人材、セキュリティ、共同作業が重要な場所で AI の可能性を最大限に引き出す
Katharyn White
Director of Marketing, Public Sector, Google Cloud
※この投稿は米国時間 2024 年 11 月 20 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
AI は公共部門を急速に再構築しており、AI を活用したインテリジェントなサービス提供とミッション インパクトを実現する新しい時代を切り開いています。最高 AI 責任者(CAIO)をはじめとする行政機関のリーダーは、AI が普及するなかで重要な役割を担っています。Google は長い間、AI は基盤となる革新的テクノロジーであり、人と社会に恩恵をもたらす可能性があると考えてきました。その可能性を最大限に引き出して行政サービスを改善し、意思決定を強化して、最終的により効率的で効果的な公共部門を構築するには、リーダーシップと明確なコミットメントが必要です。
Google は近ごろ IDC に調査を依頼し、連邦政府の CAIO、行政機関の AI リーダー、その他の意思決定者 161 人を対象に、この新しい AI 時代を各機関のリーダーがどのように先導しているか、また、AI のガバナンス、共同作業、市民からの信頼構築、市民とのエンゲージメントにおいてすでにもたらされているその価値を把握するためのアンケート調査を実施しました¹。最近、この調査の主な結果と、その結果が公共部門にとって何を意味するのかについて、IDC Government Insights のバイス プレジデントを務める Ruthbea Yesner 氏とディスカッションを行いました。以下に、ディスカッションの抜粋と主な知見をご紹介します。
主な調査結果 1: 調査対象者の 62% がサイバーセキュリティの強化が AI 投資の最大の動機であると回答
行政機関は、サイバーセキュリティの強化と重要インフラストラクチャの保護に AI を採用しています。回答者の 60% が、組織内のサイバーセキュリティの保護を AI / ML の最上位のユースケースに挙げています。調査対象の連邦政府機関の 40% 以上が、重要インフラストラクチャの保護が今後の AI 投資の主な推進要因であると回答しています。回答者はさらに、サイバーセキュリティの強化と重要なインフラストラクチャの保護に AI を適用することで、わずか 9 か月で前向きな結果を実現できると考えています。これは、AI に期待される成果のうち、価値実現までの時間が 2 番目に速いものとなっています。
CAIO をはじめとする行政機関のリーダーは、AI の採用を推進し、行政機関がこの強力なテクノロジーを活用できるようにするうえで、極めて重要な役割を担っています。連邦政府機関の 50% がすでに CAIO を任命していますが、残りの機関もまもなく CAIO を任命する見込みです。導入が加速し、AI の成熟度が高まるにつれて、CAIO はすべての AI イニシアチブにおいて堅牢なサイバーセキュリティ対策とリスク軽減戦略を優先し、機密データやシステムの保護を確実にする必要があります。
主な調査結果 2: AI の成熟度が高いと、他の生成 AI ユースケースを検討する可能性が 4 倍高まる
IDC は、AI の成熟度を評価するための 5 段階のアプローチを作成し、その結果は注目に値するものでした。調査対象機関の 50% が高い AI 成熟度を報告しており、これは、イノベーションとミッション インパクトを推進するための生成 AI ユースケースの試験運用と導入といった成熟した行動に相当します。成熟した AI 機関はイノベーション文化を受け入れ、インパクトの可能性が高い AI のユースケースやプロジェクトに注力しています。
ある特定の問題やユースケースを解決し、短期間での成果とさらなる意欲を生み出している機関もあれば、大規模で複雑な課題に正面から取り組んでいる機関もあります。AI ファーストの考え方を採用し、ワークフローに AI を組み込み、AI 利用の規模を拡大することで、より多くのことを行おうとする意欲が機関内で高まっています。これは、AI が機関全体に浸透し、個人が AI による前向きな文化的変化や影響の一端をますます実感するようになるにつれ、複合的な効果をもたらします。
これには触媒効果があり、AI を使用してあっと驚くことをする人が一人いるだけで、他の人が AI を学び、応用する動機付けになります。
IDC Government Insights、バイス プレジデント Ruthbea Yesner 氏
生成 AI は未来を担っており、AI 投資の 42% を引き寄せています。行政機関はその可能性を引き出したいと考えています。イノベーションは、今後も AI への投資を継続するための最大の動機となるでしょう。組織が AI を優先するにつれ、CAIO の役割はさらに多面的なものとなり、技術的な専門知識だけでなく、組織文化変革を推進し、真に AI に対応できる人材を育成するための明確なビジョンを持つリーダーシップも求められるようになります。
IDC の「The Chief Artificial Intelligence Officer(CAIO)Playbook: A Practical Guide for Advancing AI Innovation in Government」に概説されている堅牢な AI の成熟度モデルは、各行政機関が AI を導入する際の指針となり、組織の準備態勢を育成するうえで重要だと考えられます。進歩のための明確なフレームワークを利用することで、各機関は AI 実装の複雑さを戦略的に乗り切り、その可能性を最大限に引き出すことができます。
主な調査結果 #3: 職員が AI の知識を持つことが AI の潜在能力を引き出す鍵
AI 導入の急速なペースは、AI に関する専門知識の不足という大きな課題を浮き彫りにしました。アンケート回答者の 39% が、組織内の AI スキルや専門知識の不足が最大の課題であると回答しており、68% が人材の育成と確保に注力しています。
Google はこのスキルの課題に正面から取り組んでいます。Google は近ごろ、Google Cloud Launchpad for Veterans を発表しました。これは、あらゆる任務と階級の退役軍人に、イノベーションを促進し、雇用者のデジタル トランスフォーメーション戦略に貢献するために必要なクラウドの知識とスキルを身につけるため、無償でトレーニングと認定資格取得の機会を提供する取り組みです。また、Google.org の AI Opportunity Fund による新たな AI トレーニング イニシアチブも発表しました。これは、Partnership for Public Service と InnovateUS のために 1,500 万ドルを提供して米国政府職員向けの AI スキル トレーニングを行うものです。これには、2,000 人の政府高官を含む連邦政府のリーダーや職員に AI のスキルとリテラシーを提供する Center for Federal AI を新しく設立するための Partnership for Public Service への助成金も含まれます。
一つ明確なことがあります。AI にはリーダーシップが必要であり、CAIO は AI を活用し、その可能性を最大限に引き出すという行政機関のコミットメントを示す重要な新しい C-suite の役職だということです。CAIO をはじめとする行政機関のリーダーは、この新しい AI 時代の計画を立て、AI を公共の利益に活かすにあたり必要な専門知識とリーダーシップを提供するために非常に重要です。
CAIO が新しい AI の時代をどのように先導しているのかについて詳しくは、「The Chief Artificial Intelligence Officer(CAIO)Playbook: A Practical Guide for Advancing AI Innovation in Government」をご覧ください。そのガイダンスを適用することで、各機関は独自のロードマップを作成し、AI の導入を推進してミッションの成果と影響を加速できます。IDC Government Insights バイス プレジデントの Ruthbea Yesner 氏とのインタビューをすべて視聴するには、12 月 3 日(火)に開催される Google Public Sector Summit On-Demand にご登録ください。
¹ IDC Signature White Paper「The Chief Artificial Intelligence Officer (CAIO) Playbook: A Practical Guide for Advancing AI Innovation in Government」(Google Public Sector が資金提供)、ドキュメント番号 US52616824、2024 年 10 月
-Google Cloud、公共部門担当マーケティング ディレクター Katharyn White