Google Cloud の新しいメーカー向けソリューションのご紹介: スマート ファクトリーで従業員の作業をスマートに
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2022 年 5 月 5 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
現在、競争力を強化しサステナブルな成長を図るメーカーは、クラウドや AI などの革新的な技術に賭けて、デジタル トランスフォーメーションに向けて取り組んでいます。McKinsey の調査では、メーカーの 3 分の 2 近くがすでにクラウド ソリューションを利用していると報告されています。しかし、アナリストによると、デジタル トランスフォーメーションのプロジェクトを概念実証から本番環境にスケーリングするための実際の作業は、その大多数にとって依然として難しい課題です。
Google は、スケーラビリティの課題はコンテキスト化されたオペレーション データへのアクセスの欠如と、複雑なデータ サイエンスや AI ツールを製造現場で使用するためのスキルギャップの 2 つの要因が中心にあると考えています。
メーカーがデジタル トランスフォーメーションの取り組みを本番環境にスケーリングできるように、Google Cloud はメーカーのニーズに特化した新しい製造ソリューションを発表します。
Google Cloud の新しい製造ソリューションは、異なるアセットとプロセス全体から、統合かつコンテキスト化されたデータへのアクセスを製造エンジニアや工場管理者に提供します。
製造現場からクラウドまで、データ処理のプロセスに沿って新しいソリューションを見ていきましょう。
製造データエンジンは、工場のデータを処理、コンテキスト化、保存するための基盤となるクラウド ソリューションです。Cloud Platform は、エッジとクラウドの安全かつ低コストなプライベート接続であらゆる種類のマシンからデータを取得し、テレメトリから画像データまで幅広いデータをサポートします。組み込まれたデータの正規化およびコンテキスト拡充機能により、工場に最適化されたデータ レイクハウスをストレージとして、共通のデータモデルを提供します。
Manufacturing Connect は、Litmus Automation と共同開発した工場向けエッジ プラットフォームで、250 以上のマシン プロトコルの豊富なライブラリを介して、ほぼすべての製造アセットと迅速につながり、マシンデータをわかりやすいデータセットに変換し、処理、コンテキスト化、保存のために製造データエンジンに送ります。コンテナ化されたワークロードをサポートすることで、メーカーは低レイテンシのデータの可視化、分析、ML 機能をエッジで直接実行できます。
製造データエンジン上に構築されているのは、Google Cloud とパートナーが実現したデータ分析と AI のユースケースで、その数は増え続けています。
製造分析および分析情報: Looker テンプレートと最初から統合され、ダッシュボードと分析のエクスペリエンスを提供します。使いやすいノーコードのデータおよび分析モデルとして、製造エンジニアや工場管理者が迅速にカスタム ダッシュボードを作成・変更し、新しいマシン、設定、工場を自動的に追加できるようにします。このソリューションにより、KPI に対するデータのドリルダウン、または工場全体の新しい分析情報や改善の機会をオンデマンドで引き出すことができます。分析情報を共有でき、企業全体やパートナーとのコラボレーションの可能性が広がります。
予測メンテナンス: 事前構築済みの予測メンテナンスの機械学習モデルにより、メーカーは予測精度に妥協することなく、数週間でデプロイできます。メーカーは、Google Cloud のエンジニアと協力しながら、モデルを継続的に改善し、改良を加えることができます。
マシンレベルの異常検出: リアルタイムのマシンデータやセンサーデータに Google Cloud の Time Series Insights API を活用し、発生した異常を特定してアラートを提供する専用インテグレーションです。
「組み立てラインで生成されるセンサーデータの量は増加しており、製品の品質、生産効率、設備の健全性モニタリングに関するスマート アナリティクスの機会が生まれています。しかし、それは同時に、データの取り込みと管理に関する新たな課題も意味します。Google Cloud と連携して、2 つの工場に接続された 100 台以上の主要マシンで運用されるデータ プラットフォームを実装し、毎週 2,500 万件以上のレコードをストリーミングして保存しています。データから最適な分析情報を得ることで、予測および予防措置を実行し、製造工場でのさらなる効率化を続けています」- Ford Motor Company、製造テクノロジー開発部門ディレクター、Jason Ryska 氏
「Google Cloud による素晴らしい工場エッジ ソリューションとの緊密なインテグレーションにより、工場はこれまで以上に簡単にクラウドの機能を利用できるようになりました。Google Cloud のソリューションは、データ サイエンティストだけでなく、より幅広い分野のユーザーが、さまざまなユースケースのデータに簡単にアクセス、分析、使用することを可能にします。生産オペレーションを最適化し、一貫して品質を向上させるための新しい製造ソリューションを実装するにあたり、Google Cloud と提携できることを嬉しく思います」- 京セラ コミュニケーション システム株式会社デジタル ソリューション事業部、事業部長、秋枝正治氏
「Phononic はソリッド ステート冷却と加熱技術のグローバル イノベーターとして、水、電力、化学廃棄物の使用量を削減するサステナブルな製造プラットフォームを開発しました。Google Cloud とのパートナーシップにより、当社のすべての製造プロセスにおけるデータのコンテキスト化が可能になりました。これにより、最終的には当社のオペレーションを最適化する分析と分析情報が提供され、当社は温室効果ガス(GhG)排出量を削減し、サステナブルに冷却する製品を世界中に提供し続けることができます」- Phononic、最高情報責任者、Jason Ruppert 氏
ますます多くのパートナーが、コネクタから AI を活用したユースケースまで、Google Cloud の製造ソリューションを拡張しています。開催予定の Google Cloud 製造スポットライトで、製造データエンジンおよび Manufacturing Connect に関するパートナーの声をお聞きください。
Google Cloud の新しい製造ソリューションにより、スマートな製造オペレーションに不可欠な 3 つの要素(製造現場のエンジニア、データ、AI)が強化、統合されます。
ものづくりのスマート化のハブとなる製造現場のエンジニアの支援
ここ数年、米国内総生産の10% 以上が製造業によるもので、間接的な価値(他産業からの購入分など)を含めると GDP の 24% にのぼります。また、製造業は約 1,500 万人を雇用し、米国全体の雇用の 10% を占めるセクターでもあります。しかし、米国では製造業の従業員の 20% 以上が 55 歳以上であり、平均年齢は 44 歳です。これは世界各国で同様のパターンが見られます。メーカーにとって、退職する従業員に代わる新たな人材を見つけることはますます難しくなっています。
そのため、企業は既存の従業員の能力を高めると同時に、新しい人材を惹き付ける必要があります。このバランスをとるには、Cloud や AI などの重要なテクノロジーを利用しやすくし、メーカーの日常業務に深く根付かせる必要があります。
Google Cloud の製造ソリューションは、この目的を念頭に置いて設計されています。迅速な実装と使いやすさを組み合わせることで、メーカーの従業員は優れたデジタルツールを直接入手し、新しい分析情報を明らかにし、まったく新しい方法でオペレーションを最適化します。
このソリューションの主要な部分は、設定や使用においてローコードまたはノーコードであるため、多くのエンドユーザーに適しているという点です。スケーリングを考慮して設計され、テンプレートに基づくロールアウトや標準化による再利用が可能です。また、ベスト プラクティスを念頭に置いて設計されているため、メーカーは基盤となるインフラストラクチャではなくユースケースに貴重なリソースを集中させることができます。
製造エンジニアは、Looker のビジネス インテリジェンス エンジンに構築された製造分析および分析情報を使用して、データの可視化とドリルダウンを行うことができます。製造データエンジンと統合され、自動構成により、製造オペレーションのあらゆる側面を最新の状態で表示できます。最高執行責任者(COO)から工場管理者、製造エンジニアまで、あらゆるユーザーが企業、工場、ラインマシン、センサーレベルで工場データを簡単にブラウジングして確認できるようになります。
Google Cloud とパートナーは、使いやすさを目的として製造ソリューションをゼロから構築するだけでなく、メーカーが専用のイネーブルメント サービスを使用して従業員をスキルアップできるよう積極的にサポートしています。
あらゆるデータポイントを利用しやすく実用的に
データは製造環境におけるデジタル トランスフォーメーションの基軸であり、メーカーには潜在的に豊富なデータがあります。1 台のマシンのパフォーマンス ログは 1 週間に 5 GB、一般的なスマート ファクトリーは 1 週間に 5 ペタバイトのデータを生成する場合があります。
しかし、多くのメーカーにとって、この豊富なデータとその中に含まれる分析情報は、ほとんどアクセスできないままです。データは部分的にしか取得されない場合が多く、さまざまな異種システムや独自システムに閉じ込められています。
Litmus Automation と共同開発した Manufacturing Connect では、業界をリードする 250 以上のネイティブ プロトコル コネクタが提供され、数回のクリックでほぼすべての生産アセットやシステムに素早く接続してデータを取得できます。統合された分析機能とコンテナ化されたワークロードのサポートにより、メーカーはデータのオンプレミス処理というオプションを取得できます。
また、補完的なクラウド コンポーネントにより、メーカーは全工場のエッジ インスタンスを一元的に管理、構成、標準化、更新し、グローバル規模でロールアウトできます。同じ UI に統合された Google Cloud の製造データエンジン ソリューションを構成することで、ユーザーは クラウドに送信されたデータのダウンストリーム処理も管理できます。
製造データエンジンは、データを構造化し、セマンティックなコンテキスト化を可能にします。そうすることで、企業全体でデータに普遍的にアクセスし、活用できるようになります。製造データの根本的な複雑さを抽象化することで、メーカーとパートナーは、価値が高く、繰り返し可能かつスケーラブルで迅速に実装できる分析や AI ユースケースの開発が可能になります。
幅広いパートナー エコシステムを要するスマート マニュファクチャリング向け AI
メーカーは、費用と生産の最適化を推進するうえで、AI ソリューションの価値を認識しています。そのため、複数の企業が AI イニシアチブの特許を積極的に取得しているほどです。実際、Google が 2021 年 6 月に実施した調査では、日々の業務に AI を使用しているメーカーの 66% が、AI への依存度が高まっていると報告しています。
Google Cloud は、クラウド技術と人工知能を活用し、工場の迅速かつ円滑な運営を支援します。Google Cloud の製造データエンジンを利用するユーザーは、Google Cloud の業界をリードする Vertex AI Platform に直接アクセスできます。このプラットフォームは、製造エンジニア向けの AutoML からエキスパート向けの高度な AI ツールまで、結果の微調整ができる統合 AI / ML ツールを提供しています。Google Cloud により、AI / ML ユースケースの開発はメーカーにとってかつてないほど利用しやすくなりました。
スケーラビリティの壁の向こう側へ: 製造業におけるクラウドと AI の活用
Google のミッションは、データサイロを統合してデジタル トランスフォーメーションを後押しすることです。使いやすい AI テクノロジーおよび製造業向けのデータ プラットフォームを提供することで、すべてのエンジニアがデータ サイエンティスト並みの業務をこなせるようサポートします。詳細は、Google Cloud メーカー スポットライトでご確認ください。
この新しい製造ソリューションは、5 月 30 日から 6 月 2 日に開催される Hannover Messe 2022 で初めて対面によるデモが行われます。ホール 004 のスタンド E68 にお越しください。Google のエキスパートによるオンサイト デモンストレーションをご希望の場合は、ミーティングをリクエストしてください。
- Google Cloud、産業&運輸、グローバル製造担当技術ディレクター Charlie Sheridan