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Healthcare & Life Sciences

新しい調査: COVID-19 によって医療におけるイノベーションは加速しているものの、テクノロジーの採用はまだ遅れている

2021年8月12日
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Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2021 年 8 月 9 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

COVID-19(新型コロナウイルス感染症)のパンデミックが始まって以来、医療業界全体でデジタル トランスフォーメーションが急加速しています。遠隔医療は、患者と介護者が安全につながる主流な方法としてますます重要な手段になっています。機械学習モデリングは、革新と創薬のスピードアップに役立っています。また、新しいレベルの統合とデータ ポータビリティにより、ワクチンの入手可能性が向上し、ワクチンを必要とする人々が公平にアクセスできるようになっています。

こうしたデジタル トランスフォーメーションの核にはデータがあり、人々の健康維持を支援し、ライフ サイエンス研究を加速し、よりパーソナライズされた公平なケアを提供しています。Google は最近、The Harris Poll による調査結果の一部を発表し、ほぼすべての医師(95%)が、データの相互運用性の向上が最終的に患者の転帰の改善に役立つと考えていることを明らかにしました。本日は、その調査結果の後半部分をご紹介します。

2020 年 2 月、Google は The Harris Poll に委託して、米国内の 300 人の医師を対象に、医師が抱える最大の問題点について調査しました。この調査が実施されたのは、COVID-19 のパンデミックが医療システム全体に負担をかけ、人々が病院に出向くリスクを非常に意識する前のことでした。2021 年 6 月に、同じ質問に追加の質問も入れて再び調査を行いました。そこから明らかになったのは、COVID-19 によって医療分野におけるテクノロジーの役割がいかに再形成され、医師の日常業務をいかに変えたかということでした。

調査から得たいくつかの重要ポイント:

医療機関は、パンデミックの過程で技術のアップグレードを加速した。COVID-19 のパンデミックが始まった後、遠隔医療の使用は前年より大幅な増加を見せ、2020 年 2 月の 32% から今年は 90% とほぼ 3 倍に跳ね上がりました。医師の 45% が、COVID-19 のパンデミックが組織のテクノロジー採用のペースを加速させたと述べています。実際、5 人に 3 人以上の医師(62%)が、パンデミックにより、医療機関は通常何年もかかる技術のアップグレードを強いられたと述べています。たとえば、医師の 48% は、今後 5 年以内に遠隔医療機能を利用できるようにしたいと考えています。COVID-19 のパンデミックが発生する前は、医師の約半数(53%)が、所属する医療組織の、テクノロジーの採用に対するアプローチが「積極的でも、否定的でもない」と考えていました。つまり、新しいテクノロジーが市場に登場してしばらく経過している場合や、または他の人がそれを試し、推奨している場合にのみ、新しいテクノロジーを試すという姿勢でした。

今年のテクノロジーの飛躍にもかかわらず、ほとんどの医師は、医療業界がテクノロジーの採用に遅れをとっていると考えているが、テクノロジーのサポートと進歩の機会に気付いている。医師の大多数は、デジタル採用に関して、医療業界はリーダーではないと見なしています。医師の半数以上が、医療業界はゲーム(64%)、電気通信(56%)、金融サービス業界(53%)に遅れをとっていると述べています。しかし、医療業界は、小売業(2020 年 54%、2021 年 44%)ホスピタリティと旅行(2020 年 53%、2021 年 43%)、公共部門(2020 年 39%、2021 年 26%)には昨年ほど遅れをとっていないようです。 

相互運用性が向上すると、医師の疲弊が軽減され、健康状態の改善や診断の迅速化が可能になる。ほとんどの医師が、データの相互運用性が向上すれば患者の診断にかかる時間を大幅に短縮でき(86%)、最終的には患者の転帰の改善につながる(95%)と回答しています。また、患者の診療体験と健康状態が改善することに加えて、医師の半数以上(54%)がテクノロジーによるデータへのアクセス向上により医療機関全体に良い影響があると確信しています。大半の医師は、医師が疲弊する可能性をテクノロジーによって抑えることができ(57%)、効率性の高いツールによって心理的負荷やストレスを軽くできる(84%)と考えています。その結果、10 人中 6 人の医師が、優れたテクノロジーと医療データシステムを利用できればワークライフ バランスが向上し(60%)、患者データのアクセス改善と完全性向上が実現すれば管理業務の負担を軽減できる(61%)と回答しています。これを踏まえれば、10 人におよそ 9 人(89%)の医師が、すべての患者データを 1 か所にまとめて健康状態をより詳細に把握する方法の需要が高まっていると回答したのは、当然の帰結と言えます。

米国保健福祉省(DHHS)が定めた相互運用性に関するルールの理解が進み、多くの医師はその内容に賛成している。医師の大半(74%)は、電子医療情報の相互運用性を改善するために DHHS が定めた新しいルール(2019 年に発表)について、少なくとも聞いたことがあると回答しています。これは、2020 年(64%)よりも明らかに周知が進んでいることを示しますが、詳しい知識はまだ十分に普及していない状況です。このルールについてある程度または十分に理解していると回答した医師は 30% にすぎません(2020 年に同様の回答をした医師が 18% だったことを考えれば増えてはいます)。2020 年の調査と同じように、新しいルールについて聞いたことがあると回答した医師のほぼ半数(2021 年は 48%、2020 年は 45%)はその内容に賛成していますが、そのほぼ同数(2021 年は 46%、2020 年は 50%)は賛成すべきかわからないとしています。また、2020 年と同様、このルールがもたらす最も大きなメリットは、EHR と他のシステムとの相互運用性が高まることだと考えられています(70%)。

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Google は、より多くの情報をより多くの人に提供すれば、生活を大規模に改善できるという理念に基づいて創設されました。これは医療においては、データをリアルタイムで提供するツールやソリューションを作成し、業務を効率化してケアの質と患者の健康状態を改善することを意味します。たとえば、Google が最近発表した Healthcare Data Engine を使えば、医療とライフ サイエンスのリーダーが臨床、業務、画期的科学に関する知見に基づいて的確な意思決定をリアルタイムで行いやすくなります。Healthcare Data Engine について詳しくは、こちらをご覧ください。


調査方法: Google Cloud の委託により The Harris Poll が行った 2021 年の調査は、従事している州の正式な資格を持って患者の治療にあたっている家庭医療、一般診療、内科の専門医 303 人を対象に、2021 年 6 月 9 日~29 日の期間にオンラインで実施されました。2020 年の調査は、従事している州の正式な資格を持って患者の治療にあたっている家庭医療、一般診療、内科の専門医 300 人を対象に、2020 年 2 月 18 日~25 日の期間に実施されました。バーモント州で従事している医師は、調査から除外されました。このオンライン調査は確率標本には基づいていないため、理論上の標本誤差の予測を計算できません。重み付け、変数、サブグループのサンプルサイズなどの調査方法の詳細については、press@google.com にお問い合わせください。

-ヘルスケアおよびライフ サイエンス担当マネージング ディレクター Joe Miles

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