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顧客事例

株式会社パル:散在するデータの統合と可視化により 1 か月あたり 200 時間のデータ分析工数を削減

2021年9月29日
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Google Cloud Japan Team

婦人服や紳士服、雑貨などの企画から製造、販売までを事業として展開する株式会社パル。パルグループでは「一流になろう」というテーマに基づき、ブランドイメージや顧客満足度の向上につながる取り組みを推進。その一環として、散在しているお客様の趣味や購買履歴などのデータを統合するためのデータ分析基盤を Google Cloud で構築しています。このプロジェクトについて、WEB事業推進室の室長、および担当者に話を伺いました。

利用している Google Cloud ソリューション:

スマートアナリティクス

利用している Google Cloud サービス

Cloud StorageCloud FunctionsBigQueryLooker など

誰もが簡単にデータにアクセスし、意思決定ができる “データの民主化” を実現

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「優秀な店員であれば、お客様を見て、直感的、あるいは経験に基づいて、好みの商品を提供できます。しかし、すべての店員が同じような接客をできるわけではありません。そこで重要になるのが “データ” です。お客様の趣味や購買履歴などのデータを活用することで、お客様に最適な商品をリコメンドできます。」と話すのは、株式会社パル 執行役員 プロモーション推進部 部長 兼 コミュニケーションデザイン室 室長 WEB事業推進室 室長の堀田氏です。

株式会社パルは、アパレル ブランドの CIAOPANIC(チャオパニック)や mystic(ミスティック)、服飾雑貨ブランドの russet(ラシット)、生活雑貨ブランドの 3COINS(スリーコインズ)など、全国に 52 ブランド、926 店舗を展開(2020 年 2 月末現在)しているほか、オンライン ショップである PAL CLOSET(パルクローゼット)を運営する総合アパレル企業です。

WEB事業推進室では、各店舗に蓄積された履歴データや、オンライン ショップの販売データ、基幹システムの顧客データなど、約 10 種類のデータソースから必要なデータを統合し、顧客体験を可視化する仕組みを独自に構築。さまざまなシナリオを作成して、顧客ごとにマーケティング施策を実施していました。しかし、データが散在していること、データごとにツールの管理画面を使い分ける必要があることなどの課題がありました。

堀田氏は、「同じデータを可視化しても、ツールや担当者により結果が異なるので、意思統一が困難でした。散在するデータを 1 つに統合し、1 つのツールで全員が同じ KPI を見ることができれば、インサイトを見つけやすくなり、作業負荷も軽減され、マーケティング施策の精度の向上も期待できます。しかし現状では、どのツールも “データの民主化” を実現するためには機能が足りませんでした」と話します。

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 課題解決に向け、2020 年 10 月より検討を開始。Google Cloud の採用を決めた理由を、WEB事業推進室の阿部氏は、次のように話します。「KARTE Datahub によるデータ統合、および可視化の仕組みが、Google Cloud 上で構築されていたこと、KARTE Datahub と BigQuery を連携できる Datahub Direct Link が提供されていたこと、細かい権限設定ができることなどを評価して採用を決めました。」

データ収集から集計までを自動化し BigQuery に統合。Looker を活用した可視化によりインサイトを創出

Google Cloud を採用した新しいデータ統合、および可視化の仕組みは、まずは散在するデータを Cloud Storage に収集し、Cloud Functions を使って BigQuery に統合。BigQuery に統合されたデータは、Looker を使って可視化しています。

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「EC サイトで、いくら売れたとか、何が売れたなどの結果は把握しやすいのですが、結果に至るまでのプロセスや、複数設定されている KPI の分岐などを把握することが重要です。そのためには、さまざまなデータを収集し、集計しなければならないので、時間と工数のかかる作業です。そこで、データソースの収集から集計までを自動化し、1 つの画面で把握できる仕組みを作ることが必要でした。」(堀田氏)

Google Cloud を採用した最大の目的は、散在している業務データを整理して、1 つに統合することです。店舗データやウェブ上のデータをはじめ、さまざまなデータを収集し、1 つの画面に可視化することで、データ分析の高度な専門知識を持たない担当者でも、データを活用することができます。BigQuery による高速なデータ処理で、リアルタイムにデータを分析することも目的の 1 つでした。

堀田氏は、「Google Cloud を採用した仕組みは、WEB事業推進室はもちろん、実店舗側を管理しているブランド事業部でも有効に利用することができます。以前より、2 つの部署から同じデータを見て会話がしたいという要望があり、データを見て、この数字が出たらこのアクションをしてくださいと言える仕組みを作りたいと思っていました。その期待に応えられるのが、Google Cloud でした」と話しています。

最終的には AI / ML の活用で、より一層の顧客満足度の向上を目指す

導入の効果を阿部氏は、次のように語ります。「データ活用に関する日々の業務が、1 人あたり 30 分程度は短縮できていると思っています。現在、20 人程度が利用しているので、1 日 10 時間、1 か月あたり 200 時間の工数削減につながっていることになります。」

堀田氏は、「まだ、売り上げやプロフィットが見えるところまでは実現できていないのですが、日々データを参照するための工数の削減や作業負荷の軽減は実現できました。ROI も重要ですが、ウェブビジネスはゴールだけ見ていても何もわかりません。データを可視化して、プロセスを見ることが重要です」と話します。

たとえば、EC サイトに「この商品を出した方がいいよ」とか、「この写真変えた方がいいよ」とか、「コメント入れた方がいいよ」といったアクションは、プロセスを見ないと判断できません。どの商品を見て、どこを遷移して、どこで離脱したなどのプロセスを分析し、課題に対する施策を実施して検証し、さらに施策、検証を繰り返すという改善のサイクルを確立することが必要です。

堀田氏は、「EC ビジネスが急成長しているいまだからこそ、みんなが同じ数字を見て会話をし、施策の再現性があることを体感することが必要です。そのベースとなる仕組みとして、Google Cloud によるデータ分析基盤の構築は重要なプロジェクトでした」と話します。

Google Cloud のサポートについて阿部氏は、「細やかなサポートを提供してもらえました。問い合わせにも、迅速かつ丁寧に答えてもらえたので本当に助かりました。今後も、同様のサービスを期待しています」と話しています。

今後の展望を堀田氏は、「Google Cloud による、計画、実行、評価という、改善のサイクルが競争力になるので、今後はこの仕組みをさらに強化していきたいと思っています。また、改善のサイクルでは、人が考える部分と、システムに任せる部分があるので、システムに任せる部分をさらに自動化などで強化していきたいと思っています。」と話します。

こうした仕組みは、実店舗の管理者や経営層にも使ってもらうことが必要です。ただし、単に使ってくださいといっても、難しいので、数字の見方、数字の持つ意味などを理解してもらう啓蒙活動をしながら興味を持ってもらうことが必要になります。

堀田氏は、「まだまだ足りない機能があるので、今後さらに使いやすくしていくことが必要です。最終的には、AI や機械学習(ML)を使ってデータを分析し、お客様に最適な商品を提案できる仕組みを目指しています。ただし、やり過ぎると、逆に顧客満足度を下げてしまうので注意が必要です。『出る杭を引き上げる』社風のパルグループでは、こうしたバランス感覚を持ったエンジニアを求めています」と話しています。


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株式会社パル

「常に新しいファッション ライフの提案を通して社会に貢献する」という社是に基づいて、婦人服、紳士服、雑貨などの企画、製造、および卸・小売などの事業を、国内 8 社、海外 2 社のグループ企業で展開。アパレル、服飾雑貨、生活雑貨の分野で、52 ブランド、926 店舗を展開し、グループ全体の売り上げは、1,322 億円(2020 年 2 月末現在)。会社設立時より、「社員と株主みんなの幸せのための経営、そして未来につなげる社会と地球のための経営」というスローガンで、サステナブル経営にも取り組んでいます。

インタビュイー(写真右から)

・執行役員 プロモーション推進部 部長 兼 コミュニケーションデザイン室 室長
    WEB事業推進室 室長
    堀田 覚 氏

・WEB事業推進室
 阿部 知久 氏


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