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顧客事例

エムシーデジタル:BigQuery、Vertex AI などを駆使し、事業の最適化、自動化を実現する『産業 DX プラットフォーム』を構築

2023年1月27日
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Google Cloud Japan Team

三菱商事株式会社(以下、三菱商事)が、その DX 推進の要として現在急ピッチで開発を進める『産業 DX プラットフォーム』。これは、需要予測や流通管理など、事業の効率化や生産性向上に欠かせないノウハウを AI 技術などを駆使してプラットフォーム化し、あらゆる産業、あらゆる企業に提供できるようにしようというもの。その動作基盤に Google Cloud が採用された理由について、三菱商事 デジタル事業部長 飯田正生氏と、開発を担うエムシーデジタル株式会社(以下、MC デジタル)の皆さまに話を伺いました。

利用しているサービス:
BigQueryVertex AICloud DataflowCloud ComposerCloud StorageCloud FunctionsCloud Run など

利用しているソリューション:
AI と機械学習のソリューションGoogle Cloud のカスタマー データ プラットフォーム

Google Cloud の導入で高速な価値提供と横展開のしやすさを両立

五大商社のひとつとして知られる、三菱グループの大手総合商社、三菱商事。世界約 90 の国と地域に拠点を持ち、約 1,700 社の連結事業会社と協働しながらさまざまなビジネスを展開してきた同社は、さらなる生産性向上と持続可能な価値創造に向け、2022 年 7 月に DX 戦略推進組織として「産業 DX 部門」を新設しました。MC デジタルは、その DX 戦略の中核を担うべく 2019 年に設立されたテクノロジー カンパニーです。同社の役割について、飯田氏は次のように説明してくれました。

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「BtoB を主とする三菱商事の事業において、サプライチェーン運営の最適化、自動化は避けては通れない大きなテーマのひとつです。そうした中、MC デジタルに求められているのは、これまで人が行ってきた意志決定を AI を含めたITに切り替えていくことと、それによって事業をさらに高度化させていくこと。MC デジタルと三菱商事は各産業のさまざまな DX を推し進めながらこれらに共通する課題を抽出し、事業の効率化や生産性向上などに資する共通の機能を提供する『産業 DX プラットフォーム』を構築することで、産業・社会課題解決を目指しています。」

『産業 DX プラットフォーム』とは、産業の効率化や付加価値向上に資する機能を、三菱商事がこれまで培ってきたナレッジを元に AI を筆頭とした先進デジタル技術に落とし込み、企業の垣根を越えて提供するプラットフォームのこと。業界や企業ごとに異なる開発内容を最小化することで、高速な価値提供と、社内での横展開のしやすさを何より重視して開発を進めています。

MC デジタルでデータ サイエンティストと共にその開発に従事し、データ パイプラインの設計開発からインフラ構築までを担当した同社エンジニアのアダム・ムアー氏、廣津 雅章氏、米倉 遼太氏は、AI モデル構築のためのデータ受領から予測結果のデリバリーまで、『産業 DX プラットフォーム』の全てのフェーズに Google Cloud が使われていると言います。

「『産業 DX プラットフォーム』は、当初からあらゆる産業やビジネスモデルに対応できることを目標に掲げていましたが、そのためにはそれぞれの実業務への適用をいかに "安く・早く・上手く" 進めるかが肝要です。しかもこうした仕組みはシステムを納品したら終わりではなく、構築したシステムを継続的に改善して顧客ビジネスをアップデートできる必要があります。そのためには開発と検証をシームレスに繰り返していける環境が必要でした。」(廣津氏)

「数ある選択肢の中から Google Cloud を選んだのは、データ サイエンティスト側から強い要望のあった BigQuery を中心とするデータ管理機能が充実していたから。また、Google Cloud であれば、BigQuery や Vertex AI を利用し、データ サイエンティスト主導でデータ取得、特徴量エンジニアリング、モデル作成、予測、のサイクルを回して、予測精度の検証を行い、その検証結果を本番サービスに継続かつ容易にインテグレーションすることができます。」(ムアー氏)

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「インフラ目線では顧客から連携される機密性の高い業務データを管理するにあたり、セキュリティを担保しながらスケールするデータ基盤を構築する必要があったのですが、マネージド サービスの充実した Google Cloud ならば開発・運用に抱えるコストを抑えながら本質的な機能の開発に集中できるというメリットが生まれます。」(米倉氏)

Cloud Composer や Cloud Dataflow を活用し効率的な開発を実現

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『産業 DX プラットフォーム』では上図のようなシステム構成で顧客データを元にした AI モデル構築を行っています。前述の通りマネージドサービスを積極的に導入することで、開発を効率的に進められるようにしていることが大きな特長です。

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「顧客からのデータ提供などといったイベントの処理に Cloud Functions を、スケジューリングに Cloud Composer をといった具合に、さまざまなコンポーネントを活用しています。データ パイプラインの設計には Cloud Dataflow を活用。複雑なデータ パイプラインを分割してステップ単位で開発・テストできるので、効率的に作業を進めることができました。」(ムアー氏)

「特に Cloud Composer は運用の効率化にものすごく役立ちました。Cloud Dataflow では、常時 10 くらいのパイプラインを動かしているのですが、ある処理が終わったら次はこの処理をといったかたちで効率的に自動化することができました。これは Cloud Dataflow 単体では難しかったと思います。」(廣津氏)

「そのほか、Cloud Run、Cloud Scheduler を使って定期的に BigQuery にインポートを走らせたりといったこともやっています。Cloud Run はどんなコンテナ イメージでも実行できるのが便利で、使い勝手もよく気に入っています。」(米倉氏)

『産業 DX プラットフォーム』の実運用は 2022 年からスタート。まずはグループ内の食品会社と連携するかたちで食品流通における需要予測の AI モデルを作成することで受発注や在庫の最適化するという取り組みを手がけました。

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「この事例では、『産業 DX プラットフォーム』の導入によって顧客のレガシーなシステムをリプレイスするという目標を達成でき、物流センターの在庫削減などに大きく貢献しました。その後、AI 技術を駆使した車両動態管理・ルーティング技術によってドライバー不足に悩まされている物流業界のための流通最適化などにも取り組み、こちらも満足できる成果を挙げています。現在は、そうした成果を次の取り組みにフィードバックしながら適用範囲を拡大中。横展開していくことで "プラットフォーム" に育てて行こうとしているところです。」(廣津氏)

「とは言え『産業 DX プラットフォーム』の取り組みはまだまだ始まったばかり。今日明日でできあがるものではなく、長い時間をかけて磨き上げていくものです。今後も、そうした取り組みの中でナレッジを得ながら、そして社会に貢献しながら完成を目指していきたいと考えております。将来的には日本発の AI プラットフォームとして海外のさまざまなお客さまに使ってもらえるようになれば、これほどうれしいことはありません。そして、Google は私たちの志を実現するために欠かせないパートナー。Google Cloud を利用することにより、最小限のコストで最新テクノロジーのメリットを享受することができました。今後も先進的な機能・サービスを提供していってくれることに期待しています。」(飯田氏)


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エムシーデジタル株式会社

三菱商事 100 %出資によるテクノロジーカンパニーとして、2019 年 9 月に設立。三菱商事が手がける全産業を対象に、最新テクノロジーを駆使した課題解決を図る。ミッションは「テクノロジーでビジネスモデルをアップデートする」。

三菱商事株式会社

商品・サービスの輸出入、販売から、資源開発、エネルギー開発、都市開発などまで、ありとあらゆる産業を手がける「総合商社」。三菱グループの中核企業のひとつとしても知られており、多くの傘下企業と共に幅広くビジネスを展開している。

インタビュイー(写真右から)
三菱商事株式会社
・デジタル事業部長 飯田 正生 氏

エムシーデジタル株式会社
・Software Engineer アダム・ムアー 氏
・Software Engineer 米倉 遼太 氏
・Software Engineer 廣津 雅章 氏


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