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Healthcare & Life Sciences

Healthcare Interoperability Readiness Program による医療の進歩

2020年12月7日
Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2020 年 12 月 1 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

2016 年末に制定された米国の法律 21st Century Cures Act(21 世紀の治療法)は、保険者、医療供給者、医療機関に患者データの相互運用性を義務付けています。規制の遵守日が迫るなか、医療機関はサイロ化されたシステムからデータを解放する方法に取り組んでいます。データの解放により、患者は自分のデータをよりきめ細かく制御できるようになり、医師は患者の状態をより完全に把握して結果を改善できるようになります。

そのメリットは多大です。しかし、お客様にお伺いすると、こうした新しい要件を満たす準備ができていると感じている医療機関は多くありません。それはなぜでしょうか。簡単に言えば、医療供給者や保険者はどこから手を付けたらいいのかわからないのです。また、最新のウェブ標準に基づいて構築されていないレガシー IT システムで重要なアプリケーションがいくつも実行されていると、目標が非常に困難に思えるかもしれません。

そこで本日、Google Cloud Healthcare Interoperability Readiness Program をリリースいたします。このプログラムは医療機関が以下を行えるように設計されています。

  • 現在の相互運用性の成熟度を把握する

  • 相互運用性を実現するための段階的なプロセスを計画する

  • 変化を乗り越え、アメリカ保健福祉省国家医療 IT 調整室(ONC)とメディケア メディケイド サービス センター(CMS)の新しい規則への準備を強化する

COVID-19(新型コロナウイルス感染症)によって、データ共有と柔軟性を強化することの重要性が浮き彫りになり、今後数年の間にデータの相互運用性とオープン標準の採用がさらに加速することが見込まれます。一連のケアを通しての新しい有意義なパートナーシップ、ビジネス成長のための新たな手段、患者中心のイノベーションの新しいアプローチが導入されることが理想的でしょう。

このプログラムは、お客様が相互運用性プロセスのどこにいてもニーズに対応し、カスタマイズされたサービス、テクノロジー、戦略でお客様を支援するように構築されています。Google は Bain & CompanyBoston Consulting GroupDeloitteHCL TechnologiesKPMGMavenWavePluto7SADA8K Miles Healthcare Triangle など、さまざまなコンサルタントや ISV パートナーと協力して、お客様の固有のニーズを満たし、今後の規制要件を満たすために必要な変更をサポートします。

相互運用性をどのように実現するか

相互運用性が、遠隔医療からアプリベースのヘルスケア エコシステムに至るまで、ヘルスケア変革の目標を達成するための基盤であるのと同様に、アプリケーション プログラミング インターフェース(API)は相互運用性の基盤です。API は数十年前から存在していて、異なるシステムの間でデータが流れるようにできます。従来の API はカスタマイズ統合プロジェクト用に設計されていましたが、最新の API はデベロッパーが簡単に使用できるように設計されていて、モバイル アプリケーションを構築するための標準になっています。

API 管理ツールは患者データとデベロッパーやアプリの間にセキュリティ ゲートウェイを配置し、データへのアクセスとデータの使用に対する患者の制御を保護するのに役立ちます。また、API 管理により、医療機関は医療データに関する同じような革新的なモデルを追求しながら、ガバナンスとセキュリティ制御を適用し、インフラストラクチャの複雑さを合理化して、規制の遵守や患者のプライバシーを維持できます。

API に加えて、FHIR などのオープンデータ標準の実装は、相互運用性に向けたもう一つの重要なステップです。Google は米国の保健福祉省(HHS)と緊密に連携し、テクノロジー業界全体とも協力することで、医療情報を電子的に交換するためのオープン標準をサポートし、データ プライバシー、セキュリティ、コンプライアンス、API 管理に対応するエコシステムを構築しました。

Google Cloud Interoperability Readiness Program はどのように役立つか

Google Cloud は医療データにまつわる摩擦を減らすために、API ベースのエコシステムとデータの相互運用性を長い間サポートしてきました。Healthcare Interoperability Readiness Program では、お客様がデータの現在のステータスとその場所を理解し、標準化と統合を目標とした計画を立てられるようにするだけでなく、安全性と信頼性に優れ、標準に準拠した方法でデータを利用できるように支援します。

このプログラムは相互運用性のための包括的な一連のサービスを提供します。以下はその例です。

  • HealthAPIx Accelerator: 相互運用性の実装をすぐに開始できるようにします。ベスト プラクティス、事前構築されたテンプレート、お客様とパートナーの実装から得られた教訓を使用して、医療機関とアプリ デベロッパーが FHIR API ベースのデジタル エクスペリエンスを構築するための青写真を提供します。

  • Apigee API 管理: 基盤を提供し、セキュリティとガバナンスのレイヤが API を提供、管理、保護、スケールできるようにします。パートナーとデベロッパー向けに、FHIR 対応の API を使用して公開します。堅牢な API 分析を構築し、デジタル ソリューションのロールアウトを加速します。

  • Google Cloud Healthcare API: 最新の FHIR 形式、HL7v2、DICOM でデータの取り込み、変換、調整、保存を行うするための安全な方法(匿名化を含む)を可能にし、セカンダリ縦断的データストアとして機能してデータ共有、アプリケーション開発、BigQuery による分析を合理化します。

  • 相互運用性ツールキット: ソリューション アーキテクチャ、実装ガイド、サンドボックス、その他のリソースなどが揃っていて、相互運用性の導入を加速し、FHIR R4 などの標準への準拠を合理化できます。

COVID-19 の教訓を振り返ると、復元性に優れた相互運用可能な医療インフラストラクチャを構築することは、より良いケアを提供するためのきっかけになるだけでなく、最低限必要なものでもあります。Healthcare Interoperability Readiness Program は患者データを解放し、一連のケア全体でよりアクセスしやすくするとともに、より現代的な API ファースト アーキテクチャで長期的な成功を収めるための組織を築くことを目的としています。Google は保険者、医療供給者、ライフサイエンスの関連組織が今回の変化を乗り越え、最終的には患者の命を救うお手伝いができればと考えています。

-Google Cloud 医療戦略およびソリューション担当グローバル ディレクター Aashima Gupta

-Google Cloud ビジネス アプリケーション プラットフォーム担当バイス プレジデント Amit Zavery

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