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顧客事例

グリー株式会社:最新ゲームタイトル『AFTERLOST - 消滅都市』に GKE を活用。開発の自由度とスピード感をアップ

2020年4月10日
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Google Cloud Japan Team

「インターネットを通じて、世界をより良くする。」というミッションを掲げ 2004 年に創業したグリー株式会社。世界初のモバイル ソーシャルゲーム『釣り★スタ』を 2007 年に公開して以降、ゲーム事業をはじめ広告・メディア事業、ライブ エンターテインメント事業の 3 本の柱を中心にサービスを提供しています。昨年の 6 月にゲーム事業の人気シリーズの 1 つである『消滅都市』の最新作『AFTERLOST - 消滅都市』が リリースされました。そこでは Google Cloud がどのように活用されているのでしょうか。

利用している Google Cloud サービス:Google Kubernetes EngineCloud SQL など

運用安定性などを考慮し Google Kubernetes Engine を採用

グループ全体でおよそ 1,700 名のスタッフを抱え、半数の人員がゲーム事業に従事しているというグリー。中でも人気タイトル『AFTERLOST - 消滅都市』の開発チームは約 50 名という大規模な構成となっています。その開発において、新たな挑戦となったのがコンテナ技術の本格活用でした。なぜコンテナ技術を導入したのか?同社インフラストラクチャ部の堀口真司さんと Technology Development 部 の小山内幸一さんは次のように説明します。

「これまで弊社では、我々インフラストラクチャ部が用意した仮想マシンを開発チームに使ってもらうというかたちでゲームの開発を行ってきました。これをコンテナに切り換えることで、開発チームの自由度上げたいというのが今回の狙い。従来とは逆に、開発チームが使いたいミドルウェアや OS を準備してもらい、インフラストラクチャ部はそれをサポートするというかたちにしたかったのです。」(堀口さん)

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「今までは仮想マシンの構成をカスタマイズしたいと思ったとき、その都度インフラストラクチャ部に相談・申請せねばならず、手間と時間がかかってしまっていました。コンテナ化すれば、そうした申請が不要で、手早く新しい技術を試し、上手くいったらそのままデプロイして……ということが可能になります。エンジニアとしても気になる新技術を試しやすくなるのがうれしいところですね。」(小山内さん)

そして 2018 年春、コンテナ技術を利用する形で『AFTERLOST - 消滅都市』の開発がスタートします。さらに今回は、当初利用されていたプラットフォームのコンテナ オーケストレーション サービスから、Google Kubernetes Engine(GKE)への切り換えがおこなわれました。

「切り換えを提案したのはインフラストラクチャ部でした。グリーでは約 2 年前に別のプロジェクトで GKE を導入したことがあったため、実際の運用においては馴れている GKE の方が不安が小さかったのです。なにより、コンテナは移植性に優れているので、いざとなったら元の環境に戻ることもできます。実はそんな、ややふんわりした気持ちで、2018 年の秋ごろから GKE 上での開発を始めてもらいました」と堀口さんは笑います。

「もちろん技術的にも Google Cloud Platform(GCP)のことは評価しており、例えば GKE と Stackdriver と組み合わせてモニタリングを効率化できることや、Cloud Shell のようなユーザー フレンドリーな部分は運用効率を高めてくれるだろうと期待していました。」(後藤さん)

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「GKE はスケールの速度が速いので、イベントなどでユーザーが急増することがあっても、こちらから何かをする必要はありません。従来は運営側とあらかじめ密接なコミュニケーションを取る必要があったのですが、『AFTERLOST - 消滅都市』ではごく初期を除き、自由にやってもらっています。」(小山内さん)

今後は、ゲーム以外のサービスにも GCP 活用を拡げていきたい

そこからの開発は極めて順調で、翌 2019 年 1~2 月には本番環境がほぼ完成。本番試験、チューニングを経て、同年 6 月に無事サービスインすることができました。

「開発チームのほとんどのメンバーが GCP を初めて使うという中、チュートリアルやドキュメントがしっかりしていたこともあり、本当に順調に開発が進んでいきました。また、開発チームメンバーがインフラの全体像を意識できるようになったという副次的な成果もありました。なお、開発・運用に際しては、Google Cloud のサポートチームとは密接なやりとりをさせていただいており、最近では Cloud Spanner など、今後のさらなる使いこなしに向けた勉強会なども開いていただいています。」(堀口さん)

さらに GCP を導入したことによって、全世界向けのサービスをシングル リージョンで提供できたことも、大きなメリットだったと堀口さんは言います。

「グリーのゲーム作品はグローバル展開されるものも多く、『AFTERLOST - 消滅都市』も全世界で同時リリースされています。その際、これまではアジア、US、ヨーロッパの 3 リージョンに環境を持つことが多かったのですが、GCP はネットワークが非常に高速で、東京リージョンだけで全世界をカバーできることが分かりました。実際、ブラジルなどからも問題なく遊べるレスポンスを実現できています。これができるとサーバー代が単純計算で 3 分の 1 になりますから、コスト的に非常にありがたいですね。」(堀口さん)

「開発チームとしてもデプロイが 1 度で済むのでとても助かります。」(小山内さん)

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その後も現在に至るまで目立ったトラブルは起きていないという『AFTERLOST - 消滅都市』。この成功を受け、堀口さんは「今後、GCP の利用が増えていくのはもはや既定路線でしょう」と言います。

「インフラストラクチャ部としては、今後、ゲーム以外の開発にも GCP を使っていきたいと考えています。具体的にはグループ会社の株式会社 Wright Flyer Live Entertainment でやっているような、プラットフォーム系のサービスを GCP でマイクロサービス的に作っていきたいですね。また、分析系の部署からは BigQuery などを使いたいという声も上がってきています。」(堀口さん)

「ゲーム以外の用途に拡がっていくのなら、個人的には Istio を使ってみたいです。サービスメッシュはモニタリングの観測点が増えるので、そのあたりをより効率的なインフラ運用に活用できるのではないかと期待しています。」(後藤さん)

もちろん、今後のゲーム開発においても GCP をさらに活用していくのは間違いないとのこと。特に Cloud Spanner には、多くの可能性を感じているそうです。

「サーバー エンジニアとしては、やはり Cloud Spanner が気になります。大規模ゲーム開発で大きな課題になるデーベース関連のやっかいな問題が解決できるのではないでしょうか。」(小山内さん)

「大規模ゲームではデータベースが複数に分かれており、それをまたいだトランザクション処理が行えません。もちろん解決法はあるのですが、我々のゲームではその辺りを割り切って、やらない前提で開発をしてもらっています。それを、Cloud Spanner の導入で統合できるのであれば、もっとアグレッシブな実装もできるようになるでしょう。ユーザー間で強いインタラクションを持たせるようになることで、ゲーム性自体が変わって行く可能性を感じています。」(堀口さん)


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(写真右から)

  • インフラストラクチャ部 リードエンジニア 堀口 真司 氏

  • Technology Development 部 シニアエンジニア 小山内 幸一 氏

  • インフラストラクチャ部 シニアエンジニア 後藤 康路 氏

グリー株式会社

グリー株式会社は「インターネットを通じて、世界をより良くする。」というミッションを掲げ 2004 年に創業。世界初のモバイル ソーシャルゲーム「釣り★スタ」を 2007 年に公開して以降、ゲーム事業をはじめ広告・メディア事業、ライブエンターテインメント事業の 3 本の柱を中心に、昨日よりも今日、今日よりも明日を豊かにしていくためのサービスを作っていくことを目指しています。従業員数はグループ全体で 1,712 名(2019 年 12 月末時点)。


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