コンテンツに移動
顧客事例

ウイングアーク1st: 日本企業の 99% 以上を占める中小企業を元気にする「グロサポ」構築を Google Cloud が支援

2023年11月29日
https://storage.googleapis.com/gweb-cloudblog-publish/images/hero_image_wingarc1st_horizontal.max-2500x2500.jpg
Google Cloud Japan Team

帳票や BI で培った技術、知見を生かし、データの価値を最大化することで、ビジネスにイノベーションを起こし、世の中を変革させ、新しい未来を作っていく「The Data Empowerment Company」を目指すウイングアーク1st株式会社(以下、ウイングアーク1st)。Data Empowerment 事業の一環として 2023 年 4 月より提供を開始している中小製造業向け企業成長支援ソリューション「グロサポ」の開発、運用インフラとして Google Cloud を採用しています。このプロジェクトについて、Data Empowerment 事業部の担当者 にお話を伺いました。

利用しているサービス:
Cloud Storage, Cloud Functions, Compute Engine, BigQuery

利用しているソリューション:
Application Modernization

Manufacturing Data Engine の連携実績で「グロサポ」に Google Cloud を採用

帳票ツールの「SVF」 や「invoiceAgent」、 BI ツールの「Dr.Sum」「MotionBoard」などの中核製品により、企業のデータ活用を促進するウイングアーク1st。2015 年より、製造、金融、公共、ヘルスケア、それぞれの領域にフォーカスする部門を立ち上げ、各業種・業態向けの各種ソリューションを展開しています。その一環として 2023 年 4 月より、製造業向けの新規事業「グロサポ(Growth Support Service)」の提供を開始しています。

グロサポは、製造現場の設備に IoT センサーを設置して、設備の稼働状況のデータを収集、集計、加工し、そのデータを可視化することで製造現場の改善につなげるサービスです。「工場経営のオンライン家庭教師」というコンセプトに基づき、業務改善の支援策となる伴走型のリモート アドバイスもワンストップで提供します。

IoT に対応した工場の構築に強みを持つ住友電設株式会社がセンサー等の機器導入を行い、製造現場のデータ活用に強みを持つウイングアーク1stが見える化・分析システムの構築と運用を担当し、業務改善・改革のコンサルティングに強みを持つ株式会社テクノ経営ウェブソリューションズがデータを基にした改善活動を支援するリモート アドバイスを提供することが最大の特徴です。

https://storage.googleapis.com/gweb-cloudblog-publish/images/small_ITK2017_.max-2200x2200.jpg

グロサポ提供の背景を Data Empowerment 事業部 インダストリ事業開発部の塩崎 准氏は、次のように話します。「IT で使う言葉と製造現場で使う言葉には乖離があり、これがギャップを招いていると感じたことがありました。この課題を解決するためには、IT と製造現場の中間に位置する "翻訳家" が必要です。大企業には IT と製造現場の間の翻訳家はいるものの、中小規模の製造現場では、翻訳家を独自に採用して業務を改善することは困難でした。それを補完できるのがグロサポです。」

すでにグロサポを利用している中小の金属加工業の企業では、設備の稼働データの分析から改善までの取り組みを、2 週間に 1 回のリモート アドバイスでサポートすることで、導入 3 か月で段取り時間を 25% 短縮し、設備稼働率を 2 倍にするなどの直接的な生産性向上と、年間で 300 万円の費用改善効果が見込まれています。また、推進メンバーのスキルアップやノウハウの蓄積などの効果も上げています。

https://storage.googleapis.com/gweb-cloudblog-publish/images/small_ITK2103_.max-1600x1600.jpg

ウイングアーク1stでは、これまで事業の 95% 以上は、他社のクラウドサービスを利用して開発、運用をしていましたが、グロサポの提供にあたり、サービスの開発、運用インフラとして Google Cloud を採用しています。Google Cloud を採用した理由を、Data Empowerment 事業部 製造 DX 企画部部長の荏原 光誠氏は、次のように話しています。

「2022 年 10 月に MotionBoard と Google Cloud の Manufacturing Data Engine を連携した製造業向けソリューションを発表しました。そのときに Google Cloud の担当者との関係ができたので、新規事業では Google Cloud を利用したいと考えていたのです。またグロサポの立ち上げでは、何か面白いことをやってみたい、マルチクラウドの知見を得たいと思っていたことも採用の理由でした。初めての利用ということもあり不安はありましたが、Google Cloud の手厚いサポートがあったので、技術者が少なく、経験もないなかでも安心感がありました。」

グロサポの開発から運用までの内製化を Google Cloud で実現

グロサポの開発は 2022 年 10 月より検討を始め、Google Cloud 一択ではなく、ほかのクラウド サービスとも比較検討した結果、2022 年 11 月に採用を決定。2023 年 1 月末より導入を開始し、予定どおり 4 月にサービスインをしています。システム構成としては、まず工場の設備に設置された IoT センサでデータを収集し、Cloud Storage に取り込みます。次に Cloud Storage に蓄積されたデータを、Cloud Functions を使って Compute Engine 上で動いている 「Dr.Sum」 に取り込みます。「Dr.Sum」 に取り込まれたデータは、「Dr.Sum」 で集計、加工して、Compute Engine 上で動いている「MotionBoard」 で可視化する仕組みになっています。

https://storage.googleapis.com/gweb-cloudblog-publish/images/kurosahoTu.max-2200x2200.png
https://storage.googleapis.com/gweb-cloudblog-publish/images/uinkuaku1stYangshisutemuGouChengTu.max-1500x1500.png

今回、基本的な設計思想やインフラの設計、セキュリティ周りなどに関しては、Google Cloud とともに Google Cloud Partner である株式会社G-gen(ジージェン / 以下、G-gen)がサポートしています。塩崎氏は、「当初は Google Cloud に詳しいエンジニアが少なく、何が正しいか判断できないことも多かったのですが、Google Cloud や G-gen の担当者に問い合わせると、迅速かつ的確な回答をもらえたので安心して利用できました」と話します。

Google Cloud を採用した効果を荏原氏は、次のように話します。「Google Cloud の知見が少ない開発メンバーでプロジェクトをスタートし、約 3 か月という短期間で予定どおりサービスをリリースすることができたのは、Google Cloud の完成度の高さだと思っています。またリリース後の運用面ではトラブルがほとんどなく、もし何かあってもアラートで状況を把握できます。機能が充実しているので、開発から運用までを内製化できたのも Google Cloud のおかげです。」

初めての利用にもかかわらず、直感的に、違和感なく操作できたことも Google Cloud を採用した理由の 1 つとのこと。荏原氏は、「ID や権限に関して、これまで使ってきたクラウド サービスとは設定方法が違っていたので、理解するまでに少し苦労しました。しかし Google Cloud 担当者とのディスカッションにより、だんだんと理解が深まり、今となっては、サービスの連携は大きな課題ではなくなりました。振り返ってみると、Google Cloud の採用は、本当によい選択だったと思っています」と話します。

一方、塩崎氏は、「新しいサービスに関して、どんどんアップデートしてもらえるのが Google Cloud のメリットです。例えば、開発前に Google Cloud と G-Gen に実施いただいたハンズオンにより、Google Cloud の新しいサービスに触れることができ、今まで使っていなかった機能を実際に体験できたことも短期間での構築につながったと思っています。Google Cloud の採用は、単純な機能の優位性だけでなく、新しいサービス創出の気づきにも、ヒントにもなり、ビジネスとしての有益性にもつながりました」と話しています。

生成 AI 活用でリモート アドバイスの省力化や問い合わせの自動回答を検討

今後、グロサポでは、顧客のニーズに基づいた新たなサービスを展開していく計画です。また、工場の設備データやリモート アドバイスで培った知見やノウハウなど、グロサポに蓄積されたデータをいかに活用していくかも検討していきます。塩崎氏は、「今後、Google Cloud のサービスの組み合わせにより、もっと違った新たな価値を創出できるのではないかと試行錯誤しています。例えば、生成 AI を活用することで、リモート アドバイスの省力化や問い合わせに対する自動回答などの仕組みの実現が期待できます。そのために、Google Cloud の PaLM 2 や Vertex AI Search などを検証していく予定です。こうした面でのサポートを、 Google Cloud に望んでいます」と話します。

また荏原氏は、「ウイングアーク1stは、定量的なデータの活用は得意ですが、グロサポでは定性的なデータや活動データの利用が増えているので、その活用に関しても Google Cloud のサポートに期待しています。ウイングアーク1stの技術と Google Cloud のサービスを組み合わせることで、もっと面白い価値が生まれるのではないかと見込んでいます。現在、製造業に DX が必要な背景には生産性の低下があり、日本の製造業の社会課題をデジタルで解決したいと思っています。この取り組みは 1 社で実現できるものではなく、Google Cloud をはじめとするパートナーとの協業が不可欠です。今後も日本の製造業を元気にするサービスを提供していきたいと考えています」と話します。


https://storage.googleapis.com/gweb-cloudblog-publish/images/small_ITK2264_.max-2000x2000.jpg

ウイングアーク1st株式会社

2004 年 3 月創業。「情報に価値を、企業に変革を、社会に未来を。」というビジョンに基づき、帳票・文書管理事業の総合帳票基盤「SVF」、データエンパワーメント事業のデータ分析基盤ソリューション「Dr.Sum」を柱に、さまざまなデータをリアルタイムに可視化する情報 ダッシュボード「MotionBoard」などを提供。「相手の期待を超える結果を出し、信頼される。」企業の実現を目指している。

インタビュイー(写真左から)
・Data Empowerment 事業部 製造 DX 企画部 部長 荏原 光誠 氏
・Data Empowerment 事業部 インダストリ事業開発部 塩崎 准 氏


この記事の導入事例 PDF はこちらをご覧ください。
その他の導入事例はこちらをご覧ください。

投稿先