スマート ファクトリーを実現する新たなエッジ コンセプトを Hannover Messe で探る
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2022 年 5 月 27 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
一般的なスマート ファクトリーは、週に約 5 ペタバイトのデータを生成していると言われています。これは 500 万 GB、およそ 2 万台のスマートフォンに相当します。
グローバルな組織は言うまでもなく、1 つの設備でこのような膨大な量のデータを管理することはかなり困難です。製造現場でほぼリアルタイムにデータを管理して、分析情報、機能強化、特に安全性を推進することは、大手メーカーにとって大きな夢です。そして多くの場合、それは現実になりつつあります。エッジ コンピューティングでその可能性が解き放たれたおかげです。
エッジ コンピューティングは、計算、接続性、データを情報が生成される場所に近づけ、より優れたデータ制御、より高速な分析情報とアクションを可能にします。エッジ コンピューティングを活用するには、ハードウェアとソフトウェアがデータをローカルで収集、処理、分析する必要があります。それにより的確な意思決定が可能になり、運用を改善できます。
Hannover Messe 2022 では、Intel と Google Cloud が、最新世代の Intel プロセッサと Google Cloud のデータおよび AI の専門技術を組み合わせた新技術の実装を実証します。この技術によりエッジからクラウドまでの本番環境の運用を最適化できるようになります。この概念実証プロジェクトには、Intel の業界固有のプラットフォームである Edge Insights for Industrial platform(EII)と 2 つの Google Cloud ソリューション(Google Cloud のマネージド アプリケーション プラットフォームの Anthos と新たにリリースされた製造データエンジン)が利用されています。
エッジ コンピューティングは、オンサイト上にある眠ったままのデータの宝庫を活用しており、急速な成長が期待されています。The Linux Foundation の「2021 State of the Edge」は、2025 年までに、エッジ関連のデバイスがおよそ 90 ゼタバイトのデータを生成すると予測しています。エッジ コンピューティングにより、データのプライバシーとセキュリティが強化され、ローカル ストレージとクラウド間の帯域幅のニーズ削減に対応できるようになります。
ビッグデータと AI 主導のデータ分析のパワーが、データが収集された時点で利用でき、ほぼリアルタイムで意思決定を通知、実行、実装できる世界を想像してみてください。
こういったことが、溶接作業から塗装作業などに至るまで製造現場のどこであっても可能になります。データは、たとえばロボット溶接機をモニタリングすることで収集され、製造現場にある産業用 PC(IPC)によって分析されます。エッジ IPC は、溶接機が仕様から外れ始めたことを検出し、不良が発生する前に不良発生率の増加を予測します。そして、直接介入することなくエラーを修正するための予防的なメンテナンスを追加します。AI を使用したリアルタイムの予測分析により、不良が発生する前にこれを高い割合で防ぐことができます。または、同じ IPC ではデジタルカメラを使用して目視検査を行い、リアルタイムで不良をモニタリングおよび特定し、迅速に対処できるようになります。
エッジ コンピューティングは、性能の高いアプリケーションを備え、自動車、半導体、電子機器の製造、日用品など、多くの製造部門でデータの収集、処理、保存、分析を支援します。モデリングと分析がローカルまたはクラウドで実行および保存されても、予測、同時、または遅延であっても、技術プロバイダはこのようなニーズに合わせて対応しています。これがエッジ コンピューティングの新しい世界です。
Intel と Google Cloud の共同の概念実証は、Google Cloud の機能とソリューションをエッジまで拡張することを目的としています。Intel の幅広い産業向けソリューション、ハードウェア、ソフトウェアが、Google Cloud の業界をリードするツールを網羅するこのエッジ対応ソリューションに統合されます。この概念により、分析情報を取得するまでの時間が短縮され、データ分析と AI がエッジで合理化されます。
Intel と Google Cloud の概念実証は、メーカーが Google Cloud の Manufacturing Connect を使用して 250 台を超える工場出荷時のデバイスからデータを収集して分析する方法を示し、エッジでデータの取り込みと AI 分析を実行する高性能なプラットフォームを提供します。
Hannover でのデモで、Intel と Google Cloud は、メーカーがどのようにロボット溶接機から時系列データを取得して、溶接の品質を検査するか説明します。また、予測分析が工場の運用にどのようなメリットをもたらすか説明します。さらに、動画データと画像データが工場のカメラからキャプチャされ、目視検査でモデル スコアリングを使用してプラスチック チップの異常をどのように明らかにするか示します。デモでは、FIDO Device Onboard(FDO)を使用したゼロタッチ デバイスのオンボーディングも取り上げ、既存の Anthos クラスタにコンピュータを簡単に追加できることも実例で示します。
Google Cloud のデータ、AI / ML の専門技術と、Google Anthos 上での実行に最適化された Intel の Edge Insight for Industrial プラットフォームを組み合わせることで、メーカーは Google Cloud の製造データエンジンへの効率的で安全な接続を利用して、コンテナ化されたアプリケーションをエッジ、オンプレミスのデータセンター、またはパブリック クラウドで実行および管理できます。完全なエッジ ツー クラウドのソリューションが実現されます。
Fido Device Onboard(FDO)を使用すると、デバイスのオンボーディングを簡素化できます。Fido Device Onboard は、新しい IoT デバイスの高速で安全、スケーラブルなゼロタッチ オンボーディングをエッジにもたらすオープン IoT プロトコルです。FDO により、工場では OT インフラストラクチャを複雑にすることなく、環境に自動化とインテリジェンスを簡単に導入できます。
Intel と Google Cloud の実装で、ローカライズされた Intel またはサードパーティーの AI と機械学習アルゴリズムを使用してデータを分析できるようになります。 アプリケーションは Intel のハードウェアと Anthos のエコシステムに階層化され、カスタマイズされたデータのモニタリングと取り込み、データの管理と保存、モデリング、分析が可能になります。この共同の概念実証では、第一線のエンジニアが自動化したか、トリガーしたかにかかわらず、意思決定と運用の改善が促されサポートされます。
Intel は、主要なハードウェア パートナーの活気に満ちたエコシステムと協力して、最新世代の Intel プロセッサを使用することにより、産業市場向けのソリューションを開発しています。 このプロセッサは、データ集約型のワークロードをエッジで簡単に実行できます。
Intel 産業用 PC エコシステム パートナー
データと AI を製造エンジニアが直接利用できるようにすることで、品質検査ループ、 顧客満足度、そして最終的には収益を向上できます。
この新しい製造ソリューションは、2022 年 5 月 30 日から 6 月 2 日に開催される Hannover Messe 2022 で初めて対面によるデモが行われます。ホール 004 のスタンド E68 にお越しください。Google のエキスパートによるオンサイト デモンストレーションをご希望の場合は、ミーティングをリクエストしてください。
- Intel、Internet of Things Group シニア ディレクター Ricky Watts 氏
- Google Cloud、産業&運輸、グローバル製造担当技術ディレクター Charlie Sheridan