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日用品

Reckitt: Google Cloud で消費者インサイトを変革する

2023年11月10日
Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2023 年 10 月 27 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

Reckitt は、より清潔で健康的な世界を絶え間なく追求するなかで、人々を守り、癒し、育むことをその存在意義としています。Reckitt は、質の高い保健衛生を享受することは特権ではなく権利だと考えているため、Reckitt を必要としている世界中の人々に商品をお届けできるよう、たゆまぬ努力を続けています。Reckitt が事業を展開する市場ではニーズがそれぞれ大きく異なる場合があるため、地域ごとに消費者を理解し、その地域に合ったキャンペーンを実施する必要があります。そのため、関連する消費者データの取得と活用が必要になります。あらゆる人にあらゆる場所で必要な保健衛生用品をご利用いただけるよう、各地域のマーケティング チームと e コマース チームは、Reckitt が事業を展開している各市場について、関連するデータ分析情報を必要としています。

課題: 断片化されたデータを取り巻く状況への対応

Google Cloud を利用して消費者データ エコシステムを構築する前は、地域的な分析情報を取得することや、構築後のような水準のデータレポートを作成することは困難でした。特定の市場、ブランド、ビジネスの各側面に関する優れた分析情報はありましたが、消費者データベース間でデータが断片化されていたため、ビジネス全体でデータポイントを接続して、お客様、キャンペーン、市場を包括的に確認できるようにすることは不可能でした。また、有効化データが販売データとは独立して保存されていたため、マーケティング キャンペーンの効果も把握しづらくなっていました。

統合された顧客データを使用して関連するユーザーのターゲティングを行う

Reckitt は、消費者データを効果的に活用するために、より統合されたアプローチを必要としていました。Reckitt は Google Cloud パートナーの Artefact と協力して、オーディエンスの有効化を支援するよう設計された Audience Engine と呼ばれるものを構築しました。Audience Engine は Ads Data Hub を利用してウェブサイトのようなさまざまなソースの消費者データを BigQuery に統合するもので、これにより、Reckitt のサイトを経由する消費者の購入経路を以前よりはるかに詳しく分析できるようになりました。また、Audience Engine は、Vertex AI の力を借りてどのユーザーがどの商品の市場にいるかを示すモデルを構築し、類似オーディエンスを作成して、関連するチャネルでより多くの消費者に適切なメッセージを送れるようにしました。より多くのデータをエンジンに取り込めば取り込むほどモデリングの精度が高まり、マーケティング リソースをより効果的に活用できるようになります。その結果、キャンペーンにもよりますが、ROI が平均して 20~40% 段階的に増加しています。

Audience Engine がいかに優れたツールであるかを認識しさえすれば、Responsible Consumer Data Principles(責任ある消費者データ原則)に引き続き忠実でありながらも、Reckitt の消費者マーケティングを支えるすべての消費者データを、Google Cloud を利用して新たに構築された上述の消費者データ エコシステムに移行すべきであることは明白でした。

過去のデータを使用して将来のキャンペーンの結果をモデリングする

移行は 2022 年末に開始されたため、データ変換はまだ初期の段階ですが、マーケティング業務の効率化に役立つ効果的なツールの構築はすでに始まっています。

マーケティング ROI モデリング ツールがその好例です。このツールを使用すれば、マーケティング キャンペーンを実施する前にその効果を予測できます。過去のマーケティング データを BigQuery に統合すると、計画している特定のキャンペーンの予想される結果をモデリングし、必要な分析情報を取得することで、キャンペーンを実施する前にマーケティング チームがキャンペーンを調整できます。これにより、キャンペーンの規模の拡大に合わせて ROI を向上させることができます。繰り返しになりますが、以前はデータベース間でデータが断片化されていたため、このような分析は不可能であり、メディア費用のターゲットを効果的に設定することは困難でした。

キャンペーンのパフォーマンスをほぼリアルタイムで分析する

すべてのデータを BigQuery で管理することで、マーケティング パフォーマンスに関するレポート作成もはるかに効果的になりました。また、クリック単価から ROI まで、メディア部門があらゆるパフォーマンスを分析できる分析ツールを提供できるようにもなりました。

こうした分析情報により、Reckitt のチームはメディア費用を最適化したり、コンプライアンスを確保したりできるだけでなく、キャンペーンのパフォーマンスをほぼリアルタイムで把握できます。その結果、数日ではなく数時間でキャンペーンを調整するなど、迅速な対応が可能となります。

データドリブンな組織になる

Google Cloud に移行する消費者データが増えるにつれて、私たちは働き方に変化が生じていることに気付きました。Reckitt は新しいことをより迅速に試せるようになりました。Audience Engine があれば新しいアプローチのテストに 1 か月もかからないからです。よりアジャイルな方法で革新的なツールやプロダクトを構築し、目的を達成するために Google Cloud ソリューションをより創造的に活用しています。結果として、実験と学習を迅速に実行できるようになったと感じています。

たとえば、Reckitt は現在、予測 / 測定マーケティング ソリューション向けに Google Cloud を使用した高度なソリューションを構築し、社内でそうした機能を習熟させるのに役立てています。

Google Cloud に Reckitt の消費者データをすべて統合することで、Reckitt は求めていた基盤を手に入れました。データの完全な民主化にはまだ時間がかかりますが、このバックボーンにより、最終的には Reckitt の全部門、特に地域のマーケティング チームと e コマース チームが必要なときにいつでも関連データにアクセスし、そのデータを理解し、活用できるようになり、ひいては情報に基づいたタイムリーなビジネス上の意思決定ができるようになっていくでしょう。言葉を換えるなら、現地のチームが現地の市場に固有のデータに基づいて意思決定を行えるようにすることで、世界のどこにいても、保健衛生用品を必要とする人々の手により多くの商品を届けることができるようになります。

-Reckitt、技術&デジタルおよびマーケティング& eRB 担当グローバル責任者 Bastien Parizot 氏

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