Public Sector

2025 年に公共部門の未来を形作る 5 つの AI トレンド

2025年2月13日
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Elizabeth Moon

Managing Director, Customer Engineering, Google Public Sector

※この投稿は米国時間 2025 年 2 月 6 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

AI はもはや未来の概念ではありません。2025 年には、AI が公共部門運営の基盤となり、政府機関の意思決定方法や住民へのサービス提供方法を変革することになるでしょう。AI によるイノベーションに優先的に取り組むことで、政府機関は効率を高めて意思決定を強化し、住民に提供するサービスを向上できます。

連邦政府の最高 AI 責任者や他の AI 意思決定者 161 名を対象に行われた、Google の委託による最近の IDC の調査では、50% の政府機関が AI の成熟度が高いと報告しました。これは、イノベーション文化の採用や、ミッションの影響を推進する生成 AI ユースケースの試験運用などの成熟した行動と一致しています。

今後 1 年間で公共部門の未来を形作ると考えられる 5 つの AI トレンドについて詳しく見ていきましょう。

トレンド 1: マルチモーダル AI: コンテキストの力を解き放つ

テキスト、画像、動画、さらには音声など、さまざまなソースからの情報を AI が理解して分析できる世界を想像してみてください。これがマルチモーダル AI の力です。今年は、AI 導入における重要な年となります。その主な推進要因は、マルチモーダル学習と、それによって実現するコンテキスト認識機能です。将来的には、マルチモーダル AI により、政府機関は地域レベルや州レベルのデータを分析し、Google Earth Engine、Google マップ、Waze、一般公開データセットといった他のソースのデータと組み合わせることで、意思決定の強化、気候関連リスクへの早期対応、公共インフラの改善を実現できるようになるでしょう。

Google AI は、ハワイ州運輸局(HDOT)による気候変動対策における課題への取り組みを支援しています。Google Earth Engine と Google Cloud を活用して Climate Resilience Platform(気候変動レジリエンス プラットフォーム)をデプロイすることで、HDOT が複数の気候リスク、資産の状態、コミュニティへの影響に基づいてリスクを評価し、投資の優先順位を決定できるようにしています。

トレンド 2: AI エージェント: chatbot からマルチエージェント システムへの進化

従来の単純な chatbot は、複雑なタスクを処理できる未来の洗練された AI エージェントへと進化しました。これらのエージェントは、やり取りから推論し、計画し、さらには学習することもできます。将来的には、公務員の業務やコーディングの効率化、アプリケーションの管理、データの詳細な分析情報の取得、セキュリティ脅威の特定と解決、最高のアイデアの実現などを、AI エージェントが支援できるようになります。

ニューヨーク州サリバン郡は、Google AI を使用した仮想エージェントを活用して、より多くの市民により早く、24 時間いつでもサービスを提供しています。人員と予算が限られるなか、サリバン郡は従来の受付時間外にも市民をサポートするソリューションを構築すると同時に、郡職員が戦略的業務に集中して取り組めるようにしました。

トレンド 3: アシスト検索: 知識労働の新境地

AI はすでに、私たちが情報にアクセスし、それを理解する方法を変えつつあります。生成 AI を活用することで、政府機関は膨大なデータセットの検索の精度と効率を改善できるようになります。セマンティック検索、自動メタデータ ツール、ドキュメントの高度な音声文字変換に投資することにより、政府機関はデータの価値を解き放ち、データにアクセスしやすくすることができます。

米空軍研究所(AFRL)は、Google Cloud の最先端の AI / ML 機能を活用することで、材料科学やバイオインフォマティクスから人間のパフォーマンスの最適化まで、さまざまな分野にわたって複雑な課題に取り組んでいます。AFRL は、AI とクラウド コンピューティングを活用して、空軍、宇宙軍、サイバー軍のための先進技術の開発、移行というミッションを加速させています。

トレンド 4: AI を活用した住民サービス: シームレス化とパーソナライズ

2025 年には、市民が政府機関のサービスを利用した感想の改善に AI が貢献します。AI を活用したツールやテクノロジーは、市民が政府機関のウェブサイトやサービス(許可証や免許の申請など)を複数の言語で 24 時間 365 日、迅速かつ簡単に利用できるようにします。これにより、市民と政府機関の間に信頼関係が構築され、その関係がより緊密なものとなるでしょう。

ウィスコンシン州労働力開発局(DWD)は、Google AI と連携して、失業保険の請求に対する同州の対応を拡大し、対応に要する時間を全体的に短縮することができました。同州は不正請求を選別して排除することにも成功したため、財政支援を必要とするウィスコンシン州の住民に対して失業保険プログラムを誠実に運営できるようになりました。

トレンド 5: AI によるセキュリティの厳格化と強化

AI が普及するにつれて、それがもたらす脅威も増大します。しかし、AI はセキュリティ強化に効果的なツールにもなり得ます。脅威の検出を自動化して、膨大な量のデータを分析し、インシデントにすばやく対応する AI は、政府システムと機密情報を保護するのに役立ちます。AI が行政サービスや市民サービスにますます浸透するなか、政府機関はディープフェイクや虚偽の情報などの脅威に対抗するためにセキュリティを優先しなければならなくなっています。

ニューヨーク市は毎週 900 億件ものサイバー イベントに見舞われています。「その 900 億件のイベントから 50~60 件以下に絞り込んで検討する必要があります。多くの AI と自動化された意思決定ツールがなければ、これは不可能です。」- Matthew Fraser 氏、ニューヨーク市最高技術責任者

広がる可能性

効率性の向上、意思決定の強化、住民サービスの向上のために AI を活用している全国の公共機関では、すでに AI に対する驚くべき熱意が見受けられます。今後、政府機関では AI リーダーを選任し、投資することが予想されます。彼らは、AI ガバナンスを強化し、住民の信頼を築き、最先端の AI とセキュリティを活かした効果的な人材戦略に投資するでしょう。これは、あらゆるレベルの政府機関において AI の責任ある安全な開発とデプロイを確実に行うためにきわめて重要です。

AI がどのように各政府機関のミッションをサポートし、その影響を加速させるかについて詳しくは、「公共部門における 2025 年の AI トレンド」レポートをダウンロードしてください。

-Google Public Sector、カスタマー エンジニアリング担当マネージング ディレクター Elizabeth Moon

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