バイオインフォマティクスのブレークスルー: AFRL のバイオインフォマティクス研究は、以前は時間のかかる手作業のプロセスとデータのボトルネックに阻まれており、データの移動や共有、米国内のツールへのアクセス、標準のストレージやハードウェアの使用、サードパーティのインフラストラクチャ間での適切なシステム通信や統合が思うように進んでいませんでした。このため、チーム間でのコラボレーションや実験の拡張が著しく制限され、トラッキングは非効率的でした。チームはクラウドの使用経験がほとんどありませんでしたが、サイロ化した環境を作成し、そこで Google Compute Engine、Cloud Workstations、Cloud Run などの Google Cloud のインフラストラクチャを使用して、自動化された効率的な方法でデータをテスト、保存、分析できる分析パイプラインを構築できました。このデータ パイプラインの自動化により、これまでにないユースケースでの探索と展開を進める道が開かれました。
ウェブアプリで研究施設の管理を効率化: AFRL の研究装置のスケジュール設定プロセスは複雑であるため、他の研究所のユーザーが重要なコンテンツや情報にスケーラブルかつ安全にアクセスできるようにするには困難でした。このような課題を軽減し、プログラマー以外の研究者や研究所スタッフが簡単にメンテナンスできるように、チームは Google App Engine をベースにしたカスタムのウェブ アプリケーションを構築し、Google Workspace および Apps Script と統合しました。これにより、将来のハードウェア投資の決定に役立つ使用状況の指標を取得できるようになり、また研究の時間を奪っていた管理タスクを自動化できました。その結果、管理者が介入しなくても迅速に変更できるようになり、ユーザーはさまざまなセルフサービス オプションを使用して装置の使用時間をスケジュール設定したりトレーニングをリクエストしたりできるようになりました。さらに、SSO 機能を組み込んだ、強化されたスケーラブルな設計のアーキテクチャにより、複数の研究所の内部コンテンツを効率的に使用できるようになりました。
人間のパフォーマンスに関する分析情報をモデリング: 人間のパフォーマンスを理解して最適化することは、AFRL のミッションにとって不可欠です。Google Cloud 上に構築された FOCUS Mission Readiness App は、Cloud Run、Cloud SQL、GKE などのさまざまなインフラストラクチャ サービスを活用し、Garmin Connect の API と連携してウェアラブルからリアルタイム データを収集して分析します。
このアプリは、Google Cloud の BigQuery やその他の分析ツールを利用して、疲労の管理や予測のためのパーソナライズされた分析情報と推奨事項を提供するもので、空軍兵の認知機能や健康全般における貴重な改善メカニズムの把握に役立っています。
Vertex AI を使用した効率的な AI モデル開発: 多様なユーザーが追加のコンピューティング ツールを必要とするようになり、皆がそのようなツールの使用方法についてトレーニングを受けているわけではないことから、AFRL は大学の HPC クラスタの機能を再現したいと考えていました。使いやすい GUI でアクティブな接続を維持し、自信を持って AI モデルを開発して研究試験を行えるようにすることを望んでいました。そこで、Workbench、Compute Engine、Cloud Shell、Cloud Build などを通じて Google Cloud の Vertex AI と Jupyter Notebook を活用することにしました。これにより、コードの共有、取り込み、クリーニングに使用できるパイプラインの作成を簡単に進めることができました。これらのリソースを利用することで、研究者がモデルの開発とテストを迅速に行えるフレキシブルな環境を作成できました。
クラウド機能と AI / ML ツールにより、研究者が革新的なソリューションを迅速にプロトタイプ化してデプロイできる、フレキシブルで適応性の高い環境を手に入れることができました。これはまるで、パワフルな AI ビルディング ブロックが詰まったツールボックスを手に入れたようなものです。ブロックを組み合わせれば、独自の研究課題に取り組めます。
空軍研究所、, Dan Berrigan 博士
AFRL と Google Cloud のコラボレーションは、AI とクラウド サービスが、各機関にわたるイノベーション、効率化、問題解決の原動力となり得ることを実証しています。政府が AI の研究開発に投資を続けるなか、AI とクラウド コンピューティングの可能性を最大限に引き出して、連邦政府機関がそれらの革新的なテクノロジーを活用してすべての人にとってより効率的で効果的、かつ安全な未来を創造するには、このようなコラボレーションが不可欠です。
政府機関が AI を活用してミッション達成を加速できるよう、Google がどのような支援を提供しているかについて詳しくご覧ください。
Google Public Sector Summit On Demand をぜひご視聴ください。公共部門における AI とセキュリティの重要な接点に関する重要な分析情報を得ることができます。
-Google Public Sector、カスタマー エンジニア Zahra Najmi
-空軍研究所、ワールドワイド デジタル コラボレーション リード Dan Berrigan 博士