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顧客事例

LINEモバイル株式会社:Google Cloud 上にプライベート DMP を構築。マーケティング戦略の最適化をデータで支援

2020年9月25日
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Google Cloud Japan Team

顧客とのタッチポイントが多様化・複雑化していく中、これまで以上に注目を集めているプライベート DMP。データドリブンなコミュニケーションの最適化は多くの企業にとって避けては通れない課題となっています。今回紹介する LINEモバイルも、そんな課題を解決するためにプライベート DMP を立ち上げた企業の 1 つ。ここではそれをほぼ独力で Google Cloud 上に構築したと言う同社システム開発室データサイエンティストの土居啓司さんに、その工夫と苦労を語っていただきます。

利用している Google Cloud サービス:BigQueryCloud StorageデータポータルAI Platform など

Google Cloud なら小規模かつ低コストにプライベート DMP を始められる

IT 活用に長けた先進企業が入り乱れ、熾烈な顧客獲得合戦を繰り広げる携帯電話市場。その中で勝ち残るためには迅速で的確なマーケティング活動が必要不可欠です。しかし、2019 年初頭の LINEモバイルのマーケティング戦略には大きく 3 つの課題があったと、同社システム開発室データサイエンティストの土居さんは当時をふり返ります。

「1 つ目はデータドリブンな PDCA が十分に回せていないこと。当時の LINEモバイルは、LINEモバイル公式アカウント情報、サイト内行動ログ、そして LINEモバイル契約者情報の 3 つをデータソースにマーケティング活動を行っていたのですが、それぞれの担当者がデータソースごとに異なる分析ツールを使ってアウトプットを行っていたため、その共通言語化がなされていなかったのです。」(土居さん)

結果、分析結果に対する認識の齟齬が発生。本来、力を入れるべきプランニングのための時間が失われてしまうという問題が発生していたそうです。

「2 つ目の課題はカスタマー ジャーニー(商品の『認知』から『購入』に至るプロセス)を正しく把握できていないこと。それまではコンバージョン(成約)に至ったラストセッション ベースでの評価しかできておらず、お客さまがそれまでに何回サイトに来てくださったのか、訪問初日から何日かかったのかなど、深掘りした分析に有用な情報が取得できていませんでした。」(土居さん)

そして 3 つ目がリード ナーチャリング(見込み顧客育成)ができていないこと。一般的なマーケティングでは、顧客の意識の遷移を『認知』→『興味・感心』→『比較・検討』→『購入』の 4 段階からなる購買ファネルに当てはめ、それに合わせた訴求を行っていくのですが、プライベート DMP 導入前の LINEモバイルはそれができていませんでした。

「本来であれば、各段階によって異なる訴求を行うべきなのでしょうが、当時はそれができていなかったため、すべての段階のお客さまに、購入段階にいるお客さまを対象とした獲得系のキャンペーンを当てるというようなことをしてしまっていたのです。」(土居さん)

そこで 2019 年 5 月、土居さんはこうした 3 つの課題を一気に解消すべくプライベート DMP の構築を社内で提案。そのプラットフォームとして Google Cloud を選択しました。

「さまざまな選択肢がある中、あえて Google Cloud を選んだのは、第一に小規模かつ低コストでの実現が可能であったから。もちろん、BigQuery の高いパフォーマンスも魅力的でした。また、先ほどお話したデータソースの 1 つであるサイト内行動ログの取得に Google アナリティクスを使っていたため、その生データを直接 BigQuery にエクスポートできるというのも大きかったです。加えて、データポータルという無料で使える BI ツールがあること、Google 広告とスムーズに連携できることなども Google Cloud 導入を後押ししました。」(土居さん)

なお、導入に際しては個人情報を扱うということでセキュリティ面も重視。Access Context Manager でリクエスト属性に合わせて定義したアクセスレベルを、VPC Service Controls で BigQuery などの各プロダクトに適用することで、社内規定をクリアするセキュリティを実現することができたと言います。

プライベート DMPで当初の課題をクリア。さらなる課題解決への期待も高まる

こうしてできあがったプライベート DMPのシステム構成は下図の通り。まず、これまで大きく 3 箇所に分散していたデータソースを BigQuery 上に集約することで、定型レポートやアドホック分析などはすべてここで行えるようにしました。BI ツールもデータポータルに統一し、可視化・分析しやすい環境を整えています。また、リード ナーチャリング推進の要となる顧客セグメンテーションは、BigQuery に蓄積されたデータを元に機械学習で実施。最終工程となる広告配信については、BigQuery から Google アナリティクスに対して、Measurement Protocol を使ってリクエストを投げることで、Google 広告から該当セグメントに対しての広告配信ができるようにしています。

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「これまで一部のデータについてはローカルのスプレッドシートで可視化・分析するという手間をかけていたのですが、プライベート DMP 導入後はすべてデータポータルでダッシュボード化。会社全体で共通認識をもった KPI 指標を定点観測できるようになり、PDCA で言うところの Check(評価)から Action(改善)の精度が向上し、本来時間を割くべきだった Plan(計画)に注力できるようになりました。また、カスタマー ジャーニーの把握についても、アトリビューション分析を含め、さまざまな角度からの分析が可能になりました。」(土居さん)

3 つ目の課題であるリードナーチャリングの推進には AI Platform を駆使。Google 広告と適切な連携をするにあたり、顧客が購買ファネルのどの段階にいるのかを特定するために機械学習を利用しています。

「具体的には Google アナリティクスのログ情報を教師データとして機械学習を行い、未知のユーザーに対してコンバージョン確率を予測するということをやっています。そして、このコンバージョン確率が低い方=『購買』段階から遠い方が、『認知』『興味・感心』層なのではないかという仮説を立てて、これを検証。コンバージョン確率 10~50 %の方々に、『1 万円割引!』といった『購買』層に向けたクリエイティブではなく、『毎月のスマホ代を半額以下にする方法とは?』といった『認知』『興味・感心』層に向けたクリエイティブを当ててみたところ、コンバージョン確率 50~100 %(『購買』段階にいると想定)と比べてとてもよく反応しているということが分かりました。引き続き検証中ではあるのですが、その結果次第では、コンバージョン確率が、購買ファネルの段階を示す、定量化された情報と見なせるのではないかと考えています。」(土居さん)

2020 年 1 月から部分的な利用を開始後、3 月から本格的な運用がスタートした LINEモバイルのプライベート DMP。土居さんが Google Cloud に関する導入支援を積極的に行うことで徐々に評価が向上。現在では同社のマーケティング戦略に欠かせないツールになっています。

「現在は、プライベート DMP で推測したユーザー セグメントを元にしたリード ナーチャリングを、Google 広告だけでなく、LINE アプリの LINE 公式アカウントからも推進できないかを検証中。LINE 公式アカウントはお客様へのアプローチがプッシュ型でできるので、マーケティング上とても強力な武器になります。これが有効であることがわかれば、プライベート DMP の価値がさらに大きなものになると期待しています。また、さらにその先の展望としては、AI Platform でユーザーの解約の予兆を定量化し、先手を打った解約抑止ができないかを考えています。ちなみに、プライベート DMP の立ち上げを受けて、最近は他部署から Google Cloud を使いたいという相談を受ける機会が増えました。社内に潜在的なニーズがあったということでしょう。今後は他の部署でも活用されていくことになりそうです。」(土居さん)


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システム開発室データサイエンティスト 土居 啓司 氏

LINEモバイル株式会社
LINEモバイル株式会社が運営する MVNO(仮想移動体通信事業者)事業「LINEモバイル」は、「LINE」をはじめとする主要 SNS や音楽サービス「LINE MUSIC」のデータ通信量がカウントされず使い放題となるデータフリー機能のほか、分かり易く、ユーザーごとの利用動向やニーズに合ったプラン展開が特徴。2016 年 9 月のサービス開始以降、料金プランのシンプルさ、コスト パフォーマンス、充実したカスタマー サポートなどが支持されている。


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