メディコレ:マネージドの観点で優れた Google Cloud により、成長戦略に応じたシステム基盤を構築
Google Cloud Japan Team
専門医による医療健康情報安心化サービス「メディコレWEB」を展開する株式会社メディコレ(以下、メディコレ)。同社は、Google Cloud プレミア パートナーである株式会社トップゲート(以下、トップゲート)のサポートのもと、成長戦略のベースとなる基盤の構築に Google Cloud を採用。メディコレの IT 戦略の策定に関しても、トップゲートが出資も含めたスタートアップ支援によりサポートしています。両社の取り組みについて、メディコレの代表取締役、およびトップゲートの代表取締役 CEO に話を伺いました。
利用しているサービス:
Firebase Hosting、Cloud Run、Firestore、Cloud Storage、Firebase Authentication、Cloud Scheduler、Cloud Tasks、Cloud Build、Artifact Registry
利用しているソリューション:
将来的なデータ分析に期待して Google Cloud を採用
メディコレWEB は、医療健康情報を含むコンテンツを、第三者である専門医が「エビデンス」「医療現場での再現性」「表現の適切さ」の 3 つの項目で厳正に判定し、基準をすべてクリアしたコンテンツに対して、問題がないことを専門医が確認した認証マーク「メディコレマーク」を付与するサービスです。オプションで、コンテンツに掲載可能な専門医のコメントを取得することができます。これにより、医療健康情報を含むコンテンツを提供する企業は、安心で安全なメディア記事や プレスリリース、企業サイトのランディング ページ、顧客説明資料などをユーザーに提供することができます。
メディコレWEB を提供するに至った背景について、代表取締役である橋本 礼次郎氏は、次のように話します。「私は前職で放送事業者の番組制作者として、厚生労働省や医療機関に取材をしていました。その中で、コンテンツの『安心化のプロセス』と『安心の可視化』に課題を感じていました。例えば、医療健康情報を含むコンテンツを発信する場合、医師による確認が必要になることが多いのですが、1 件ずつ手作業で確認を行うことが必要なため、多くの人や時間のリソースが必要です。また、医師との人脈が豊富ではなかったので、専門医からの監修を受けることが困難でした。こうした課題を解決したいと思ったことが、メディコレWEB を提供するに至った背景にあります。」
橋本氏は「メディコレが社会に与えたいインパクトについて、4 段階で考えています。1 段階として、情報の安心化にフォーカスしてメディコレWEB を運営しています。2 段階として、情報の安心化を実現し、情報量も増やすことで、世の中のヘルス リテラシーの向上を目指しています。3 段階として、ヘルスケアのリテラシーを向上させることで行動変容を促し、健康寿命を最大化に貢献します。健康寿命を最大化することで、4 段階目では医療費の削減や幸福度の最大化することを目指しています」と話します。
メディコレWEB は、当初は他社のクラウド サービス上にプロトタイプが構築されていました。このプロトタイプは、最低限の機能を実装しているだけで、今後サービスを拡張していくことを考えると、パフォーマンスを十分に発揮できる環境ではありませんでした。
橋本氏は、「当初はプロトタイプをそのまま利用しようと考えていたのですが、将来的なことを考えてゼロから作り直すことを決めました。2020 年 10 月より検討を開始し、豊富なマネージドの機能により将来的な内製化までを確実に実現できること、将来的に蓄積されたデータのトレンド分析が期待できることを評価して Google Cloud を採用しました」と話しています。
Google Cloud で、安全、継続的、高速なデプロイ環境を実現
メディコレWEB の開発は、PM(プロジェクト マネージャー)を中心に、フロントエンド側のエンジニア 3 名、バックエンド側のエンジニア 2 名で推進しています。プロトタイプからのマイグレーションの検討は 2021 年冬からスタートし、4 月より Google Cloud を採用した開発を開始、8 月にロールアウトして、9 月にメディコレWEB のベータ版を公開しています。純粋なシステムの開発期間は約 5 か月でした。
ウェブシステムとしては比較的シンプルで、SPA で構成し、フロントエンドに Firebase Hosting、バックエンドに Cloud Run を採用しています。また、データベースに Firestore、ストレージに Cloud Storage を採用。認証基盤に Firebase Authentication、定期処理向けに Cloud Schedular、非同期タスク実行用に Cloud Tasks、デプロイ周辺に Cloud Build、および Artifact Registry を採用しています。
システム開発で工夫した点について、開発を支援したトップゲートの代表取締役 CEO である西海 孝氏は、「プロトタイプは、認証系がレガシーな作りだったので、運用時にお客様とのコミュニケーション コストがかかることが悩みでした。Firebase Authentication を採用し、ログイン リンク メールを自動送信するなどの工夫でコストを軽減しています。また Cloud Build、および Artifact Registry により、安全で継続的、かつ高速なデプロイ環境を実現し、状況に応じたシステムの柔軟性を担保できました」と話します。
「プロトタイプで利用していたオープンソースの RDB(リレーショナル データベース)を、Firestore に移行することで、高速でカジュアルに開発でき、スケーラブルな構成にできることが実績としてわかっていましたが、RDB の設計コンテキストの解釈にミスがあり、Firestore への移行時に少し苦労しました。Cloud Build、および Artifact Registry の組み合わせで構築したデプロイ系に安心感と速度があったので、実装、デプロイ、テスト、開発陣へのフィードバックのサイクルを高速に回せたことで、こうした移行時の課題にも対応できました。」(西海氏)
Google Cloud に期待する効果を橋本氏は、「Google Cloud は、マネージドの範囲が広いことと、データ分析に強みがあると思っています。データ分析に関しては、今後、十分なデータが蓄積できたら、安心で安全な情報かどうかを可視化するだけでなく、消費者や利用者のトレンドを Google Analytics で分析したいと思っています。一方、コンテンツ制作者が、現在どのようなトレンドで記事を書いているかを分析することで、どのようなデータをコンテンツ制作者に提供するとビジネスの成長につながるかを把握できます。そのためには、データ分析に強いプラットフォームである Google Cloud の利用が最適だと思っています」と話しています。
メディコレWEB との連携で新たな価値を生み出す好循環を目指す
今回、トップゲートにメディコレWEB 構築のサポートを依頼した背景について橋本氏は、次のように話します。「西海さんは、トップゲートの代表になる前から面識があり、トップゲートは Google Cloud のパートナーとしての経験や実績、ノウハウを持っていることからサポートを依頼しました。開発などの技術的な支援だけでなく、出資も含めた両社の連携のスキームや IT 戦略の策定、内製化の実現支援まで提案してもらえたので本当にありがたく思っています。」
一方、西海氏は、「ベンチャー キャピタルなどがスタートアップに資金を提供するように、システム開発ベンダーが開発リソースで支援する方法もあると考えています。トップゲートは、単なるシステム開発会社ではなく、悩みや課題を自分ごととして、事業をどのように成長させることができるか、システムの課題をいかに解決するか、お悩み相談からサポートしています。メディコレに関してもプロジェクトを必ず成功させる、事業をスケールさせるという気概で、開発メンバー 1 人ひとりが取り組んでいます」と話します。
トップゲートのサポートについて橋本氏は、次のように話します。「スタートアップとはいえ、ウェブサービスを提供している企業がいつまでもシステムを外注しているのはよいことではありません。そこで早期に内製化に移行することが必要です。ただ同時に、内製化について慌て過ぎる必要はないと思っています。トップゲートの支援が保険になっている間にしっかりとした体制を確立したいと思っています。今後、トップゲートには、新しいサービスの開発スケジュールや開発の順位づけなど含め、引き続き変わらぬサポートを期待しています。」
また Google Cloud に対する今後の期待について橋本氏は、「これから本格的な運用のフェーズに入っていきますが、機能に関しては満足しています。Google Cloud は、新しいプロダクトがどんどんリリースされるので、新しいプロダクトがメディコレWEB にどのようなメリットがあるのかといった情報や知見を提供してほしいと思っています。新しい機能やサービスが、メディコレWEB と連携することで、新たな価値を生み出していくという好循環を実現したいと思っており、そのためのサポートを期待しています」と話しています。
2021 年 5 月、情報安心化スタートアップとして設立。コンテンツ制作者と専門医が協力して安心できる医療健康情報を人々に届ける「メディコレWEB」を提供するほか、専門医キャスティングや専門医による事業開発 / マーケティング支援などを事業として展開。医療情報の確認作業のオンライン化、自動化によるデジタル トランスフォーメーションにより、安心・安全に利用できる医療コンテンツ制作の実現を目指している。
インタビュイー
・代表取締役 橋本 礼次郎 氏
(Google Cloud パートナー)
インタビュイー
・代表取締役 CEO 西海 孝 氏
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