Google Cloud Cortex Framework で SAP 日用品（CPG）企業のビジネスを加速

※この投稿は米国時間 2022 年 9 月 29 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

変化の激しい日用品（CPG）業界で成果を収めるには、ビジネスのアジリティとデジタル イノベーションが不可欠です。競争力の維持を目指してデジタル トランスフォーメーションを加速する必要がある CPG 企業にとって、費用圧力、需要の高まり、顧客からの新たな期待が大きな打撃となっています。Google Cloud には、こうした重大な課題に対処する CPG 企業向けのソリューションを提供してきた長い経験があります。

こうした業界の転換点に加え、CPG 企業のお客様は大量のデータを解析して理解するという課題にも直面しています。これらのデータは多くの場合、組織内外に散在するさまざまなソース内でサイロ化されています。このようなデータをつなぎ合わせ、外部のシグナルを使って拡充し、市場の需要やディスラプションにもっと効率的に対処できる優れた分析情報や予測を得なければなりません。

こうした課題に対処し、機会を活用するために Google Cloud Cortex Framework を活用できます。このフレームワークはリファレンス アーキテクチャ、パッケージ化されたソリューション コンテンツ、デプロイメント アクセラレータを備えているため、組織は分析情報をすばやく取得し、Google のデータクラウドによって価値実現までの時間を短縮できます。CPG ソリューションは Cortex Data Foundation を基に構築されており、SAP データをトレンドや天候といった他の主要データセットと組み合わせて、サプライ チェーン全体で共通する課題を解決します。本日、Google は新たな事前定義済みの分析コンテンツを発表いたします。これは、Google の最近のコンテンツ リリースに基づく CPG 企業向けのパートナー ソリューションをさらに拡張するものです。

需要予測 - 需要をはっきりと把握する

CPG 企業は、過去の売り上げなどのデータを利用して数週間、数か月、または数年先までの需要を予測しています。ここで大きな課題となっているのは、生産から納品までのスケジュールの中で、市場で生じる予期しない変化や移り変わりを素早く検出し、それに対処することです。ビジネスの費用を削減して収益性を最大限に高めるには、正確な需要計画が不可欠です。しかし天候の急激な変化や消費トレンドの変動が生じたり、マーケティング活動によって需要の急激な増減が発生した場合、計画はどうなるでしょうか。このような新しいシグナルは需要計画に大きく影響するにもかかわらず、現在のモデルには反映されていません。供給に合わせて需要を適切に調整するには、短期的な需要の変化を見つけることが極めて重要です。優れたビジネス機会を発見するための第一歩は、データを組み合わせて、過去の売り上げだけでなくさまざまなシグナルを理解することです。

Google Cloud Cortex Demand Sensing は、CPG 企業のお客様が需要を正確に把握して計画するのに役立ちます。SAP ERP、Google、サードパーティのデータが統合されるので、需要計画担当者は最新の市場シグナルに基づいて、先を見越した意思決定を行うことができます。Cortex Demand Sensing では、Google の優れたデータ クラウド サービス（BigQuery、Vertex AI、Looker のビジュアリゼーション機能など）を含む、最新のクラウドベース ソリューションをすぐに利用できます。Google の新しいソリューション アクセラレータ コンテンツでは、顧客の特徴、売り上げを促進している商品属性、需要に影響を及ぼす可能性のある要素を把握できます。このソリューションに含まれるサンプルデータ、事前定義済み分析機能 / 機械学習モデル、Looker ダッシュボード テンプレートによって分析情報が提供され、需要に影響がある場合はアラートが速やかに送信されます。SAP と SAP 以外のデータセットを統合することで、このソリューションは需要の推進要因すべてを包括的に把握できるようにし、組織の機敏性を高めます。

異常気象や検索トレンドといった追加的な需要シグナルとコンテキスト データを使って需要計画を補完することにより、CPG 企業は、予測に影響を与えて在庫維持費用を低減する要素をより正確に把握できるようになります。また、近い将来の需要の調整と管理が改善されるため、売り上げの増加につながります。

Google Cloud は現在の需要予測における課題を理解しており、全世界の CPG 企業のお客様がすばやく分析情報を取得して精度を高められるようにするためのプロダクトとソリューションを開発しています。また、あらゆる規模の企業のお客様にオプションを提供しているため、Google の既存のアーキテクチャやアクセラレータを基盤に開発を行う人材が社内にいるお客様も、Google パートナー エコシステムの「すぐに使える」ソリューションの活用をご希望のお客様も、それぞれに合ったソリューションを利用できます。

ソリューションを提供するパートナー エコシステムの拡大

Google Cloud Cortex Framework の魅力の一つは、高度な分析と AI ソリューションにデータを迅速に取り込めることです。そのため、売り上げと収益に直接的な経済効果をもたらす成果をより迅速に達成できます。喜ばしいことに、この分野では次に示すような先進的なパートナーのプロダクトと連携できます。

C3 AI: Google Cloud の主要な AI ツール、フレームワーク、業種別ソリューション、サービスと連携して動作する、エンタープライズ AI アプリケーションの包括的なスイートです。たとえば、次のようなユースケースがあります。

• 在庫の最適化: 高度な AI、機械学習、最適化技術を適用することで、企業が部品、原材料、完成品の在庫レベルを最小限に抑えながら、顧客とのサービスレベル契約を満たすのに十分な在庫を確実に維持できるようにします。

• 供給ネットワークのリスク: インバウンド サプライヤーの遅れ、注文の納品の遅れ、製造のボトルネックなど、サプライ チェーン全体における現在と将来の乱れを特定して軽減します。

• AI 需要予測: 高度な AI 技術を活用して、精度の高い予測と需要計画を生成 / 維持し、費用を最小限に抑えながら売り上げを最大化できるようにします。

Palantir Foundry は、データドリブン型の運用と意思決定のための先進的なプラットフォームです。ユースケースには、次のようなものがあります。

• 品揃えのレコメンデーション エンジン: レコメンデーション エンジンによって、商品の品揃えの計画レベルを最適化します。棚割りのパフォーマンスと売り上げの指標を組み入れて、商品の陳列を決定します。

• 商品のフルフィルメントの最適化: 需要予測チームと物流チーム向けに信頼できる単一の情報源を作成します。これを利用すると、適切なタイミングと適切な場所で商品を製造して納入できるようになります。

• 在庫管理と在庫切れの防止: 在庫切れの発生を予測し、動的なレコメンデーションによって解決します。サプライ チェーンのトレードオフの決定をシミュレーションし、動的な需要に基づいて事前対応的にルートを変更します。

• 主要アセットに関する 360 度の可視性: 顧客、店舗、商品など、ビジネスで特に貴重なアセットに関する 360 度の可視性を確保して、バリュー ネットワーク全体を可視化します。

お客様の声

すでに全世界の CPG 企業のお客様が Google Cloud Cortex Framework を活用したソリューションを利用して、リスク、複雑さ、費用を削減しながら、分析情報の獲得と価値実現にかかる時間を短縮しています。お客様からは、次のようなコメントが寄せられています。

「チリから世界 5 大陸の 50 を超える国に魚介類を輸出している当社にとって、サプライ チェーンとサステナビリティに関する分析情報は必要不可欠です。Cortex Data Foundation を導入することにした目的は、SAP データや BigQuery のその他のデータソースを組み合わせて活用し、ビジネスの可視性を高めるためです。SAP ERP システムはたった 3 か月で、Google Cloud 上の S/4HANA に移行してアップグレードできました。また、Cortex ソリューション コンテンツのインストールと統合は、並行して実施することでわずか 2 週間で完了できました。このソリューションが革新的で簡単なのには本当に驚かされましたし、すぐに利用し始めることができました。ビジネス全体に関する新たな分析情報を得ることで、より迅速かつ正確な予測が可能になり、これまでにないイノベーションとアジリティが実現しています。」 - Pedro Aguirre、CIO、Camanchaca SA

Google Cloud Cortex Framework は新しい画期的な方法で成長を続けます。その内容を間もなく発表できることを楽しみにしています。現時点でも CPG 企業のお客様は、提供される Cortex コンテンツと Google のパートナー エコシステムを活用して、クラウドの柔軟性とスケーラビリティを確保しながら、これまでにないインテリジェントな事業運用を行えます。Cortex を利用することで、多数のソースから大量のデータを安全、迅速、かつ高い費用対効果で取り込むことができます。SAP データと外部データを統合システムにまとめることで簡単にアクセスし、よりスマートなビジネス インテリジェンスを実現できるようになります。

Google Cloud Cortex Framework について詳しくは、Google のソリューション サイトをご覧ください。また、Google Cloud Next ’22 セッションにもご登録いただけます。Cortex Data Foundation と Cortex Demand Sensingをぜひご活用ください。

- Google Cloud 日用品担当バイス プレジデント Giusy Buonfantino